【075】告白?
「つまりさ、付き合うって言うのは結婚の前段階みたいなもので、よりお互いを深く知る事によってすれ違いがないか確認する事なんだよ」
俺は前世の恋愛感について、エディナに熱く語っていた。
なんでこんな話を熱く語っているのだろう。
ふと冷静になると物凄く恥ずかしい事をしている気がする。
「すれ違いがあったら結婚はしないの?」
「しない事もあるかな? 合わない相手と結婚して失敗するよりは良いと思うんだけど?」
「なんだか不純ね。合わないところも譲り合って関係を深めていくのが結婚だと思うけど」
ぐおっ、ぐうの音も出ねえ!
いや、そうだよ。エディナさんの言う通りだよ。でもね、現代日本の不純な恋愛感に毒されてる俺にはその考えが浮かばなかったわけよ。
付き合ってイチャイチャして、コイツでいっかなってなったら結婚する。合わなきゃ最悪離婚!
ぐあっ! よくよく考えると俺たちはなんてただれていたんだ!
そんな純真な目をして、当たり前のように理想の結婚像を語るなんて! エルフだから? この世界だから?
「ブルはそんな軽い気持ちで、人前で私のことを恋人なんて言ったの?」
あれ? エディナさんなんだかちょっと怒ってない?
ちちち、違うんだよ! 付き合うって結婚よりハードル低いと思ってただけなんだよお!
俺はエディナと恋愛も結婚もエッチな事もしたいんだよお!
ん? あれ?
なんだ。よくよく考えたら、エディナがちょっと性格悪くなったとしても結婚したいし、人に言えないような趣味があっても問題ない。プラベートだとちょっとだらしなくてもまあいいでしょう。
むむ? わざわざ恋人になって恋愛しなくても結婚したいじゃない。
俺は眉をキリリとして、真剣な表情を作る。
「真剣に考えた結果、俺はエディナと結婚したいと思った。だから俺の嫁になってくれ!」
あ、勢いで言ってしまった。
うわああああ! やべー! やっちまったー!
俺が内心でめちゃくちゃ動揺していると、エディナは俺以上に動揺して声を上げた。
「どどど、どーしてそんな一瞬で考えられるのよ! それにプロポーズはまだ早いって言ってるでしょ!」
「どどど、どーしてだろうね! 勢い余った―――じゃなくて、プロポーズに早いも遅いも無いとおもうんですけどおお!」
「こここ、こっちにも準備ってものがあるのよ!」
「準備って何!? ストレッチでもすんの!?」
「するわけないでしょバカ!」
はあ、はあ。
なんてアホな言い合いなんだ。
「別に、よろしいのではないですか?」
俺たちが息を切らしていると、ティターニアが静かに言った。
「創造主様以上の殿方など、この世界にはいらっしゃらないと思いますよ」
ティターニア、良いこと言うね!
「そういう問題じゃないのよ」
「では、どのような問題がお有りなのでしょう? わたくしが邪魔者は排除して差し上げますが?」
「ちがっ、私はエルフでブルは人間なのよ」
「それの何が問題なのでしょう?」
「エルフの一生は長いわ。それに比べて人間の一生は短い。それに、私たちは一度しか伴侶を選ぶ事が出来ないの。直ぐには決められないわ……」
あー、やっぱエルフってそうなんだ。
しかも一度しか伴侶を選べないなんて決まりがあると、俺と結婚したら長いこと未亡人やらなきゃいけないのか。それはちょっと可哀想だな。
「なら、我が主人の寿命を伸ばせばよかろう」
突然、センがそんな事を言った。
その言葉には、俺もエディナも驚いた。
「で、出来るの!? そんな事!」
「ふん、我を誰だと思っておる。千年を生きる狐の妖怪ぞ」
「……そういう設定。実際はゼロ歳」
「うっさい、チビじゃり!」
「セン、真面目な話、そんな事出来るの?」
「えー、出来るわよ。ブルの魂を時の間に固定しちゃえば、歳なんてとらなくなるし。というか、もともとそうするつもりだったし」
センはニコリと微笑みながら、何気に恐ろしい事をしれっと言った。
うん、この狐はやっぱり悪い狐だな。
読んでいただき、ありがとうございます。
肉食べたい……うん、シツコイな。
動画でカプレーゼをBBQでホイル焼きしてるのを見て、めちゃ美味そうだったから今度やってみようと思う。
問題はBBQなんてやる機会が訪れるのかということだが……。




