22羽目:アニメとか見てたら同じもの食べたくなるやつあるよね
しかし、今回の戦闘ではアイテムも豊富にドロップしたなぁ。
インベントリに自動で送られたアイテムを、スクロールしながら確認していく。
【重鋳の盾板】×1
防具クラフト素材。オークリーダーの装甲から剥がれ落ちた、重厚な金属板。盾や装甲の物理防御力を向上させることができる。
【粗毛の皮】×3
防具クラフト素材。軽装防具の素材として利用され、耐久性をわずかに向上させる。
【突撃牙】×5
武器クラフト素材。攻撃スキルの威力を強化する効果を持つ。近接武器の強化に使用されることが多い。
【魔力石】×2
汎用クラフト素材。魔力を帯びた結晶体で、魔法属性の付与や強化に使用される。
【トッコーボアの肉】×6
食料クラフト素材。赤身が多く、しっかりとした歯ごたえが特徴。適切な調理で旨味を引き出せる。料理や加工食品の素材として使用可能。
いい感じに素材や武器などに使えそうなアイテムが手に入ったが、問題はこれなんですわ。
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【咆哮の耳飾り】SS
カテゴリー:アクセサリー
装備Lv:25
スキル:なし
効果:敵からのヘイトを引きつける効果が上昇する。
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何か、またアクセサリーでたよ。ヘイト取れるのはいいけど、まだLv20だからすぐつけられないやつ!
悔しさをにじませながら、アイテム欄をスクロールしていたところにみぃの声が届く。
「まぁ、予定より早く目標レベルに届いたし、ブルンヴァルト手前の森も問題なさそう。早めに抜けて町に入っちゃおうか」
「さんせ~い!空腹と給水ゲージがそろそろ半分切りそう~」
「私も。町に着いたら、まずはご飯だね」
「いいね!どんな料理があるかな?なんか元気出てきた!」
町の手前の森ではゴブリンが出現したが、オークに比べて防御力が低く、すばしっこいだけだったため、【シールドチャージ】で大ダメージを与えやすく処理はスムーズだった。
* * *
《地上都市西部 ブルンヴァルト》
ファウストよりもやや小ぶりな城門を構えた町。中に入ると、程よく発展し、人々の活気があふれていた。
もう夕刻近くだったので、門番におすすめの宿と店を尋ねると、二本先の裏通りにある場所を紹介された。
教えてもらった場所につくと、木製の看板に、ベッド、ナイフとフォークの彫刻があった。
宿の名は《森の泉》
みぃが昨日と同じようにツインルームを数日分申し込み、そのまま併設の食堂へと向かう。
錬金術の町らしく、各テーブルには魔法紋章が刻まれており、それに触れると空中にメニューが浮かび上がる仕組みだった。
ドリンクは二人とも『アプリルジュース』。何かはよくわからないけど、響きがかわいいし、きっと美味しい気がする。
おすすめメニューには星マークがついており、その中の一つが『トッコーボアチョップの赤ワインソースがけ』だった。
ふっ、あの時はやられそうになったけど、昨日の敵は今日の味方。私の胃袋を満たす味方となってくれ。
みぃは『ケッコーステーキの森きのこソースがけ』を選んでいた。
料理はてっきり紋章から転送されてくるのかと思ったが、普通に店員さんが運んできてくれた。
2人して手を合わせてから、ナイフを入れるとジューシーな肉汁がじわりとあふれ出し、一口ほおばればしっとりとした肉に濃厚なソースが絡み、口の中に旨味が広がった。
「おいしい!クオリティ高っ!」
「ね、箱あるって本当に細かいとこまで作り込まれてるよね」
「ねぇねぇ、味見させて~。こっちのも、はい、あーん」
みぃの口は小さめなので、少し小さめに肉を切り、ソースをしっかり絡めてからフォークを差し出す。
「……ん。それ、いつもやるけど……お皿に置いてくれればいいのに……」
「いやー、クセでつい仲いい人みんなにやっちゃうんだよねぇ。じゃ、みぃのも、あーんくださーいっ!」
といっても、そこまでやる人は家族かみぃくらいなんだけども。
口を開けて待っていると、みぃは何でか少しむくれた顔をしながらも、ちゃんとフォークを口に運んでくれた。
きのこの芳醇な香りと、クリームベースのこってりしたソース。
そのあとにぷりぷりジューシーなケッコー肉が追いかけてきて……うまぁい!
「みぃのも美味しい!いい所を紹介してもらえてよかったね!」
「うん。……なんか今、親鳥がヒナにエサあげる気分だった。……でもそうなると、共食いか。ルーイ、共食いしちゃったの?ひくわぁ」
いやいやいや、みぃが親鳥なら君も同罪だからね?!
空腹度と給水ゲージをしっかり満たしてから、一度部屋に戻ってログアウト。
今度はリアルのご飯タイム。
木目調の天井が、見慣れた白い天井へと切り替わる。
視界を巡らせると、窓の外はまだ明るい。
ベッドからゆっくりと体を起こし、ヘッドギアを外す。
スマホに目をやると、時刻はちょうどお昼の12時を回ったところだった。
「相変わらず、不思議な感覚だなぁ」
さて、今度は現実の空腹と水分ゲージを回復させようかね。
朝は軽めだったし、ゲーム内で美味しいものを食べたせいで、余計にお腹が空いてしまった。
冷蔵庫の中にはロース肉があったな、あれで味噌を隠し味にしたソースでポークチョップにしよう。千切りキャベツを添えて、こっちではご飯でたーべよっと。
パパっと調理を終え、本日2度目(?)のランチ、いただきまーす!
おっと、みぃに『ゲーム飯マネしてみた!』って写真付きメッセージを送っておこう。ドリンクは冷蔵庫にあったパックのリンゴジュースでまずは喉を潤す。
どこかで飲んだことある味だと思ったけど……これアプリルジュースじゃん。
続いて箸で食べやすいように、すでに切ってあるお肉を口に運ぶ。
箱あるのご飯にも負けず劣らずうまぁい!しっかり自画自賛していく。
机に置いたスマホが短く震える。
みぃからのメッセージだった。
『いいなぁ、今度それ作って。私はきのこクリームパスタにした、レトルトだけど』
湯気が立ち上るパスタの写真も一緒に送られてきた。
お互い、似たようなことしてるなぁ……ドリンクもアプリルジュースだったりして?と、想像して思わず笑ってしまった。
トーストに目玉焼きのせたやつとか、ミートボールのパスタとか、ニシンのパイとかね。食べたくなりません?




