FILE19 射的と不自然な草
ドドン、と大きな和太鼓の音が響く。その力強い音は舞菜の父親が叩いている太鼓の音だ。
「舞菜のお父さんって、面白可笑しい人だったのに、こうなると凄いよね。」
瑠衣の言葉に麗華が「そりゃそーよ」と返した。
「って、舞菜!待ちやがれっ!!」
話している間に進み出した舞菜に麗華が口調を荒くして呼びかける。
私達も行きましょう、と夢が言い、そうですね、と優が返し、続くように皆が歩き出した。
「よう!やっぱり来たかお前らー」
声の主が真吾だということはすぐにわかっていた。彼は普段よくジャージ姿でいることは知れているが、今日の格好は普段と違う、セーター姿であった。
「あー、先生たち、今年の屋台、射的なんだー!」
舞菜がニコニコと笑いながら駆け寄る。
「おー、あんたら来たのね。」
もあも珍しく髪型をポニーテールにして、荷物を運んでいた。
「1回やってかねぇか?」
「やるーっ!!」
そんな真吾の誘いにあっさり乗って、舞菜たちはゲームを始めた。
射的は1人3弾。彼らの場合、大体一発は反れるので、
「お、お前らー、狙えよ。」
と、真吾は呼びかけた。一行は「はーい」と返事を返した。
「じゃ、まずは夢ー」
はーい、とやる気のなさそうな夢の声ではあったが、三弾とも、小さいお菓子に当たった。
「見事だなぁ………!」
影から見守っていた真吾たちも感嘆の声をあげた。
次は飛夜理ー、と舞菜が言う。
「うーん、どうしようかな」
「やーい、銃家頑張れやーい」
ふざけた舞菜と麗華の茶化しに飛夜理はむっと頬を膨らまし、一気に3弾とも撃った。
2発は何かにあたり、1発は、明らかに違うものに当たっていた。
「ちょ、何、1発外して……!!」
麗華の声に、飛夜理は「だって!!あそこに!!」と屋台の後ろをゆびさした。
「飛夜理ー!!♡何してくれてんの!♡」
屋台の後ろから希が飛び出てきた。
「でもなんで、飛夜理、希さんが居ることに気づいたんさ。」
「ふわふわの不自然な草が生えてたから……!」
慣れたやつのセリフだ……。皆は揃ってそうおもった。
「まぁいいや♡レアな飛夜理撮れたし♡」
「消せくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
飛夜理は泣き目であった。あはははと走り抜ける希。それを追う飛夜理。それはとても平和な光景だった。




