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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第3章 来訪者達

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第219話 樟脳


へえー、やっと真剣な顔になって来たな。

俺が本気で話してるって気づいたか。


「増税をする理由は?」


「おい議長さんよ、俺はさっき言ったよな? 魔法使いだからって事にしておけと。その理由を、情報源を明かすと思うかとも言ったな? 信じないならそれで良い。それでも俺は今からお前達に良い話をしてやる」


「良い話とは?」


そんな困った様な顔をするなよ議長さん。胡散臭げに見て来られるよりはマシなんだろうけど。


「お前ら、南方諸島でそんな混乱が起き、革命が起きるって、俺の話が事実だって前提で話すし、お前らもとりあえずそう思って聞け」


よしよし、下らない茶々や、ムダなお喋りもして来ないな。一応は聞くって事で良いかな?


「なぁお前ら、南方諸島の産物って言えば何を思い付く? はい、海鷲一家のダンおじ様答えて下さい」


「宵闇のに任せるんじゃなかったか? しかもそれが話に関係あるのか? まぁいい、聞かれたから答えるぞ。そんなもん砂糖だろ、南方諸島って言や砂糖だ」


嫌そうにしながらもちゃんと答えてエライぞダンおじちゃま。


「そうだな、で? それ以外は?」


「それ以外? ・・・。何かあるか? 酒……、コーヒーもか? 後は……」


おいおいマジかコイツ?

宵闇議長は分かったみたいだぞダン君よ。お前マジで分かんないのか?


「あのな、南方諸島って言えばあるだろ? ヒント、虫食い」


「虫食い? 虫食い……。あっ! そうか、樟脳か、そうか樟脳(しょうのう)があったな」


そうだよ、樟脳だよ。しかも樟脳は、南方諸島が生産の多くの割合を占めている。この帝国でも生産してはいるが、南方諸島に比べれば微々たる物でしかない。

サザビー帝国は広大な面積がある大国だ。とは言え樟脳の生産に向いた土地ってのはそこまである訳では無い。それでも国家戦略の一環として僅かながらだが生産もしてるし、帝国が併呑する前から生産してた所もあるが、南方諸島に比べれば微々たる生産量でしかない。


やはり樟脳と言えば南方諸島であり、質も南方諸島の物が良いと言われている。

向こうでは、殆んどの国で樟脳を専売制としており、国の財政を潤し、税収における大事な柱の一つでもある。

この場合の専売制は、主に国内向けでは無く、輸出品としての品質管理や保護、統制の意味合いが強い。


南方諸島の樟脳はかなりの割合を占め、このサザビー帝国の南側にある国や、更に南にある島でも生産はしてはいるが、それでも九割以上は南方諸島産が占めている。そして完全に独占してるとは言わないが、ほぼ南方諸島産が独占に近い位生産割合を占めている。


そしてそんな地で革命が起き、国、そしてその一帯で混乱すればどうなるか……。


その辺りの事をおじ様達に分かりやすく、そして理解力の低い、九九もまともに(そらん)じる事が出来ない頭でも分かる様に説明してあげた。


「おいクソガキ、皆まだいまいちピンと来ていないぞ。分かってるかお前?」


「分かってるわい。マジか……。ここまで分かりやすく、噛み砕いて説明したのに、それなのにこんなに分かっていない奴が多いのか? マジか……」


「オメーは回りくどいんだよクソガキ。結局何が言いたいんだ?」


「ローガン君、勝手な発言は止めて下さい。キミは宵闇先生が仕切ると、そう言った事をもう忘れてるのですか? それとも宵闇先生の事を舐めてるから勝手な発言をしたのですか?」


「ち、違う。宵闇のを舐めちゃいねー。おい宵闇の、違うからな」


「分かってるよ海蛇の。だが悪いが俺に任せてくれるか? 済まんが口出しは控えてくれたら助かる」


「おお、済まねえ宵闇の。悪かったな」


「本当この寝取られ牛は。マジで黙っておけよ。お前はこれから暴走牛では無く、暴走鶏って改名しろ」


舌打ちか。まぁ良いや、言い返さなかったから一応は良しとしておいてやる。だが……。


「宵闇先生~。次やったら、ローガン君は、廊下に立たせとけば良いと思います。そんで儲け話はあの子だけ仲間外れにしても良いと思います」


「ハァ……。なぁ、頼むからお前も煽るのを止めてくれ、話が進まなくなる。で? 儲け話とは?」


「お前ノリ悪なぁ。まぁ良いや、お前は分かってるんだろ? だがあえて聞いたって事は、コイツらに説明しろって事か? 別に良いぞ、元からそのつもりだし」


コイツを含め、俺が言いたい事を分かってる奴も居るには居る。だけど分かっていない奴も居るのが又……。

鈍いな。ここまでの話で分からんか? 最初に金を取っておけ、無駄遣いするなって言ったのに。分からんかなぁ。樟脳の話もしたのに分からんか。


「あのなお前ら。南方諸島はこれから荒れる、理由は重税だ。そして民の不満がとうとう我慢の限界を超え、革命によりかなりの国が無茶苦茶になるんだぞ。革命が成功するしないは関係無い。その過程で国が荒れてそんな中、物作りがまともに出来ると思うか? しかも樟脳は南方諸島産が多くを占めている。砂糖もあっちじゃ作ってるが、生産比率で言えば樟脳の比じゃ無いんだぞ。ハァ……。ため息しか出ないわ。俺は学校の先生じゃ無いんだぞ。まぁ良いとにかくだ、来年以降樟脳は流通量、つまり出回る数が減るんだ。なら今の内に樟脳の先物に投資し、来年度の分だが、ある程度でも現物を確保する契約をしておけば莫大な利益が出るぞ。つまり儲かるって事だ。ここまで言わないと分かんないのお前ら?」


「言いたい事は分かるが、お前の言った通りの事が本当に起きるかは分からん。情報源が何かは分からんが、何故そうなるのか、何故そこまでお前が確信しているのか、その辺りを納得出来なければ俺達も頷けん」


言いたい事は分かるねえ。お前は理解してるみたいだが、他の奴等はいまいち理解しきれていないみたいだぞ。コイツらは、頭の作りが宜しくないから仕方ないがな。まぁ良いや、とりあえず話を進めよう。


「俺は最初に言ったよな? 信じる信じないはお前達次第だし、信じてくれとは言わんとな。だが一つ言っておく。俺は金に関する事には下らん事は言わん。ちゃんとその辺りのラインは見極めてお前らで遊んでいる。金の絡む事はお前らもギャアギャアうるさいからな。お前らで遊ぶなら他の事を使って遊ぶわ」


コイツら一斉に舌打ちしやがったぞ。沈黙を保った事を褒めるか、それとも舌打ちしやがった件を咎めるか難しいとこだな。


「・・・お前が俺達で遊ぶって件は、この際一旦置いておく。で? 俺達に儲けさせて一体お前に何の得がある? その辺りの事が分からなければ俺達も頷けんぞ。何よりお前自身が言ったな? 金に絡む事で下らん事は言わないと。ならそれが真実だとして、お前は俺達が儲けて何か利益を得るのか? まさか親切で俺達に稼がせるつもりじゃ無いだろ?」


「そりゃそうだ。俺に直接の利益は無い。だが何もお前達にあぶく銭を稼がせてあげようなんて、そんなムダな事はしない。稼いだ利益を使い、バハラの治安向上の為、そして来年以降今まで以上に南方諸島から帝国に来る食い詰め者や、小悪党共からバハラの街を守る為に使う資金源にさせたいからだ。自警団に手下共を行かせるのにも金は掛かるだろ? それに人手を取られたら元の商売にも影響は出ているはず。その損失補填とは言わん。だが来年以降の必要経費として、その為の資金として使わせる為だ。一応言っておくが、得た利益を自分のお小遣いにするのは構わんが、程々にしておけよ。基本的には治安向上の為に使え」


俺の言った事が理解出来たかな? 自分なりに色々考えてるみたいだが。


さて……。


来年以降は俺が今言ったように、そうなるだろうな。

そうなれば、俺が出品した物を扱うオークションが開かれても、あまり高値はつかないかと思ったが、案外そこまで影響はないだろう。


何故なら南方諸島の国は基本的に貧しい国が多いが、全ての国が貧しい訳でも無い。中には豊かな国だってある。

同じく政情不安な国もあれば、安定している国もある。

そしてどれだけ重税を科そうが、全ての国で革命や民衆反乱が起きる訳でもない。もう一つ言うと、重税を科し、民から絞り取っても上手く逃げ切る国だってあるだろう。つまり勝ち逃げってやつだな。

とは言えどの道混乱はするし、国を捨てて他所に行く奴も多いだろう。それはこの帝国だけでは無く、比較的安定している南方諸島の国にもその影響は必ずある。なら安定している国なら特にその影響は大きいだろうな。例えばあのロリババアが居る、ポリアとかもそうだろう。

あの国は豊かだし、安定もしている。そして国自体もまぁまぁ大きい。だからこそ南方諸島の総大使館がある訳だが。

奴にもこの件は伝えなければならんな。と言うかあのババア、村に寄らずそのまま帰ってくれないかなぁ……。無理だろうな……。来なくて良いのに。どうせロクでもない事を考えてるんだろうし。てか奴が村に来た時点であのババアの目的は達成されるんだから、絶対来るよなぁ。


「あー……。宵闇の、すまん、ちょっと良いか?」


「どうした海梟の?」


「いやな、あのガキが()()()俺らに対するおちょくりだとか、嘘、偽り無しで言ってんのは分かるんだ。だがだからこそだ、その話が本当だって確信が持てなきゃハイとは頷けん。だがあのガキは、情報源は明かさんとも言う。理由も無しに俺は、いや、ここに居る皆も頷けんと思うんだが、宵闇の、お前さんはどう思う?」


直接俺に言わなきゃ良いと思って、議長さんに伝える(てい)で俺に聞いてるのかな、トムおじ様は? それと珍しくとかって言うのは失礼だよキミ。


「そうだな、海梟のが言う通り、俺もそう思うよ」


で、議長さんは俺を意味ありげに見て来ると。

仕方ないなぁ、真珠の事は一切言わず、それでもキミ達が絶対信じる裏付けを教えてしんぜようではないか。

どうせこのままじゃ話が進まないし、もう別に良いや。


「はいはい、お前らが信じるに足る情報を一つ教えてやろう。どうせお前ら俺の話の裏付け取る為に調べるだろうし。良いかねキミ達。俺はさっき言ったよな? 樟脳の現物取引の契約をしろって。俺は既に金貨十万枚分の樟脳の現物取引の契約をしている。因みにポートマン商会に頼んだ。嘘だと思うなら調べてみろ、直ぐに分かる」


「じゅ、十万枚……?」


どうだ、これこそが俺の言った事が本当だって、信じる絶対的な証拠であり、間違いの無い裏付けだ。


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