FILE30 暫くは止みそうにない雪
雪がしんしんと降り始めた頃、みなはこたつに入って談笑していた。
「なぁ、そいや、勉強は?」
瑠亜が言うと飛夜理は「そんなん知らん」と返した。
「飛夜理はまともな奴だと思ってたのに………」
「諦めろ。ここにまともは通用しない」
「そんなァァァァ」
まともは通用しないというより、まともも後にはおかしくなるという意味である。
「ふふ、まぁまぁ、新人クンは元気ね。昔は飛夜理くんも真面目な子だったのに。」
そう言って現れたのはお菓子やらを持ってきてくれた羅依がいた。
瑠亜は『新人クン』と言われて、少し恥ずかしそうに「新人クンはやめてくださいよー、ここに来てもうすぐ一年立ちますし」と言っていた。
「ここでは三年立つまでが新人クンよ。」
「そんな………」
羅依のドヤ顔で話す姿につい瑠亜は苦笑いをした。
愛歌がこんな光景を見て少し頬がゆるんだ。そして、舞菜がにぃっと笑い、「愛歌どうしたのさ」と笑いながら言っていた。
「微笑ましいな………なんて。」
「ふぅん、珍しいー。風の吹き回しが変なのかね。」
「失礼な。」
にひひと笑う舞菜の顔を見て、軽くため息を着くと、夢が「ほら、あんたら続き始めましょ」と言った。
「優ー、わからないーぃ。」
「どこですか?…………これですね。これは………………」
舞菜に数学を教える優はどこか教師らしかった。
「なんか、優って将来、主夫か先生やってそう〜」
舞菜の無邪気な笑と声と話し方に優は「そうですかー?」と笑って話していた。それを見て愛歌は手を組み、こう言う。
「なんでこうも舞菜は………鈍いのか。」
「愛歌が言えたことではないわよね。」
夢のツッコミに愛歌は無言で目をそらした。夢はそんな姿を見て「ま、いいんじゃないかしらね。」と呟いた。
「夢………らしくない。」
「なによ、悠志。」
「……………別に。愛歌、それ全問間違ってる。」
悠志は話をはぐらかす。言われた通りページを見ると確かに全問答えが間違っていた。
「見事なまでの全問ミス」
飛夜理が言うと愛歌はボカスカと彼を叩いた。
「うるさい!あんな問題を出す先生が悪い!」
そう言い張る愛歌を見て、瑠衣が「愛歌がムキになるなんて珍しい」とぽつりぼやいた。
「真吾先生にこんな風に言うのは珍しくないわよ。」
夢がいつものこといつものことと笑う。もう一度瑠衣が愛歌を見たら、小さな手にいつもの刀が握られていた。
「え、あれ、普通なの?」
「えぇ。」
外は降っていた雪が高くに積もり、一面銀世界だ。下界と関係を絶った村を閉じ込めてしまいそうな銀世界。
まだ村の春は遠くにある。この雪は暫く止みそうにはない。




