表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/42

第三十六話

「大変だ! 大変だ!」

 翌日、私は叩き起こされた。

「マコ、急げ! すぐに来い」

 かなり焦った様子のケンタが私の手を引っ張り、ムリヤリ家から連れ出そうとした。

「ちょ、ちょっと待って」

 私はわけもわからず、ケンタに引かれるがままについて行った。


「え? な、ええ? これは……」

 ケンタに連れられて、卍川まで来た。そこにはたくさんの野次馬がいて、大変混雑していた。

 野次馬の隙間を掻い潜って、川岸まで行って、私は驚いた。

 ――卍川の水が、全てなくなっていた。

「マコが川から出られたって聞いて、会いに行こうと思って外に出たらこの騒ぎだった。川の水が当然、なくなってしまったんだ。これって、もしかしてマコが川から出られたことと、何か関係があるのか?」

 ケンタは大変困惑した様子だった。私はこの状況を見て、これは魔女の仕業だとすぐに分かった。『龍』から町を守るために、川の水を全てなくしたんだ。川の水が全てなくなれば、『龍』が来ても、町は水没しなくて済むだろう。これは魔女の魔法だ。

「私もよくわからない」

でも、私はとっさに嘘をついた。魔女の話をしても誰も信じてくれないだろうし、魔女や河童のことを他の人に知られたくなかったから。

「ごめん、私、ちょっと体調悪くなってきた。帰るね」

 私はケンタに体調が悪くなったと嘘をついた。北卍に行って、河童の様子を確認したかったから。

「大丈夫か? 送っていくよ」

「ううん。大丈夫だから、ケンタいろいろありがとね」

「そうか。わかった。気を付けて」

「うん」

 私は振り返り、数歩歩いてから立ち止まった。

「ケンタ、ちゃんと返事するから、もう少し待ってくれる?」

「あぁ、俺は気の長い方だから、待っているよ」

「ありがと」

 私はケンタに感謝を述べて、今度は立ち止まることなく、北卍へと急いだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ