【023】エディナの事情
「お姫様ってのは言い過ぎだけど、うちは結構力のある家だったのよ」
「だったのっていうのは?」
「落ち目だってこと。代々ダンジョンの管理を任されていたから、それなりの権力を握っていたみたいだけど、最近はそれがあまりふるわないらしくてね。つまり、人が集まらなくなっちゃったみたい」
「あー、それで家の権力を取り戻す為に、エディナは有力者と結婚させられそうになって、家出して来た感じか」
「……なんで、そこまでわかるのよ」
え? いや、まあ。なんつーか、テンプレだし? よくある展開じゃん。
それであれだろ。独立する為に、冒険者とかになって名を上げてこうとかそんな感じだろ?
でもって、旅を続けて行くうちに、それなりに力を付けて次第に調子にのっていくんだ。
そこまで来たらもうテンプレ設定は揺らがない。いずれはオークにくっころエンドか、スライムとかヌルヌル系に捕食エンドが目に見えている。
そんなエロ、げふん! 酷い結末には俺がさせん。
というか、家が金持ちってだけで、エディナを娶れるとか許されんぞ! ズル過ぎだろ!
どうせ、いけ好かないイケメン野郎に違いない。もしくは、だらしない腹をしたおっさんだ!
「ぐぅ! 俺がエディナに指一本触れさせん!」
想像を膨らませていたら、思わずそんなことが口から出ていた。それをみて、エディナが目を丸くしている。
やべ。思わず言ってしまったけど、聞かれても問題無い台詞で良かった。想像の過程を知らずに、この言葉だけ聞いたらそりゃあもう男らしく見えるはずだ。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、なんで……いえ、下心が見え見えで逆に清々しいわね」
俺の本心は思いっきりバレていた。何故だっ!
「でもまあ、ブルが味方になってくれるのは有り難いけどね」
「と、当然だよ! か、か弱い女の子を助けるのは男の仕事だからね!」
取り繕ったような言葉だったけど、エディナはクスリと笑ってありがとうと言ってきた。
お礼を言われたのは良いけれど、何に対してのお礼なのかがよくわからない。俺の本心見抜いてましたよね? ほんと女心は難しい。
「じゃあ、明日からクエストに付き合ってくれる?」
「クエスト?」
「委員会から出される正式な依頼のことよ。委員会に登録した闘士だけが受けることができるの。当然報酬も出るわ」
なにっ! お金が稼げるのか! それは是が非でも受けたい。でも、委員会とか闘士とか、よくわからんぞ?
俺がクエスチョンマークを浮かべていると、エディナは補足するように教えてくれた。
「私たちの持つカードは全て、神アウナスによって生み出されているの。そのカードを用いて闘う者たちのことを闘士と呼ぶの。そして、闘士たちを纏めているのが委員会。新米闘士は基本、委員会に所属してクエストを受けることで生計を立てているのよ」
なるほど、冒険者とギルドみたいな感じか。多分ランクとかがあって、それに応じた依頼を受けることが出来るのだろう。報酬とかも変わりそうだな。
うむ。わかりやすい! 適当に受けて【破壊】すれば終わりそうだ!
「わかった。明日からそのクエストを手伝うことにするよ」
「ありがとう」
おぅ。今のお礼は意味がわかるぞ。頼りにしてるわ、ブルって意味だ。
任せておけよマイエンジェル。
俺の拳で砕けない物は、恐らく、きっと、たぶん無い! ……はず。
読んで頂きありがとう御座います。
ふぅ、危ない。予約するの忘れて寝ていたぜ。




