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第3話 芽生え(ユウside)

仕事で投稿押してしまったのでまとめてアップいたします。

それから涼香はユウの部屋を訪れる様になった。


今までこの屋敷にも涼香と似た境遇の使用人や妾が居たが、大概は正体を知ると離れていく。

そうでなくとも良くない噂を吹聴する娘が現れたことによりユウの食事は裏ルートから入手した出どころ不明の血を摂取することしかできなかった。

それが今ではパックの血より鮮度も質も良い血を毎日にでも吸えるのだ。

そして涼香もそれを拒む素振りも付け込もうと策士する様子もない。

そんな涼香にユウは次第に涼香の血を以前よりも多く求める様になった。

 

涼香の通いはユウが血を求めれば求める程増えていった。

最初は週に一度だったのが今では殆ど毎日涼香の血を口にしている。


そしてユウは次第に涼香の血以外にも興味を持ちはじめた。

血を吸う為に顔を近づけるとふと香る石鹸の香り。

ヴァーミリアン家の使用人統一のものを使っている筈なのに何故だろう。


ずっとこうしてこの匂いを堪能していたいと思ってしまう程にユウは涼香に酔いしれていた。


 ***


俺はユウ・ロラミア・ヴァーミリアン。

この屋敷の主であり大陸中央に位置する国センチュラルの政治家だ。


 昨晩は涼香の血を味わいその余念に浸っていた。

涼香の血は甘く甘美で喉の通りも良く、そしてくどくどとしつこ過ぎない味わいはまさに俺好みだった。

 しかし俺はそんな事ばかりにうつつを抜かせる様な立場ではない。


 今朝も仕事前の朝食を取る為大広間に向かう。

席に座ると涼香が俺の食事の準備をしてくれたのだ。

昨晩は加減をしたとはいえ血を吸われている筈だ。


「ユウ様いかがなさいましたか?」

「いや、なんでもない。」


まるで昨晩何事も無かったかの様に振る舞う涼香に多少苛立ちを覚えるが彼が倒れられては俺の命とこの屋敷全体に関わる。


『今度涼香を気にかけてやる様にモーエヴィンにも話を通しておかねばならないな。』


俺は食事を終えた後仕事をすべく執務室へ戻った。


しかしこの日に限って俺の日常生活を荒らす奴が我が家に来てしまった。


「ユウ君!元気にしてたかい!?」

「お久しぶりです兄上五月蝿いです少し静かにしてくれますか?」

「相変わらず冷たいねぇ〜♡

 そういえばお土産持ってきたんだけどさ〜見てみて!」

「玄関でそんなデカい荷物広げないでください邪魔です。」

「じゃじゃ〜ん!ユウ君の好きなデンジャラスベアだよ!しかもなんと三体も!!!」

「声がデカいです黙ってもらえますか?」


 俺は耳を塞ぎそっぽを向く。


「もうウチの弟は相変わらずのツンツンぶりだねぇ〜♡

 デンジャラスベアの臓物大好物のく・せ・に♡」

『早く帰ってくれねぇかなこの変態。』


 この五月蝿いチャラ男はアイル・ルーン・ヴァーミリアン

 俺の兄上である。

 今は大陸北にあるノエル国に住んでいる。

 こうしてたまに実家に帰省してくるのだが……。


「今回も可愛い子ちゃんに逃げられちゃったんだよぉ〜

 そのせいで嫁がまた機嫌損ねちゃって追い出されちゃったんだよぉ〜」


わざとらしくぴえんなんて語尾を付ける兄に冷ややかな視線を送る。


「いい加減女遊びをやめて自分家に帰れ色欲魔。」

「ひどい!」


 しくしくと鳴き真似をする兄に冷静にツッコむ。


「おやアイル様いらしていたのですね。

 こちらにいらっしゃるのであれば事前に言って頂ければお出迎え出来ましたのに。」


 騒ぎを聞きつけたのかモーエヴィンと涼香が玄関広間へとやってくる。


「ありがとうモーエヴィン!

 ヴァーミリアン家の良心は君だけだよ!」

「とんでもない光栄でございます。」


 玄関にデカデカと積んである魔獣を見るとモーエヴィンは即座に指示を出す。


「ではこのお土産なんとか致しましょう。

 涼香よろしくお願いします。」

「はい」


 涼香は言われるがまま荷物を厨房に運び始める。


「ではすぐ客間に案内いたします。」

「ありがとう、あとあの美青年は新入りかい?」

「涼香です。

 半年前からこちらで働いているんです。」

「ふ〜ん」


 アイルの好奇心を持った目が静かに涼香に向けられた。



 to be c continued……

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