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ダンジョンと共に往く  作者: 畔木 鴎
十章 後悔噬臍
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月の音

 それは唐突だった。

 かもめの稼働実験が終わった翌日の早朝。ダンジョンと繋がっている俺の感覚は、その異変を直ぐに感じ取った。

 異変が起きた場所は城門。手元に映像を映し出してみれば、そこにはデピエミックの守護者の姿があった。たしか、あの守護者の名前はアムフィアだったか。

 アムフィアは6本ある手足のうち3本を失っていて、紫の血を垂れ流している。これはモワティエの方で何か起こったか。


 城門まで飛び、地に這いつくばるアムフィアに話しを聞く。


 「何があった」

 「不死者のダンジョンが攻勢に・・・」


 不死者のダンジョンだと?俺は知らないがそんなに強かったのだろうか。

 取り敢えず行ってみない事には分からないな。


 (シュテル、今すぐ城門に来るように)


 1番近くに居た『回復魔法』が使える守護者を呼びよせた。欠損部位の回復は無理だが命は繋げる筈だ。


 俺は戦場に行くための準備を整えよう。

 アイリード、ディアは標準装備だからその他のモノを集める。

 まずはフランメを着こむ。フランメとは久しぶりの出陣だな、よろしく頼むぞ。今日は大忙しだ。

 次にシュタールの鍛冶場。何本か日緋色金ひひいろかねの剣を見繕って貰い、フランメが開けてくれた隙間へと刺していく。レイピアの様に細い長剣が2つ、十手の様な形をした物が2つだ。

 最後にパナーシアのポーションを適当に取ってくれば準備完了。


 「レイ!俺はしばらく戻らないかもしれない!戦闘の準備を整えておいてくれ!他の守護者も同様だ!!」


 ココで出来る事は何もない。

 本来なら俺のダンジョンの中にも戦場に繋がる空間の入り口があるのだが、前回の戦闘の時に空間の裂け目は消したので、もう1度モワティエのダンジョンに行かなければならない。

 モワティエに俺のマントを渡しているから時間をかけずに到着できるだろうが無事でいてくれよ。


 「かもめ、方陣を繋げてくれ!」


 そう言えば足元に方陣が浮き上がり、輝きをもって発動を確認する。

 その数瞬の後には俺が見ていた景色が変わった。

 ムーンノートside


 ついにこの時が来たのだ。私が何年待った事か。

 月に戻るのだ。我々の再興の時は近い。


・ジャンル選択[死]

・造形『人型』

・細部設定 技能『歌唱術☆』『付与魔法☆』『舞踏術☆』『魔法効果増加』『魔法射程距離増加』

 消費MP402


・名称『サリファ』


 暗く淀んだ思考の海

 寄せては返す感情の波


 肌を刺す冷気

 束縛する足場


 一歩踏み出す毎に足は(もつ)

 ()が底へと引きずる


 私の全ては止まり

 私の全てが終わる


 誰も知ること無く

 忘却の渦に流され

 辿り着くは死の淵


 何もかも無くした私は

 1人唄を歌う


・ジャンル選択[死]

・造形『人型』

・細部設定 技能『回生』『剣術☆』『相互成長』

 消費MP575


・名称『クーコン』


 消えていく生命(いのち)

 去っていく温もり


 儚くも散る戦士達

 帰りを待つ娘達


 掌に土を握り締め

 地面に縫われて血の雨を浴びる


 私の全てが無くなり

 私の全てが消える


 誰も私に気づかず

 盛大な音をたてて

 群れは動き始める


 何もかもが消えた私は

 再び立ち上がる


・ジャンル選択[死]

・造形『有翼人』

・細部設定 技能『一死七生』『格闘術☆』『剣術☆』『槍術☆』『火魔法☆』『水魔法☆』『風魔法☆』『土魔法☆』

 消費MP10,828


・名称『デタイブ』


 祝福されし蒼き星から

 選ばれし青の星へ


 絶たれた歴史

 途絶えた足跡


 約束された神の地は無く

 穢れた血が再現なくその枝を拡げる


 私の全てが壊れ

 私の全てが塵と化す


 人知れず地に潜り

 密かに影を伸ばす

 再誕の時は間近に


 生まれ変わった私は

 反旗を翻す



 減らされた戦力も既に終えた。

 さぁ、月へと帰るために戦おう。

 『不死者のダンジョン』がマスター、ムーンノートが命令を下す。


 「翼をもぎ取れ」


 私の声に反応して死者の群れが動き出す。

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