第4話 反省会だよっ、きーくん!
………
……
…
「……どしよっか、きーくん?」
「……」
勇者様と二人になった。
今俺たちは焚火の火を見ながら、夕食を食べている。
その夕食はいつもと違い、穏やかではない。あの二人がいるときは穏やかだった。穏やかで楽しい食事をしていた。魔法使い様や勇者様が話題を提供し、聖女様がそれに相槌を打つなどして盛り上げる。俺は団らんというものが、あの時、教会の事件からこの楽しい場は苦手はであったが、それでも会話を盛り上げようと自分なりに努力していた。
だが、それも二人になって葬式のように静かであった。
「もういっそ、僕らだけで進める?」
苦笑しながら勇者様は投げやりに火をつつく。それが本心でないことは明らかだった。そうさせてしまったのは、……間違いなく俺だ。
「申し訳ありません。すべて、俺の責任です。」
「いや、……全部きーくんのせいじゃないよ。僕も、ちゃんとパーティのリーダーとして場を穏やかにおさめるべきだった。リーダー失格だ。……いや、そうじゃないね。これからどうするかを話すべきだったね。ごめんね……、思考が後ろ向きになっちゃってた」
「いえ……。これからどうすべきかですが……、やはり、あの二人に戻ってもらうしかないと考えます」
「そうだよねぇ…。僕らだけじゃあねぇ…。…色々と」
魔王軍の戦力は強大だ。魔王と戦うことになった場合、今の俺たち二人のみ戦うにはどうしても不安要素は残る。勇者様の絶大なる力は更に成長している。加速度的に。人類の矛は、その矛先を磨き続けている。だが、それでも、人間には『役割』というものがあるのだ。
「でも、戻ってくれるかなぁ……。昔のように戻れるのかなぁ……」
「……」
沈黙が流れた。
それが難点であったのだ。もうあの二人の間には殺意しかなかった。昔の状態に戻ることが想像できない。人間関係に疎い俺には、イメージができない。
……それでも。
「俺は、……誠心誠意、俺から謝るしかないと思います。」
「きーくん……」
「元はといえば、俺が何かしらの勘違いさせた言動が呼び起こした事態。ならば、俺がそれを思い出し、二度と繰り返さないよう、心からお詫びするのが筋でしょう。そして、俺が彼女たちにできることを全て行うことで、許してもらうことしか、道がないと思います…」
「……うん、そうだね。僕がこれ以上何か言っても、正直あの子たちに響くとは思えない。きついことだけど、お願いできるかな?」
「はっ。承知しました」
「ありがと、きーくん。……あははっ、雰囲気暗くなっちゃったね。気合入れてこ!」
「はい、この身に代えても成し遂げて見せます。我々がまた一丸となり、魔王を倒し、人類を守りましょう」
「よく言った! さすが男の子! でも大丈夫? 辛かったら言ってね? おっぱい揉む?」
「揉みません」
「真顔で即答!? そんなに僕って魅力ない!? こー言うときってドキドキするのが定番でしょ!?」
「も、申し訳ありません……。勇者様を俺で汚すわけにはと。俺から触れるなど、何と烏滸がましい……」
「自己評価低い!」
「それに、今もご迷惑をおかけしてしまっている身です。」
「起きたことはしょうがないし、未然に防げなかった僕も悪い。顔役として失格だよ。僕らの間では、どちらが悪いって話はなしにしようか。堂々巡りだ。……でも、きーくん。きーくんは、原因わかったりするの? 勘違いさせるような言動って……」
「それは……」
正直すぐには思い出せなかった。俺は、『騎士』の称号に込められた祈りをもって、彼女たちへ向き合ってきたはずだ…。
『騎士』……、そもそも、騎士とは? 俺に騎士という称号は、ふさわしいのだろうか?
「きーくん、落ち着いて。今は自分を責めるときじゃないよ。冷静になって。……って、口で言っても難しいか。よし、それじゃ、きーくんがまず『騎士』を志した時を思いだそっか。一度自分を振り返ってみよっ」
「……はい。承知しました」




