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十一話

友達から「空気なヒロイン三人出してやれ」と言われたので、どうにかこうにか出すのに苦労してたら普段の倍になってました。

(精神的に)疲れていたのも、ギルドで清算したときに一気に解消された。


 依頼を受けてなくても良い、いわゆる「常駐依頼」に石人形や砂雀、石蛙の名前が入っており、所持金が増えたというのもあるが、その額はあくまで少額だ。(といっても金欠だったから助かる。)

 ただそれ以上に、大岩蛙のドロップアイテムが高値で売れたのが驚いた。

 その額は驚異の一万五千。


 なんでも、王宮で使っている侍女人形(メイドゴーレム)のコアの更新時期が近づいていて、そのために集めているそうだ。



 何はともあれ、一気に大金が舞い込んだ俺は、その足で買えなかった鍛冶セットと使いきりじゃない方の携帯修理セットを購入した。


 それでもまだまだ金がある俺は、宿屋の夕食を一品おかずを増やし、なおかつ大盛りにするというプチ贅沢を楽しんで就寝した。





 ゲーム内で四日目。

 相も変わらず、寝たときの心地よさが無いのが惜しい。



 宿屋で朝食を食べ、中央広場の露天を冷やかしつつ携帯食料等の必要な消耗品を買い揃えていた。


「あのぅ……カゲトさんですか?」


 名前を呼ばれたので振り返ると、そこにいたのは食堂であったルーシー、オリガ、ラナーの三人だった。


「えっと……ルーシー?オリガさん?ラナーちゃん?」

「Hi.そうですよ。」

「ふふふ。お久しぶり~。って言っても、まだ一日も経ってないですけどね~。」

「え、えっと…あの……。お久しぶり……です。」


 一応他人の空似の可能性もあるので確認したが、間違いないようだ。


 ラナーちゃんは、現実よりも小さく俺の腰くらいの身長で、顔も隠せるほどの黒いとんがり帽子を被っており、恥ずかしがってるのか顔を隠していて見えない。

 服装は、白色のヒラヒラとしたフリルがついた膝くらいまでの黒色のゴスロリチックなスカートに、スカートと同じ黒色のブーツ、上半身は何を着てるかは分からないが、きっと他の服装と同じ黒いゴスロリチックな服なのだろう。


 オリガさんは、新雪のように白かった肌を褐色にして耳を尖らせていた。

 身長は相変わらず高く、服装は青を基調とした修道服の上から鉄製の胸当てをつけている。

 性格こそぽんやりしているが、見た目はさながら騎士って感じがする。


 ルーシーは……


「なぜスーツ?」


 赤い髪を黒髪にしてオールバックにして、白のカッターシャツに男性用の黒のスーツの上下。

 今でも男装の麗人といった感じだが、これで眼鏡をかければバリバリのキャリアウーマンに見えるだろう。


「本当は燕尾服がよかったのですが、燕尾服は自作で、と言われましたので、雰囲気の似たスーツを頂きました。」


 なぜ燕尾服……と思ったが、ルーシーは背中に「ヲタ道まっしぐら」とプリントされた服を着るぐらいだから、重度のオタクなのだろう。

 ならばおそらく……


「執事か。」

「Yes!日本のアニメは最高です!その中でも○執事はかっこいいです!」


 ルーシーはオタク特有の、好きな話題を振られるとテンションが上がる衝動に駆られているようである。


「ですから……あ」


 お、周りからの生暖かい視線に気づいた。


「あわわわ、と、取り乱しました~!?」

「うふふふ、ルーちゃん可愛かったわよ~。」


 平常心に戻って、顔を両手で隠して照れてるルーシーをオリガさんがニコニコしながら頭を撫でてる。


 ちなみに名前だが、ルーシーが「ルー」、オリガさんが「シチェ」、ラナーちゃんは「ラナ」、というキャラ名にしている。

 見た目からすると、ルーは斥候、シチェさんは前衛、ラナちゃんは魔法使いといったところか。

 ちゃんとバランスとれてるなぁ…。


「失礼しました。実はカゲトさんには一緒にフィールドにいってほしいんです。」


 冷静になったルーの話を聞くと、通常時は三人でパーティーを組んで東の平原を中心に遊んでいるのだが、南の森へクエストで行かなければならず、南は平原と違いモンスターの数が多いのが特徴と知って、人数を増やしたかったのが理由のひとつ。

 それなら同じ女性プレイヤーを誘えばとも思うが、そこにもうひとつの理由が……。


「つきまとい?」

「そうなんです……。」


 なんでも、女性だけのパーティーじゃあこの先やっていけなくなるから男の俺達が入って助けてやる、と絡んでくるナンパ野郎共がいるとの事。

 東の平原へはまだ二回しか行ったことはなく、そのため三人ともあまりレベルが上がってなく、逆に向こうは戦闘をバリバリやってる攻略組だといってるらしい。

 しかも……。


「その人達オーガで、恐いんです。」

「あぁ、なるほどなぁ…。」


 確かに、オーガはでかいし顔は厳ついし、筋肉ムキムキでいかにも強そうな見た目をしており、威圧されれば普通にびびるわなぁ…。

 と、俺が考えているとシチェさんとラナちゃんが近づいてきて(と言っても、ラナちゃんはシチェさんに背中を押されてだが)。


「え、えっと…あの……。助けてください。」


 ラナちゃんが目を潤ませながら上目使いのお願い。

 後ろで指示したであろうシチェさんがニヤニヤと笑っているのが見えるが関係ない!

 これを受けねば男が廃る!


「わかりました。一緒にいきます。」

「ありがとうございます!」

「ありがとう……ございます。」

「うふふふ、ありがとうね。」


 平静を装いながら返事をすると、ルーとラナちゃんから普通にありがとうをもらえた。

 シチェさんはいつのまにか俺の後ろに回っていて、耳元で囁いてきた。

 いつ背後を取られたのか分からなくて怖いし、背筋に震えが走るのでやめていただきたい。


 と、三人と話をしていると向こうの方から、回りの二階建ての建物と同じ大きさの男が二人やって来るのが見える。


 いや、こいつらタイミング良すぎだろ……。

 まさかNPCのイベントじゃないだろうな。


「おうおう、ここに居ましたか~、可愛い子ちゃん達~!」

「俺らとパーティー組む決心は着いたか~ギャハハハ!」


 なんともチャラいしゃべり方をする二人組だな。

 一人は革鎧に背中に体格相応の大きな弓を背負っているところから、遠距離担当だろう。

 もう一人は同じ革鎧をつけているが、武器を持っておらず鉄の籠手をつけているから肉弾戦型の近距離担当なのだろう。


 顔に関しては……設定時に顔を弄りすぎると発生する違和感だらけで、もはやモザイクのように感じる。


 二人が来てから周りの通行人は端へ寄り野次馬となり、ラナちゃんはシチェさんに抱き寄せられ、ルーは僕の後ろに隠れている。


「おやおや~?そんなちっちゃなヒューマンに頼るんですか~?」

「そんな俺たちが踏んだだけで潰れそうなチビ助より、俺たちの方がフィールドでも現実のベッドの上でも頼りになるぜ~ギャハハハ!」


 なにやらモザイク二人組が挑発をしているようだ。

 とりあえずのってみることにした。


「黙れ、顔面卑猥物コンビ。」


 俺がそういうと、辺り一帯が二人組含め静まり返った。(一部でブッっと物を噴き出す音はした。)


「い、今なんていった?」


 先に硬直が溶けたのだろう弓モザイクが聞き返してきた。


「なんだ、耳にまで規制がかかってんのか。黙れ顔面卑猥物コンビって言ったんだよ。 この三人に声掛けるならせめてその顔面に付いた違和感という名のモザイク取ってから出直せ。」

 事実を隠さず話すと、モザイク二人組は顔を真っ赤にして(そこまで再現できるのか)、籠手モザイクは握り拳を撃ち合わせ、弓モザイクは背中の弓を取り矢をつがえ始めた。


「上等だよ、チビ助~!ブッ潰してやる!痛覚最大で《決闘》だ!」

「いいぜ、その顔面のモザイクを全身に広げてやんよ。」


 決闘とは、プレイヤー同士が戦うための定番のシステムで、このシステム内ではお互いが了承すれば、普段は切ってある痛覚再現システムを最大で現実の半分程度の痛みまで再現できるようになる本格派システムだ。


 さて、挑発して決闘をすると決まったは良いが、二対一は辛いなぁ。どうするか……。


「ちょっと待ったぁぁあああああ!!」


 と睨み合っていると、野次馬の中から威勢のいい声が響いた。


 声のした方を見ると、一人の男が仁王立ちをしていた。

 そいつは全身鎧(フルプレート・メイル)に身を包み、腰には鋭い棘の付いた打撃武器の一種であるメイスを差した、近接戦闘を主体にしてるであろう戦士だ。


 ただし小さい、身長にして100cm程度だろうか。

 鎧もよく見ると実は布製の服にプリントされてるようで、頭部の兜もただの帽子のようだ。


 背中に半透明の羽があることから、小妖精族なのだろう。

 なぜ生産特化種族が近接戦闘装備してるってかこの場になぜ出てきた!?


 ……見なかったことにしよう。


「……一人では少々厳しいか。」

「二対一で挑むつもりか~?」

「こらー!無視すんな~!!」


 出てきた小妖精の存在を無視してみたら、弓モザイクはしっかり乗ってくれた。

 どうやら弓モザイクは意外と話のわかる奴らしい。

 まぁ、小妖精はしっかり絡んできて、あんまり意味がないみたいだが。


「……うぅ。無視すんなよ~。」


 無視していたら小妖精は泣き出した。

 男なのにこんな簡単に泣くなよな。

 面倒くさそうだけどしょうがない、仲間にいれてやるか。


 ちなみにこの間、籠手モザイクは楽しそうにガッキンガッキンと、握り拳を撃ち合わせ続けていた。

 どうやらハマったらしい。


「どうせ俺なんて……、どうせ俺なんて……。」

「あ~、今二対一で不利なんだが、協力してくれるか?」

「え?あ、あぁ!もちろんだとも!このアポロン様に任せとけ!」


 仕方なく声を掛けると、小妖精改めアポロンは泣き顔から一転、満面の笑みで返してきた。


 俺が籠手モザイクと殴り合いたいから、アポロンには弓モザイクを担当してもらおう。


「アポロン、お前は弓を相手してもらっていいか?」

「大丈夫だ、問題ない!」


 アポロンに相手を確認すると、古いギャグで返された。

 ……とても不安だが、やってもらうことにしよう。

 最悪最初の二対一に戻るだけだから、どうにかなるだろう。


【カゲト&アポロンVSルシフェル&ケルベロス の決闘を行います。よろしいでしょうか?】


「もちろんだ。」

「ぶっとばしてやるぜ~ギャハハハ!」


 さて、何はともあれ。殴り合おうか!

誤字脱字、感想に評価待ってます。

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