FILE29 やる気ないですね
愛歌自身、冬はあまり好きではない。なにせ、村を真っ白にしてしまうから。何色にも染まる白色がむかしから嫌いだったから。だから、彼女の私服には『白』がなかった。
「愛歌。」
「ん?」
声を掛けたのは飛夜理だった。彼は寒い冬なのにも関わらず、見た目はとても軽装だった。今日は少し、夢と優の家に集まることになっていた。
「勉強会やろーなんて舞菜が言うから雪が降るのよ。」
愛歌がぶつくさと文句をこぼした。そう、今日、夢たちの家に集まるのは全員成績が微妙に落ちてきているので、勉強会をすることにしたのだ。
「夢ー、優ー、来たぞ」
「はいはい!今開けますねー。」
飛夜理が言うと、2人とは全く違う声がした。えっと、飛夜理は声を漏らしたが、一度我に返った。
「あ、羅衣さん………。お久しぶりです。」
現れたのは二人の母・羅衣であった。相変わらずのベレー帽は前まで黒かったのが、白色に変わっていた。
「お久しぶり。さ、上がって上がって。」
飛夜理は失礼します、と言いながら入っていく。そのあとに続いていた愛歌に羅衣が「愛歌ちゃん、私服から黒が減ったわね」と言い、愛歌が首をかしげた。けど、したを一度見て、すこし微笑んだ。
案内された和室には優たちがもう揃っていた。
「おはよう。」
「おはよ。で、今日は……………」
一通り挨拶をし、飛夜理が教材の入った鞄を漁っていると、優が突然口を開いた。
「そういや、もあ先生が『お前ら理数悪すぎ。真吾の教え方が悪いのかは知らんがな』って言っていましたよ。」
そのセリフを聞いた皆はいきなり、理科や数学の教材を取り出していた。
「「やるかぁぁ」」
「やる気ないですね!?」
優はあははと苦笑いをしていた。
これは何処にでもある、友人と全く進まない勉強会。そんなのは下界で探せばいくらでもあるはずだ。瑠衣や瑠亜は散々なほどそれで失敗して、後悔してでも、楽しいと思ったことはなかった。
今は違う。そうとだけ、二人は思っていた。
「さて、はじめるか………!」
瑠亜の声に皆は渋々おー、と言っていた。




