【038】お金持ちである。ガハハ
銀行に行ったら、身分証の提示を求められて焦った。
鞄の中には特にブルについての身分を証明するものが無かったのだ。けれど、恐る恐る入学許可証を出したら、なんだか認められたみたい。
ホッと胸を撫で下ろしていると、どうやらブル・ドッグには既に口座が作られているらしく、カードを再発行するだけで済んだ。
日本にいた時は、カードを発行するのに一、二週間掛かったりしたからこの世界の手続きは中々に早くていい。
まあ、セキリュティ面で問題が無いか不安ではあるが。
ともあれ、銀行の口座を手に入れた俺は、一先ず持っているお金をいくらか貯金しようとした。そうしたらビックリ。
なんと既に【1240000】イェンのお金が口座に入っていたのである。
ますますお金持ちになった俺は、テンションも上がり、昼食時にツクヨミが食べまくって【21000】イェンも掛かったことなんて気もしなかった。
よいよい。
お金のゆとりは心のゆとり。
まるで仏にでもなった気分である。
そして、商店で頑丈な台車を借りた俺たちは、人目の付かない路地裏へとやって来た。
「じゃあ、ツクヨミ。この台車の上にガラットを一つ出してくれる」
ツクヨミはこくりと頷き、衣の中からガラットと塊を一つ台車の上に出現させた。
流石に重いのか台車の板が軋む音がする。
雑貨屋で購入した大きな布をガラットに被せ、台車を引いて武器屋まで行こうとした時。
問題が発生した。
う、動かせねえ。
予想以上の重量に引こうとした台車がピクリとも動かない。
台車を引こうと、うんうん唸っているとツクヨミが眠そうな目で退けと訴えて来た。
いや、言って無いよ。そんな目だっただけで言って無いからね。
ともかく、ツクヨミは片手で楽々台車を引くと、さっさと歩いて行ってしまった。
いや待て! せめて俺も押してる格好じゃないとおかしいから!
俺とエディナは慌ててツクヨミを追い掛けて、台車を押している振りをするのであった。
「……こいつは驚いたな」
ガラットの塊を見て、武器屋のハゲマッチョは感嘆の声を漏らした。
「どうですか?」
「どうもこうもねえよ。よくこんな完璧な状態でこのサイズのものを採掘できたな」
「優秀な召喚モンスターがいるんですよ」
「へえ。兄ちゃんのか?」
「いえ、あっちのエルフの子のです」
とりあえずエディナに擦りつけておいた。違うよ。闘士でもない俺が、そんな召喚モンスターを持ってたら怪しいからだよ! 注目されたくないからじゃないよ!
「ま、とにかくこいつなら【10000000】イェンで引き取れる。いや、競売にかければもっと行きそうだな」
「【10000000】イェンでも十分ですよ」
「そういうわけにもいかねえ。右へ左へ品物を流すだけで大金をせしめてちゃあ、職人の名が廃るぜ」
「なら、一先ず【10000000】イェンで。競売とかで良い値がついたら、あとでいただくってことでどうですか?」
「兄ちゃんが俺を信用してくれるってんなら、それでも良いけどよ」
「大丈夫です。たまたま見つけたものですし。それよりも値が割るような事があったら損しませんか?」
「そいつは心配ねえ。最低でも【10000000】イェンで売れる。売れなきゃ俺の目が腐ってたって事だ」
なかなか粋なハゲマッチョである。うむ、今後武器が必要になったらここで買うことにしよう。
そう心に決めて、そのあと運び込んだガラット三つをハゲマッチョは全て引き取ってくれた。
チーン。
【30000000】イェン、ゲットである。
読んで頂きありがとう御座います。
今日のあとがきはありません!
敢えて書くとするなら、
アニメ「かぐや様は告らせたい」三話のエンディングがとてもよかった。
「境界の彼方」の六話ぐらい衝撃が走ったと言えばお分かりいただけるだろうか?
見た方が良いよ!
はっ! 書かないつもりだったのにまたくだらないことを書いてる!




