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ガミリア共和国 第28話 下級薬瓶とスライム          (行程表 姉さん・きし)

 工房に水は、必ず必要なだけではなく、極力不純物が無い方がいい。


 職業として薬師分野を選んだ薬師・錬金術師は、町に店と工房を建てる。結果、水源の優れた近所に工房が立ち並ぶことになる。逆に人混みが苦手な魔法使いは、人里離れた場所か村の外れに工房を建て、山を下りてポーションを売り物資を補給する生活をおくる。



 水に雨水が入らないように、井戸には屋根がある。運ぶ途中で、雨水が入らないように、廊下にも屋根がある。

 移動が面倒だと、工房に井戸を掘った錬金術師は、後悔する事になる。部屋の隅に湿気がこもり、カビを発生させてしまった。工房を売り払い、他に引越ししたと言う。



 作業が始まると姉さんときしは、手持ち無沙汰となる。当初は、各所で必要になる水運びをしていたが、それが落ち着くと雑用係と一緒にゴミかたずけをやっていた。

 これが結構面倒で、最終の濾過をしていれば、静かに移動と作業をしなければならない。ホコリを舞い上がらせるなど、絶対あってはならない。それ以外の場所でも、乱雑に扱えない。不要だろうと思った机の上にあった破れた紙に、重要な数値をメモしていたり。と、気を抜けないのだ。


 そこに転機が訪れる。

 「すみません、店主か責任者はいらっしゃいますか?」

 ギルドから瓶が届けられた。何とか在庫をかき集めて持って来てくれたようだ。その数99本、工房にいく本かあったので、総数108本。


 「注文の薬瓶なのですが・・」


 その職員の説明によると、ギルドを通さずに、ある工房が瓶を作っていたとの事。その工房に、聞き取りをすると。


 数か月前に、下級薬瓶の作成依頼があって、何度か発注された合計は7000本。作業に余裕のあるいくつかの工房に手伝ってもらい作っていたのですが、今回は出来ないとの事。


 その理由は、スライムの入荷が見込めないから。と言う事なので、冒険者ギルドに、スライム収集の依頼状況を聞きにいきました。


 その返事が、「スライム収集は、冒険者になりたての初心者向け依頼で、依頼料も安い。以前は、瓶7000本との事で、常時スライム収集依頼の隣に少し高く掲示していたのだが。瓶7000本だと、標準スライム(大きさは肉まん)で個体数が70,000匹必要になるので、最初、初心者達は喜んで収集してくれたんだが。次第に飽きてきたようで、しかも乱獲するので狩場が段々遠くなってしまい。遠くまで行っても依頼料が見合わず、誰も受けない状態になっている。と、こんな事情があって。


 今回の依頼は、誰も見向きもしないでしょうといわれました。それどころか、常時依頼のスライムも集まらない状態で、それでは困ると、あちらこちらから言われるのですが、誰もスライム収集に行かないのが現状です」


 「すまん、瓶がないと話にならない。二人でなんとかしてくれないか」



 姉さんに聞くと、下級薬瓶は専用の鋳型があって、それに加工したスライムを流しこむと出来るそうで、薬師ギルドや錬金ギルド・魔法ギルドなどに納品する場合は、この瓶でなければ売れないそうだ。

 瓶に多少の不純物があっても、買うのが低級冒険者達なので”安ければ良い”とあまり問題にされないので、大量につくられるという。


 形状が統一されているのは、回復や解毒・状態異常治療など沢山の種類がある為、持ち運ぶ瓶が同じ形状でないと、ポーション鞄(割れないように、仕切りの付いた専用鞄)に入れても割れる恐れがある事。

 更に、解毒と言っても無数の毒があり、それぞれに解毒薬が違う事。

 状態異常も症状に応じて、対処する薬が違う事。

 回復薬でも多種多様な薬がある、例として”血止め優先、すぐに動かなければ”と”多少血が出ても、治療優先、早く治るように”では、薬の薬効が違う。

 瓶にはラベルという物は無い。薬師担当の冒険者は、狩場に応じて最適な薬を決め、色や漏れる匂いで買った薬の種類を記憶するという。

 この低級瓶は、この島の統一規格になっているそうで、姉さんが弟子の時は、工房で瓶つくりをしていたそうだ。



 さてと・・・町に出て来たのはいいのだが、どうしよう?

 「スライムを取って、瓶を作る?型と道具があれば作れるが」

 それは時間がかかる、工房の作業が止まってしまう。

 「工房を廻って、瓶を売ってもらう」

 冒険者ギルドでも、スライムが集まらないのだよ、工房に在っても手放せないだろう。

 「それなら」



 前に行った、郊外に近い場所を目指す事にした。

 途中目についた、シスターの手配書。

 「あそこの店、まだ出てるよ。もう、容疑は晴れたと思うのだけど、まだなのか?」

 「あれを持ってきたのが、騎士団の従士だろ。町のそばの村までなら、そう遠くない。おそらくだが、村の事情聴取など、やっていないかもしれないよ」

 「えーっ。偽神父の話を鵜吞みにして、調べないの?」

 「そうじゃないか。その村は、昔だと別の国だろ。今でも領主が違うし、税も向うに払ってる。こっちから行く村担当の騎士団は、言わば雇われ騎士団だし。盗賊や村同士のいざこざなら別だろうが、薬程度なら本気で村を調べようとか守ろうとしないだろうよ」

 「じゃ、この手配書は、ずっとこのまま?」

 「それじゃ、困るんだよ。同じ国だろうから、騎士団が全ての町に手配書を、送ってると思うよ」

 それじゃあ、どうすれば・・で話が終わってしまった。



 低い杭と侵入防止の板で囲われた場所。その入り口を入ると、見知った顔が立っていた。

 「よう、また来たな」

 荷馬車に背を預け、何かを持っているか入り口を見ていた。

 「こんにちは、今日も漁村に行くのですか?」

 「いや、昨日までそっちを回っていたんだ。今日からしばらく、村を回る予定だ。」

 「もう仕入れは、終わった?」

 「ああ、もうちょいだね。今は、それが来るのを待ってる。嬢ちゃん、今回もなんか頼みかい?」

 「お願いしていいですか?」

 「こちとら商売人だ。儲け話なら大歓迎だ」

 あたりを見渡す。荷受け待ちだろうなのだろう、彼の荷馬車は、入り口の奥に止めてあり、他の荷馬車が集まっている場所から離れている。

 「実はですね、実入りの良い儲け話があるのですが」

 「へぇ」

 前回の手紙には、相場より多めに包んであった。それを思い出したのだろう。


 立ち話もここでは、と見張りにきしを置いて荷馬車の裏に行って交渉する事になった。

 「俺に来る荷馬車には、目印にこんな模様が書いてある。それが来たら、ここに停めさせて、俺を呼んでくれるかい」



 30分程たった頃、道の向こうに教えられた模様の荷馬車がやって来た。言われた通りに、声をかけ、停める場所に荷馬車を案内する。


 姉さんと行商人との話は、終わっていたようだ。

「分かった。ところでこんな美味しい話だが、俺一人だと手が足りない。仲間を誘っていいかい?」

 「ええ、何人でも結構ですが、少しずつ増やしていきましょう」


 なにやら、企んでいる姉さんの顔。

行程表★★ 姉さん・きし


5月 行程など

1日~2日 ギルドで安全性を検証

2日 きし夕方帰宅。

3日 大掃除

4日 治療薬作製開始 

   下級薬瓶不足が問題化

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