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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
九章 有言実行
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彼女の秘密

クローフィにアマンダ殿たちを客間へと案内させ、俺はアルト殿と会議室へ向かう。


「アルト殿、まずは」

「うむ」


アルト殿だって旅で疲れているはずだ。まずは茶の一つでも出して、少し休憩してもらおう。

彼に出したお茶だが、ポーションを作る時に使った薬草を使っている。再利用なので味は薄いが、微小に効果はあるみたいだ。


ちょうどいいし、一息ついている間に、ポーションにどうやって持続回復(リジェネ)の効果を付けたのか説明しようと思う。


本来、ポーションは1種類の薬草から出来る。もちろん、ソレ以外にも用意しなければならないものは多くあるのだが、ここでは割愛する。

普通にポーションを作って薄めたのでは使い物にならないのは分かっているので、別に何かを入れる必要があった。

あとは簡単だ。ダンジョンマスターの能力で概念を付けた薬草を生み出せばそれで終わり。

持続回復のポーションが出てないのは、ソレを作る薬草がないというのが俺の持論である。無いならば、創ればいいじゃない。

まぁ、ゴリ押しである。


持続回復効果を持った薬草は『三階層』で育てている。形としては、広葉樹の葉を薬草に置き換えた感じだ。

機密保持のために薬草自体にもギミックを仕掛けて、しばらくは独占出来るようにしたんだが、そもそも部外者は『三階層』に行けないっていう話し。

 ガブリエナが居る今の『二階層』が抜かれる事もほぼ無いだろう。


 大体説明は終わりかな。そろそろ本題に戻るとしよう。


 「明日から工事が始まるわけですけど、手紙の内容通りに?」

 「そうだな。ここからはルーチェ殿とも連絡を取りつつ進めていく」


 大まかな計画は以下の通り。


 ・予定の道筋を決め、幾つかのポイントを決める

 ・魔法使いがポイント周辺を整地する

 ・点と点を線で結ぶ


 基本的にはこの3つ。

 それでも、できる限りなだらかな場所を開拓する予定だ。


 レクタングルとの連絡は伝書バトを使う筈だったんだが、時間が掛かってしまうので俺が担当する事になった。

 他にある俺の仕事は、地図の作成だ。作業が進む事に記録していき、余計な労力を抑える目的がある。

 このどちらも空を移動できる手段が無ければ出来ることではない。俺だけの仕事だ。


 しかし、何時ものように領域内だからと言って飛ぶわけにも行かないし、アサルトで移動するにも混乱を招いてしまう。

 1か月の間にMPも溜まって来ているし、話しが終われば、今日の内に一気に必要な守護者を創ってしまおう。


 「まぁ、明日は魔物の間引きだ。そう気負うこともないだろう」

 「それもそうですね」


 互いにお茶を飲み、一息。

 実際に動かないと分からないからな。まぁ、こんなもんだろ。


 そして話しは急にアマンダ殿への印象へと変わった。


 「どうだ、アレは」

 「とてもお綺麗でしたよ」


 アルト殿は興味深そうに聞いてくるんたが、俺としては深く聞かれると弱い。社交辞令で返事を返すにも、何処に地雷が埋まっているか分かったものじゃないしな。

 そもそもアルト殿は、俺とアマンダ殿をくっつけようとしているのかが分からない。それが分かれば断るなり何なり出来るんだが。


 「黙っていれば何処に出しても文句はないんだがな」

 「確かに好奇心が強いみたいですね。ですが、中に()もりっぱなしよりはいいでしょう?」

 「エバノ殿にそう言って貰えると助かるよ。このままでは行き遅れそうでな」


 フォローしたつもりが地雷を踏んだか。

 心なしかアルト殿の目が本気になっている様な気もする。・・・これは押し付けようとしてるで確定かな?

 俺としては彼女の好奇心は邪魔にしかならない。立ち入られるとまずい場所もある。

 丁重にお断りさせて貰いたいところだ。


 「そうでしたか。アマンダ殿であれば貰い手は山ほど居そうですけど」


 ふむ。・・・どうやって断ればいいんでしょうか!

 うちの法律は殆ど他所(よそ)から持ってきたもので、結婚については一夫多妻のまま引き継がれているから否定しにくい。

 どうやっても押し込まれそうな気がしてならないんだが。


 「アマンダと結婚出来る、どの貴族にも覗かれたくない闇はあるからな。そう上手くはいかんのさ」

 「そんなものですか。大貴族なら隠せそうなものですけどね」

 「普通なら、な。珍しい事に眼を持って生まれたものだから、完璧に隠すのにはかなりの苦労がかかる」


 眼・・・?話しの流れからして普通の眼じゃないのは分かるけど、それが意味すものはなんだ。思い当たるのは『鑑定』などの、眼を用いる技能だが。

 アマンダ殿が本当に『眼』を持っているなら『大聖堂』に案内するのは危険か?

 『鑑定』を持っているとして、効果が何処まで通るのかも大事になってくるぞ。


 (ギフト、アマンダ殿を監視してくれ。部屋にいる時は監視しなくてもいいから)


 取り敢えずこれで変に動かれる事は無いと思うが・・・。後で俺の方でも彼女に鑑定を掛けておこう。

 それと、アルト殿との話しも切り上げさせてもらう。ボロが出る前に撤退しなくては。


 「アルト殿、申し訳ありありませんけが、そろそろ」

 「ああ、そうか。すまないな。思ったより話していたようだ」


 重要な事は話し終わってはいるのでここで切っても問題ないだろう。多少強引でもボロを出すよりかはましだ。

 アルト殿だってそんなに急いで話す要件でもない筈だ。ノーマリー王国の王都が静かになるまでは滞在するようだし、時間はそれなりにあるだから。アマンダ殿に関しては一先ずレイに相談してからだな。俺の一存では決めかねる。


 さて、アルト殿と別れて直ぐにアマンダ殿を鑑定してみたんだが、『鑑定』持ちで間違いない。

 見られると不味いのは、『三階層』から下の部分。これは『鑑定』の欠点てして、自分で対象を見ていないと発動しないので、エレベーターを布か何かで隠してしまえば、取り敢えずの問題は解決したことになる。住人がエレベーターを使うのを見られなければ、という条件は付きまとうが仕方ない。

 ギフトの監視も止めといておこう。


 1か月の間にMPは347,030まで回復した。いつものことながら、マナフライには本当に頑張ってもらった。彼等には頭が上がらない。

 んじゃ、現状で欲しい守護者を決めていこう。


 ・空が飛べるもの。最大でも2人乗りぐらいの大きさ。

 ・医療関係の守護者。可能なら複数。


 こんなもんだろうか。

 『三階層』も手狭になって来たし、拡張なり、新しく創るなりしてもいいんだが。


・ジャンル選択[空]

・造形『鳥』

・細部設定 技能『気体操作』『硬化』『身体能力強化(ブースト+100)』『風魔法(ブースト+100)』

 消費MP299


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『フロウ』


 フロウは、最大2人まで乗れるようにしてある。その分大きくなっているのだが、『鳥』の消費MPが少ないので見た目によりも低コストでの創造となった。いくら大きくしようと、技能を付けなければHPもMPも増えないというわけだ。

 見た感じ、そのまんま小鳥が大きくなったのを想像してもらえればいい。しかし小鳥と言っても、ここまで大きくすると、ただのおデブさんにしか見えない。

 配色は、基本的に白。毛の根元は青く、目の辺りには水色のラインが通っている。

 遠目から観賞する分には綺麗である。ただ・・・まぁ、怖い。考えてもみてくれ、人の身長の二倍ほどの大きさの鳥がチョコチョコとジャンプしながら近づいてくる様子を。これがドラゴンとかなら、そんなものだろと思うが、日常生活でよく目にする生き物だからこその恐怖感がある。


・ジャンル選択[陸]

・造形『人型』

・細部設定 技能『看破』『魔法効果増加』『魔法射程距離増加』『回復魔法(ブースト+100)』『MP消費削減』『MP増加』

 消費MP256


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『モルビド』


 彼女は回復特化の構成だ。初めての『人型』での回復役になる。

 脇ぐらいまで伸びた淡い水色の髪に、紺色の瞳。雰囲気で言えばメラニーに近いだろうか。メラニーはアイドルスマイルだが、モルビドはほんわかスマイルだ。何言ってるか分からないと思うが、俺もそうなので気にしてはいけない。

 基本的には『金酉宮きんちょうきゅう』に常駐してもらい、診療所をやってもらう。これはレイも了承済みだ。『回復魔法』があればスペースが無くてもある程度は活動できるのは良い所だよな。


・ジャンル選択[陸]

・造形『人型』

・細部設定 技能『鑑定』『製薬』『魔法効果増加』『魔法射程距離増加』『水魔法(ブースト+100)』『土魔法(ブースト+100)』『回復魔法(ブースト+100)』『MP消費削減』『MP増加』

 消費MP456


・創造しますか?

 «はい» «いいえ»


・名称『シュテル』


 さしぶりに魔法使いっぽい構成で組んだ気がする。支援を兼ねた魔法アタッカーだ。

 シュテルは優しげなおじいさんである。オールバック風の栗色のくせっ毛に、青みがかった黒目。シュヴァルツヴァルトお馴染みの服装をさせるのもアレなので、魔法使いが着る様なダボダボな服装にしてある。どこかの国で司祭でもしてそうだ。

 彼が男なのには理由がある。これから創ろうとしている、俺の外見重視建築の守護を任せたいのと、その建築物の見た目が理由になってくる。部外者が居るので少しずつの作業になるものの、バレないようにやっていくつもりだ。

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