【047】大きいのも好きだ
目が覚めたら、ケモミミの女の子が隣で寝ていた。
それはまあいい。いや、良くない!
若干現実逃避したい気分だが、そんなことを出来る筈も無い。一緒に寝ていたということは、してしまったのか? ワンナイトなラヴを!
俺が阿呆みたいにおぱーいを鷲掴みにしてても、全然なんてことない感じだったし。
あるね! いや、寧ろその可能性の方が高い。
覚えていないのが非常に悔やまれる。なんでそんな大事なこと忘れてるんだよ! 俺のバカバカ!
「ブルは変わらないわね。一人で表情変えて唸ったり、悶えたり」
なぬ? この子は俺のことを知ってるのか?
そう考えた時、俺は初めてケモミミちゃんの顔をまともに見た。今まで、その豊満なおっぱいに目が吸い寄せられていたなんてことは、全くこれっぽっちも全然と言っていいほど無い。無いったら無い!
そこではたと気がつく。
この子。何処かで見た事があるような……。
輝くような金色の髪。フワフワの狐ミミがピンと立ち、もふもふした尻尾がふわりと揺れる。
優しい声音とは違い、鋭い目付き。薄手の布切れを纏った今にも色々溢れてしまいそうな豊満なバディ!
こんなケモ美人に知り合いなどいない筈なんだが、その姿は何処かで見た記憶がある。
俺がむむむと唸ると、ケモ美人は俺の頰をつねった。
「もう! 私のこと忘れてるでしょ!」
いやいや、そんなことはあるでないで。普通に考えてこんなケモ美人忘れるわけがないのだ。ないのだが……。
ケモ美人さんは、小さくため息を吐くと、フワフワの髪の毛を後ろで結ってあげる。
長い前髪が一本に纏まって顔の前に垂れると、俺は完全に思い出した。
「我を思い出したか? 主よ」
そう、その言葉遣いだよ。髪を下ろして普通に喋ってるからわからなかった。
「セン!」
「その通りじゃ……この喋り方疲れるからやめて良いかな?」
「ダメです!」
「うん。じゃあ、やめるね」
なんで確認とったんだよ! 言うこと聞く気ないじゃん!
そう、このキツネ耳ケモ美人はセン。
天狐セン。
前世では、ツクヨミと同じく、良く編成で使っていたキャラである。
つまり。
俺は肌身離さずカードを持てるようにと買った、皮製のホルスターからカードを取り出す。
やはり。
俺の手持ちから銀の【白無垢】が一枚減っていた。代わりにあったカード、【LG】【天狐・仙】。
ああ、酔った勢いで【実装】しちゃったみたい。
しまったなあ。ツクヨミでさえ持て余しているというのに、二枚目の【LG】を【実装】させてしまうとは……ツクヨミ、怒らないかな?
「ブル! またあの子のこと考えてるでしょう! あんな気の抜けた子のことばっかじゃなくて、ちゃんと私の事もかまってよね!」
そう言ってセンは俺の首に抱き付いて来た。
ふくよかな二つの丘が俺顔面に押し付けられ、ギュッと締められる。
ぐえっ! 強っ! 力、強っ!
待て! 嬉しいけど、それ以上はまずい。色んな意味で昇天してしまいそうだ!
俺が必死にセンの背中をタップすると、センは「あっ!」と言って力を緩めた。
あぶねえ。まじで死ぬとこだった。おっぱいに挟まれて死ぬなんて、本望といえば本望だが、流石に天に召されるにはまだ早い。
だが、しかし。
小さいのも良いが、大きいのも結局は好きだ!
何がって?
おっぱいの話だよ!
読んで頂きありがとう御座います。
めちゃくちゃ笑える後書きが出来上がって、エンター押したところで目が覚めた。
おぅ。
残念だ。非常に笑える内容だったのに……