【043】斬れ味S+
ブモオオオッ!
再度オナラみたいな音を立てて、揺れ動く茂みからでっかい猪みたいなやつが顔を覗かせた。
見上げるぐらいの大きさ。俺の身長の倍ぐらいはあるか? 大きな牙が口元に二本。ゴツゴツした毛皮で覆われた体は、どっしりしていて横幅もでかい。
猪っていうかマンモスかな? いやあれは象か。
「ブモーン! なんでこんなところに!」
なるほど、ブモーンって言うのか。
急に雑!
この世界でモンスターに名前付けてるやつ、絶対適当だろ! どうせあれだろ? ブモーって鳴くからブモーンなんだろう?
「ブル! 逃げましょう! こいつはまずいわ!」
エディナが焦るように声を荒げた。
まあ、確かにクマさんよりもでっかいし、猪って結構凶暴らしいからね。あの体格で突進されたらひとたまりもないだろう。
でも、逃げるとか無理じゃね?
俺はそう考えていると、ティンと来た!
これは! 男なら一生に一度は言いたい台詞ベスト10が言えるシュチュエーションなのではなかろうか!
それに気が付いてしまったら迷わない。
「エディナ! ここは俺に任せて先に逃げろ!」
「ブル!」
ふっ、どうだ? 決まっただろう?
別に惚れてしまっても構わんのだよ。
「前!」
え?
阿呆なこと考えてたら、ブモーンが既に突進していた。
俺に向かって。
うお! めっちゃ早え!
ええい! しかし恐ることなかれ! 俺には【破壊】がある!
俺は右手に集中して、突進してくるブモーンへ向かって拳を放った。
「くらえっ! 【破壊】!」
輝きを放った俺の拳が、突進してくるブモーンに当たる。
ぺちっ。
ん? あれぇ?
俺の拳を受けたブモーンは、何事もなかったかのように突進を続け、俺の体を吹き飛ばした。
「ブルーーー!」
エディナの叫び声が響きわたる。
やべぇ、これは死んだかも。
なんといっても既に痛みすら感じない。あれだけの突進を受けたらそうだよな。一気に意識が刈り取られなくて良かった。
最後に俺のことを心配する、エディナの声を聞くことが出来たのだから。
ドサッと尻から地面に落ちて、ついには俺の意識が薄れ……ない!
あれ? つかなんともないぞ?
俺が自分の体を見ると、黒い膜のようなものが俺の体を包み込んでいた。
まさか!
俺が視線を向けると、ツクヨミが眠たげな瞳でフワフワ飛んでる蝶々を眺めていた。
その体に纏う衣が影のように伸び、俺の体を包み込んでいる。
ツクヨミさああああん!
ほんとぱねえっすわ!
心ここにあらずだけど。カードに戻らない我儘娘だけど。大飯食らいで食費がかかるけど。召喚カード持たせてくれないし、抱っこもさせてくれないけど!
なんだかんだで、俺のこと守ってくれるし! 確かにツクヨミが一人いれば、大概のことはなんとかなる気がする!
「ツクヨミ! そいつを倒せ!」
俺が命令すると、ツクヨミは眠たげの瞳のまま腕を上げて、やる気なく「やー」と言った。
俺の体を包み込んででいた衣がツクヨミの周りに戻り、ブワッと一度大きく広がると一本の刀を出現させた。
ゲーム内で俺が装備させていた武器【胡蝶】。斬れ味【S+】の最強武器だ。上限解放するのに10万もかかったんだからね。いや、それはどうでもいい。
ゲーム内の武器が現実でどれほどの斬れ味になるのかは知らないが……。
ツクヨミが突進するブモーンに刀を振り降ろすと……。
ブモーンの体は真っ二つに割れた。
ドスンっと左右の茂みを押し潰してブモーンが倒れる。
……ツクヨミさん。
……まじやばくね?
読んで頂きありがとう御座います。
やる気が出なくて一時間前に書き始めたら、今できた。
さすがコブデス!お手軽作品!
やる気があれば、いくらでも書き溜められるぜ!
やらんけど。




