【039】エディナを口説くには
お金が沢山手に入った。
とは言っても、【SSR】のカードを一枚でも買ったらそれこそ金欠になり兼ねない金額ではある。
普通に暮らす分には十分な気がするんだが、俺は一体何を目指しているのだろう……。
そう、俺は目指していたんだ。
桃色の世界を。あまねく世界の美女たちの集う桃源郷を。
ハーレム王に俺はなる!
うん。たぶんこのネタは誰かが使っているだろう。
無しだな。
ともかく、モテるのが目的の俺が金だけ持っていても仕方ない。
この世が白いキャンバスなら、金は絵の具だと言った白髪の王様がいたな。
あんたは間違ってない。だが、エディナの尻は金じゃ描けないんだよ!
【30000000】イェンの大金を目の前にして、全部ブルので良いよなんて言う女だぞ!
半分あげるって言っても突っぱねる子なんだぞ!
どうやって攻略すりゃええねん!
女は金に群がるって言ったやつもいたな。
それも嘘だ! 本当に良い女ってのは、金じゃあ買えないんだぜ!
そんな感じで悩んでいた俺ではあったが、エディナの興味を引くものにティンと来た。
それは、カードである。
大枚を叩いてカードをプレゼントすることじゃあない。
エディナはマルーイで言っていた。
魔王の称号を得るのだと。
ならば。
俺がしてあげれば良いのではないだろうか?
エディナを魔王に。
さて、【破壊】しか取り柄のない俺ではあるが、どうやってエディナを魔王にするのか?
それは、こいつだ!
ジャジャーン。
買ってきました【白無垢】のカード! それも鉄を三枚! 銅を一枚である。
銀は競売にかけられる事が多いらしく、お店では売ってなかった。つか、銀を買ったらすっからかんになるから、今は買えんのです。
鉄だって安くは無い。一枚で【700000】イェンもするのだ。
銅に至っては【5000000】イェンもした。
無駄遣い? 違うね。投資と言って貰いたい。
俺が今回行う実験により、【白無垢】で自由自在に【実装】が行える事がわかれば、エディナを魔王にすることなど容易いのである。
チートカードを量産してあげればエディナは強くなり、俺無しでは生きていけなくなるはずだ!
どうだ! 完璧な作戦だろう!
俺は誰もいない空き地で一人高笑いをした。
あーはっはっは!
よし、スッキリしたぞ。
さて、実験前におさらいだ。
まず、【白無垢】のルール。
鉄、銅、銀の三種類があり、一般的に一つ下のレアリティのカードをコピーする事が出来るらしい。
そして、同レアリティの物は、想像力を働かせてイメージを湧かせれば、オリジナルのカードを作る事が出来る。
レアリティにそぐわないもの。想像力が足りなもの。現存するカードであった場合。【実装】は失敗となり、カードは灰になる。
対応しているレアリティは銀が【SSR】。銅が【SR】。鉄が【R】だ。
余談ではあるが、一つ下のレアリティで一番価格の高いものが白無垢の値段の基準となっているのだとか。
と、ここまでが基本的な【白無垢】のルールなわけだが……。
気が付いただろうか?
俺が使った【白無垢】は銀。つまり、対応するレアリティは【SSR】なのである。
しかし、俺が【実装】させたツクヨミは、伝説級とも言われる【LG】のカードだった。
これは、エディナから聞かされた【白無垢】のルールとは違う。
そもそも、【LG】に対応した【白無垢】なんてものはないのだ。だが、【実装】することは出来た。
つまりそれは、【白無垢】にレアリティの制限など無いのではなかろうかという、一つの憶測へと繋がったわけだ。
三種類の【白無垢】がある以上、何かしらの制限や特性はあるのだろう。しかし、もし一般的に言われているレアリティよりも、対応するレアリティが高かったら?
それでいて【実装】を自由に行う事が出来たなら?
俺はますますお金持ち……じゃなくて、エディナのデッキを作り、魔王に至るまでの強化が出来るのではないだろうか?
そう考え、珍しく真剣になった俺の実験が始まった。
読んで頂きありがとう御座います。
現在6:54である。
寝落ちである。
もう、おうち出る準備する時間である。