【037】お高い!
結局ツクヨミからお財布を取り戻すのに、金貨一枚分かかった。
なんだか自分で買いたい物があったらしく、その分のおこずかいを徴収されたのだ。
なんというか、手の掛かる子である。もとい、金の掛かる子である。
可愛さあまって俺が甘やかすのもいけないのだと思う。今後はもっと厳しく躾けなくては! 出来るかなあ。
ともあれ、魔法カードコーナーへ向かった俺は、ゴミカード以外の【R】カードを買う事にしたのだが、【R】とはいえ、一枚【50000】〜【150000】イェンで取り引きされており、容易に手が出る金額でもなかった。
【SR】ともなると、便利そうなカードも沢山あったが、桁が一つ上がってしまい、買う事すら出来ない。
結局は【120000】イェンもする【R】カード【水】を買って終了。何処でも水を出せるこのカードは、旅人や商人なんかに多くの需要があるため、他のカードよりも高いのだとか。
実際あっても損はないカードなので、納得はしている。
そうしてマルーイをあとにした俺たちは、武器なんかを作っている工房へとやって来ていたのであった。
「こんにちはー」
挨拶をするとハゲ頭でムキムキの男が奥から顔を出した。
武器屋の主人イコール、ハゲマッチョって決まりはないはずなんだけどなあ。どうしてこんなに多いのか不思議である。
「なんだい? 武器が欲しいのかい? それとも召喚モンスター用の装備?」
そう。召喚モンスターや魔法カードがあるこの世界では、武器の需要はあまりない筈なのである。なのに、武器屋という職業が成り立っているのは、召喚モンスターに武具を装備させて強化することが出来るかららしい。
一度装備した物は、物理的な法則から外れ、召喚モンスターの所有物となりカードにも収まる。装備を外すとその武器はどこぞに消えて無くなってしまうらしい。その為、付け替えする度に、装備を買い替えなくてはいけないので、武器屋の需要が無くなる事はないのだとか。
「出来たらでいいんですけど、買取をして欲しい物があるんですよ」
「買取? うちは特に不足してる物も無いから、買値は他より下がるかもしれないぜ?」
「いえ、大きい物なんで、買い取って貰えるところがあるなら、多少価格は下がっても良いんですよ」
「……ほう。で? 何を買い取って欲しいんだ?」
「大きなガラットの結晶です」
「ガラットの? ふーん。取り敢えず出してみな」
「いや、持ってきては無いんです。大きさが俺の背丈の倍ぐらいあるんで、取引出来るなら運ぼうかなと思いまして」
「本当に兄ちゃんの言ってるサイズがあるなら、買取は出来るぜ。最近じゃ山に行くやつも少ないから、出回ってるのは川で研がれた小さい塊だけだからな。うちではあんまり使わないが、欲しがってるやつの当てはある」
「では、三つほど買い取ってくれますか? 仲介分は差し引いた金額で良いので」
「三つもあるのか!? つか、随分と投げ売りみたいなことすんだな? 犯罪とかに関わってるなら、うちじゃ買い取れねえぞ?」
「犯罪じゃなくて、捌く手段がないんですよ。委員会で両手いっぱいのガラットを引き取って貰おうとしたら、窃盗犯扱いされそうになったんで、あっちに卸すのはやめたんです」
「ふーん。まあ、犯罪じゃねえなら良いけどよ。金額は品物を見てからになるぞ」
「わかりました。安く見積もってどの位になります?」
「まあ、言ってることが本当なら一つ【8000000】イェンってところだな。状態で大分変わるけどな」
なにっ! 八百万だと!
冷静に話を進めていた俺に動揺が走った。
三つ売ったら【24000000】イェンじゃまいか!
確かに両手いっぱいで五十万以上になったのだから、まったくもってあり得る金額ではあるが……。
ツクヨミは金の掛かる子じゃなかった。金のなる子だった。
「わ、わかりましたじゃあ、あとで運んで来ますね」
「ああ、夕方の六時までには持ってきてくれねえと店を閉めちまうからな。あと、現金は直ぐに容易出来ねえから、即払いならカードになる」
「わかりました。では後ほど」
努めて平静を装い、武器屋を後にする。
さて、武器屋の店主っぽい人が言っていたが、カード決済をする場合、銀行で専用カードを発行してもらわないと出来ない。
というわけで、俺たちは銀行へと足を向けた。
ムフフ。お金持ちから、大金持ちにクラスチェンジしちゃいそう!
読んで頂きありがとう御座います。
歯医者に行って治療を受けていたら、その歯医者の子供が治療室に入ってきて走り回っていました。
自分は少々不安で、心の中で転ぶなよー、転んでピタゴラスイッチはやめてくれよー。と願っていたのですが、そんなことは起こらず。
ホッと胸を撫で下ろしたところで、子供が「カーモンベイビーアメリカ!」って、音程無視して歌い始めるもんだから吹いたわ!
治療中なんだよこっちは!笑かすなガキんちょ!
先生も子供無視して真顔で治療すんのやめてくれません?
その状況にも笑いそうになったわ!




