【048】仲の悪いレジェンド
「取り敢えず、俺がセンを【実装】しちゃったらしい事は分かったけど、エディナとツクヨミは?」
「あのエルフはブルと一緒で、自分の部屋で寝こけてるわよ」
「ツクヨミは?」
「……さあ?」
センは俺から目を逸らした。絶対知ってるよね? と言うかセンの能力、【千里眼】を使えばここからでも何処に居るかわかるよね?
「ツクヨミは?」
「知らない……かな?」
「よし、じゃあ取り敢えずカードに戻れ」
「ちょちょちょ! なんでそんな事言うのよ!」
「え? 嘘付くからだけど?」
「わ、わかった! ちゃんと言うから待って! あの子は……そう! 此処では無い何処かに行ってしまったのよ!」
「さっ、カードの戻し方はどうするんだったかな?」
「いや、ホントだって! 邪魔だったから、一生帰って来れ無いように私が亜空間に飛ばしたの! 次元の彼方なの!」
えー、なんて事してくれてんのこの子。次元の彼方って何処だよ。
俺はホルスターからツクヨミのカードを取り出した。
うーむ、カードがくすんでないから、死んではいないようだけど……。
ツクヨミが何処かでのたれ死んでしまった場合、三日間の待機時間を過ごせば再召喚出来るんだけど、あのツクヨミが簡単にのたれ死んでしまうとも思えない。
どうしたものか……。
取り敢えず、呼んでみるかな。
「ツクヨミー、朝ごはんの時間だよー」
呼び掛けてみたが反応はない。うむ、やはり次元の彼方までは繋がってないか……そう思った時だった。
ピシリとヒビが入るように空間へ亀裂が走った。
驚く俺を押し退けて、センがモフモフの尻尾から鉄扇を取り出す。俺が装備させていた武器【緋千華】。斬れ味は【S】。鉄扇なのに何故斬れ味なのかというと、そんな事は俺も知らん。そのゲームの運営に文句を言ってもらいたい。
ツクヨミの【胡蝶】には一歩劣る攻撃力ではあったが、魔法に特化したセンとこの武器の相性は非常に良い。持ち主の魔力強化と、攻撃時に相手の防御力を下げるデバフが付く特殊武器だった。
その【緋千華】を構えてセンは唸る。
するとヒビ割れた空間が斬り裂かれ、【胡蝶】を手にしたツクヨミが眠そうに現れた。
「……セン、やってくれた。死ぬ覚悟は良い?」
「あんたこそ、二度と戻って来れないように時の牢獄にでも送ってやるわ!」
ゴゴゴゴ、と膨大な魔力が二人を包み込んだ。
……ぶっちゃけ魔力とかわかんないから、そんな感じがしただけなんだけどね。
つか、まじやめろ。お前らが喧嘩したら宿屋がなくなる。そんな気がする。
「喧嘩したら暫くポーセージはなしだな」
俺がボソッと言うとツクヨミがビクッとした。
「喧嘩する子は面倒だから、用事が出来るまでカードに戻ってもらおうかな? 暫く呼び出す用事もないだろうなぁ」
今度はセンがビクッとして、キツネ耳をピンっと張らせた。
ぐぬぬぬ、と互いに睨み合ったまま動きを止める二人の姿に、俺は溜め息を吐いた。
この二人なんでこんなに仲悪いの? 昨日何かあったのか?
そう思いつつも、一先ず武器を仕舞うように言うと、二人は渋々ながらも武器を収めた。
その時だった。
机の上に置いてあった日記が淡く発光する。
ん? なんだ?
そう思った俺だったが、直ぐにある事に思い至った。
俺って昨日酔い潰れてたんだよな? って事はさ。
……やべえ。ロリ様に日記書いてねえ。
嫌な予感を覚えながら、俺は机上の日記をそっと手に取った。
読んで頂きありがとう御座います。
昨日バレンタインだったことに今日気が付いた。
そりゃあね。チョコでもわたされなきゃ気が付かないよ!
失敗したぜ。ケモミミ登場させる前にエディナとバレンタインイベント起こすべきだったOTL




