【041】そんなものは必要ない
ふふんふんふん。
鼻歌混じりで宿を出る俺を、ツクヨミとエディナがいぶかしんだように見て来た。
いや、そんな顔で見ないで欲しい。テンションが高い時だってあるだろう? なんたって【実装】をものに出来たのだ。未来は明るい。
毎晩ロリ様に、俺に優しくしてくれってお願いしてよかった。
『くたばれ』とか言いながらも、なんだかんだで状況を好転させてくれているロリ様には頭が上がらない。
今日の日記には愛していると書いてあげよう。
そして、本日は委員会のお仕事である。
昨日、委員会の登録を済ませた俺も、はれて闘士となったわけである。
ランクは最低ランクだけど、どうだっていい。俺の目的はエディナのランクを上げて、魔王にすることなのだから。
さて、今日もツクヨミにはやり過ぎて貰わなくちゃいけない。期待しているぞマイエンジェル!
「……ブル、何かあった?」
ウキウキ気分の俺が気になったのか、ツクヨミが小首を傾げた。
「んー? なあに、ちょっと実装のコツを掴んだだけだよ」
「え?」
俺の言葉にエディナが反応した。
よしっ、来た! 興味を引けたぞ!
「実装のコツって?」
「うん。実はね……」
俺は昨日試した【実装】に必要な想像力についてエディナに教えてあげた。対応するレアリティについては教えていない。
何故かって? 別に意味は無い。なんとなく一息に教えるのもなと思っただけだ。
そして、ジャジャーンと昨日手に入れたカードを掲げてみせた。
それを手に取ってエディナは目を丸くしている。
「なんで、【SSR】があるのよ!」
あ、やべ。いきなり突っ込まれてしまった。これを説明するとさっき言わなかった内容を話さなくてはいけない。
まあ、いっか。教えても。
俺はカクカクシカジカと、話して聞かせてあげた。
「……それって大発見じゃない」
「うーん。そう? 多分知ってる人もいるんじゃないかな? お得な情報だから言わないだけで」
「知ってる人がいたら、今頃【LG】を手にして、名をはせてる人がいるわ。お伽話になんてならないわ」
「想像力が足りないんだね」
「寧ろ記憶喪失の筈のブルが、どうしてそんな想像力を持っているのか疑問でしかないわ」
「き、記憶が無いから常識に縛られないっていうのかな? そ、そんな感じ?」
疑うような視線をエディナは向けてくる。
待て待て。なんでお得な情報を開示して、そんな目で見られるんですかねえ! もっと羨望の眼差しを向けるとかあるでしょ!
「まあいいわ。で? 【SR】のその子はどんな感じなの?」
「どんなというか、まだ召喚してないからわからないよ」
あ、そっか。
これって召喚カードじゃん。
俺もサモンできるじゃん。よし、やってみよう。
俺は【SR】【ピクシー】のカードを手に取り声を上げた。
「【召喚】、【ピクシー】!」
俺が声を上げるとカードが光り、螺旋を描くようにクルクル回って可愛らしい妖精が現れた。
おお。これがサモンかあ。
ええやん。ええやん。
俺が感動していると、ピクシーは足を組んでフワフワ浮いたまま俺の肩に腰掛けようとした。
その時。
バシュッ!
目にも止まらぬ速さで、黒い線が俺の視界を掠めた。
ピクシーが何かしたのかと思い、慌てて目を向けると……。
その首がポロリともげた。
ぎゃあああああ!
光の粒子となって消えていくピクシー。
俺は犯人に思い至り、そちらにガバッと顔を向ける。
すると。
眠たげな瞳のまま睨みつけるツクヨミの姿がそこにはあった。
「……必要ない」
なんてこった。ツクヨミのやつ、強制的に排除しやがった。まさかこんなに嫌がるとは……。
これは少々困ったことになったぞ。
ツクヨミのご機嫌をとらないと、俺は他の召喚カードが使用出来ないかもしれない。
つか、強えな! 【SR】を一撃かよ!
読んで頂きありがとうございます。
時間が取れなかったので、改行なし。添削なしのやっつけ投稿。帰ったら直します。
そして、明日はお休みします。




