第1話:ガス爆発で飛んだ先は、ブラック企業の面接会場でした
【第1話:まえがき】
もしもあなたが、ある日突然異世界に召喚されたら、何を望むでしょうか? 伝説の聖剣? ハーレム? それとも世界を救う栄光?
残念ながら、この物語の主人公・神木コタロウには、そんな大層な野望は1ミリもありません。 彼が望むのはただ一つ。「いかにして効率よくサボり、楽をして生きるか」。
これは、本来なら勇者になるはずだった(かもしれない)省エネ志向の大学生が、お節介すぎる高性能AIと、ポンコツ可愛い幼馴染の聖女、そして個性豊かすぎる異世界の住人たちに振り回されながら、意図せず英雄への階段を駆け上がってしまう(駆け上がらされてしまう)、不本意極まりない冒険譚です。
努力はコスト。冒険はリスク。 そんな彼の「絶対に頑張りたくない」異世界生活が、今、幕を開けます。
第1話:ガス爆発で飛んだ先は、ブラック企業の面接会場でした
1. 運命の昼下がり(日本)
大学2年の春。
柔らかな陽射しが降り注ぐ午後2時。
世間一般の大学生が講義室で睡魔と戦っている頃、俺――神木コタロウ(19)は、キャンパスの最果て、研究棟の裏手にあるベンチで虚空を見つめていた。
「……暇だ」
目の前には、無骨な仮囲いのフェンス。
その向こうでは研究棟の増築工事が真っ最中で、巨大な重機が唸りを上げて地面を掘り返している。
ガガガガッ! ズドーン!
という騒音が鼓膜を震わせるが、それでも俺はここにいた。
なぜなら、ここはこの大学で最も人口密度が低く、誰にも邪魔されずに時間を浪費できる聖域だからだ。
俺には確固たる**「省エネ哲学」**がある。
「努力は裏切らない」という言葉があるが、俺に言わせれば「努力はコスト」だ。コストパフォーマンス(対費用効果)を無視した努力は、単なる自己満足に過ぎない。
例えば、大学の単位取得について。
卒業に必要な単位を取るために、全ての講義に真面目に出席し、教授の雑談までメモを取る学生がいる。立派だが、コスパは最悪だ。
俺は入学初日にシラバスを全解析し、エクセルで管理表を作成した。「出席点が重視される講義」と「期末テスト一発勝負の講義」を仕分けし、さらに「代返が可能な大教室」と「顔を覚えられるゼミ」をリストアップ。
その上で、合法的にサボれる回数(通常は全15回のうち5回)を計算し、今日はその「計画的サボり日」として、午後の講義をパスしたのだ。
「……さて、寝るか」
俺は顔にタオルをかけ、工事の騒音をBGMに本格的な昼寝モードに入ろうとした。
その時だった。
「(はわわわ! やばい! 2限の教室移動、間に合わないぃぃ!)」
ドタドタドタッ!
まるでドラム缶が転がってくるような、騒がしい足音が近づいてくる。
俺はタオルを少しずらして、ため息交じりにその方向を覗いた。
茶髪のボブカットの女子学生が、今にも崩れ落ちそうなほど大量のプリントを抱えて、猛スピードで走ってくるのが見えた。
篠宮アヤネだ。
同じ高校からエスカレーター式に大学に入って同じ学部になった、所謂腐れ縁の仲だが、俺とは対極に位置する人間だ。
彼女は常に最前列で授業を受け、教授の一言一句をノートに書き留める「超・真面目ちゃん」。
だが、致命的に要領が悪い。
頑張って書いたノートをその日に無くしたり、教室を間違えて遅刻したり、徹夜で仕上げたレポートの保存を忘れてデータが消えたりと、常に何かに追われている不憫な生き物だ。
(……あいつも大変だな。この研究棟の裏道、本校舎への近道に見えて、実はフェンスのせいで遠回りなのに)
俺が心の中でツッコミを入れた、その瞬間だった。
「あだっ!?」
何もない平らな地面で、アヤネが盛大につまずいた。
物理法則を無視したような転び方だった。彼女の体は前のめりにダイブし、抱えていた大量のプリントが、まるで祝砲の紙吹雪のように空中に舞い上がった。
「ふぇぇ……またやっちゃいましたぁ……」
アヤネは涙目で膝をさすりながら、散らばったプリントを慌ててかき集め始めた。
運の悪いことに、工事現場特有の乾いた風が吹き抜け、プリントがヒラヒラとフェンス際へと飛んでいく。
「ああっ! 待ってぇ! 私の『法学概論』のレジュメぇぇ!」
アヤネが悲鳴を上げて追いかけるが、紙は無情にも重機の稼働エリアのすぐ近くへと吸い込まれていく。
(……はぁ。ここを見過ごして寝るのは、流石に寝覚めが悪いか)
俺の「省エネ哲学」的には関わりたくない案件だが、知っている人間が目の前で困っているのを無視できるほど、俺はドライになりきれていなかった。
俺はため息をつき、ベンチから腰を上げた。
「……ほら、貸せよ。手伝うから」
「あ、コタロウくん……!? す、すいません! ありがとうございますぅ……!」
アヤネが顔を上げ、パァッと表情を輝かせる。
俺たちはしゃがみ込み、散乱したプリントを拾い集めた。
そして、最後の一枚――重機のキャタピラのすぐ近く、フェンスの隙間に落ちた紙に、俺が手を伸ばした時だった。
重機のオペレーターが操作を誤ったのか、あるいは地中の図面が間違っていたのか。
唸りを上げる巨大なアームが、地中に埋まっていた太いパイプを、勢いよく引きちぎった。
ドォォォォォン!!
空気を切り裂くような破裂音。
何かが金属を突き破る、嫌な音が響いた。
「え?」
「ひぃっ!?」
俺の間の抜けた声と、アヤネの悲鳴。
視界が真っ白に染まった。
思考する間もなく、全てを焼き尽くす熱波と爆風が俺たちを飲み込んだ。ガス爆発だ。
それが、俺たちの日本での最後の記憶になった。
2. 異世界への着地と、勘違い
「……ん、ううぅ……」
次に目を開けると、そこは焦げ臭い石造りの床の上だった。
頭がガンガンする。全身の骨が軋むように痛い。
霧がひどいのに加え、視界がぼやけて焦点が定まらない。
(……生きてるか。ここは病院か?)
俺は朦朧とする意識の中で、ナースコールを探して右手を伸ばした。
だが、指先が触れたのは、清潔なシーツでもプラスチックのボタンでもなく、冷たく硬い石の感触だけだった。
ベッドもなければ、点滴のチューブもない。消毒液の匂いの代わりに、何かが焦げたような匂いと、お香のような神秘的な香りが漂っている。
「すいません、看護師さん……痛み止めを……あと、水を……」
俺はどうにか上半身を起こし、周囲を見渡した。
徐々に霧が晴れてゆき、そこには白衣の天使はいなかった、どうやら病院でもないようだ。
そこで、思考が停止した。
床に描かれた巨大な幾何学模様――魔法陣のようなものを取り囲み、杖を持って深刻そうな顔をしている老人たちの集団。彼らが着ているのは、映画の撮影セットから盗んできたような、ローブやマントといったファンタジー衣装だった。
そして隣には、アヤネがへたり込んでいた。
「あ、あ、あ……」
アヤネは自分の手足をペタペタと触り、首がついているか、血が出ていないかを確認している。
そして俺と目が合うなり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で叫び出した。
「コ、コタロウくん!? 足ありますか!? 私、透けてないですか!? ここどこですかぁ!? 天国!? それとも地獄!? 私、今日の課題まだ出してないのにぃぃ!」
「落ち着け篠宮。とりあえず俺たちは生きてるっぽいぞ」
「だって、おじいさんたちが杖持ってますよ!? ここ三途の川の受付ですか!? 私の徳は足りてますか!?」
アヤネの錯乱ぶりに、周囲の老人たちがザワザワとし始めた。
「おい、言葉が通じるぞ」「召喚は成功したのか?」といった囁き声が聞こえる。
その人垣を割って、一際派手な格好をした男が歩み寄ってきた。
太鼓腹を包む深紅のベルベットのマント。首が凝りそうなほど大量の宝石がついた首飾り。そして頭には巨大な黄金の王冠。
後で知ったが、この男は聖王国ルミナスの第16代国王、レジナルド・ルーク・ルミナスだそうだ。
だが、その時の彼には「王の威厳」など微塵もなかった。
顔面は蒼白で、脂汗をダラダラと流し、指先を小刻みに震わせている。まるで巨額の横領がバレる寸前の中間管理職のような、悲壮な形相だった。
「せ、成功したのか……? おいローギス! 確認しろ! 勇者召喚は成功したのか!?」
レジナルド国王が悲鳴のような声で叫んだ。
側近らしき老魔導師に詰め寄る。
「こ、今回の儀式には、国家予算の半分に相当する最高級魔石を精霊に捧げたのだぞ! もし失敗すれば、反王国派の貴族連中が『国家予算を無駄に浪費した』とここぞとばかりに騒ぎ立てる! そうなれば王国派の信用は失墜し、余の立場がなくなるではないか! 失敗は許されんのだ!」
(……なんだこのおっさん。世界の危機とかじゃなくて、自分の保身でテンパってるぞ)
国王は血走った目で俺たちをギョロリと睨みつけた。
そして、俺を見てパァッと顔を輝かせた。
「お、男だ! 男がおるぞ! 異界の勇者は男だと相場が決まっておる!」
国王は俺の前に駆け寄り、ガシッと俺の両手を握りしめた。ヌルリとした手汗の感触に、俺は思わず引きそうになった。
国王は俺の顔を覗き込み、すがるような猫撫で声を出した。
「おお、貴殿が勇者様であらせられるか!? そうでしょうとも! その凛々しい顔立ち、異界の衣服、溢れ出るオーラ、間違いありませぬ!」
(いや、俺ただの大学生だし、オーラなんて出てないと思うけど)
「どうか! どうか我が国をお救いください、勇者様! さあさあ、すぐに鑑定を! 貴殿の素晴らしいステータスを国民に公表し、反王国派を黙らせねばなりません!」
国王はローギスを急かした。
「は、はい! 直ちに!」
宮廷魔導師長ローギスが、抱えていた大きな水晶玉を俺にかざした。
「失礼いたします、勇者殿」
俺は抵抗する気力もなく、あくびを噛み殺しながら手をかざした。
水晶玉がブォンと低い音を立て、その中に濁った灰色の文字が浮かび上がった。
【 神木コタロウ(19) 】
- 職業: 暇人
- 魔力: Fランク(一般人以下)
- スキル: ペン回し、フリック入力、ゴミ投げ、カンニング
「…………」
広間に、重苦しい沈黙が流れた。
誰もが言葉を失っていた。
レジナルド国王が水晶玉を凝視し、期待に満ちていた顔が凍りつき、そしてワナワナと震え出した。
「……え? Fランク……? 職業……暇人……?」
国王の顔から血の気が引いていく。
そして、堪えきれない怒りと絶望が爆発した。
「ご、ゴミではないか……! こんな一般人以下のクズを呼ぶために、余はあんなに莫大な対価を払ったのか……!?」
国王は俺の手を、まるで汚い雑巾か何かのように乱暴に振り払った。
「ふざけるなッ! 貴様のような無能になど用はないわ! 終わった……反王国派に追求されるぅぅ! 『税金泥棒』と罵られて退位させられるぅぅ!」
国王がその場に崩れ落ち、王冠がズレるのも気にせず頭を抱えて泣き出した。
「もうだめだ……余の政治生命は終わった……王家の恥だ……」
(失礼だな。誰がクズだ。勝手に呼んでおいて、勝手に絶望するなよ)
俺が呆れて肩をすくめていると、ローギスが気まずそうに、隣で震えているアヤネを指差した。
「へ、陛下。一応……念のため、そちらの娘も鑑定を……」
「ええい、どうでもいい! 女の勇者など聞いたことがない! どうせその男のオマケであろう! 好きにしろ!」
国王はやけくそ気味に手を振った。
ローギスは「失礼します」と、涙目で縮こまっているアヤネに水晶玉をかざした。
カッッ!!
その瞬間、部屋中が目を開けていられないほどの黄金の光に包まれた。
全員が「うわあっ!」と目を覆う。
強烈な輝きが収まると、水晶玉には、先ほどとは比べ物にならないほど神々しい文字が刻まれていた。
【 篠宮アヤネ(19) 】
- 職業: 聖女
- 魔力: Sランク(測定不能)
- 適性: 全属性(精霊に愛される器)
「せ、せせせ……聖女ぉぉぉぉ!?」
国王がバネのように飛び起きた。
その表情は、絶望の淵から一転、狂気じみた歓喜へと変わる。
「お、おいローギス……! こ、これは見間違いではないな!? Sランク……だと……?」
国王がすがりつくように問いかける。
「間違いございません陛下! ご覧ください、この『全属性』の輝きを! これこそ伝説に聞く『精霊に愛される器』でございます!」
ローギスも興奮を隠しきれない様子で声を弾ませた。
「で、では……へそを曲げた精霊たちも戻ってくるか……?」
「必ずや! この方のお力があれば、間違いなく!」
国王はアヤネの前に膝をつき、その手を取ってブンブンと握手をした。
態度の急変ぶりが凄まじい。
「おお、なんという奇跡……! よくぞ参られました、救済の聖女様! 貴女様こそ我が国の至宝! まさに救世主であらせられますぞ!」
「ひぃっ! 痛い、痛いですぅ! 手を離してくださいぃぃ! 帰してぇぇ!」
アヤネが泣き叫ぶが、国王は聞く耳を持たない。彼はすでに「自分の政治的勝利」しか見えていなかった。
「はーっはっは! これで反王国派もぐうの音も出まい! これだけの素材ならば、予算の正当性も主張できる! 余の首も繋がったわ!」
国王は上機嫌で高笑いをしている。
その横で、ローギスが恭しく尋ねた。
「王様、そっちのハズレはどのようにいたしましょうか?」
国王はチラリと俺を振り返った。
その目は、再び冷酷で、道端の石ころを見るような目に戻っていた。
「城の外に放り出しておけ。野垂れ死のうが知ったことではない」
「えっ」
騎士たちがガチャガチャと音を立てて俺に近づき、両腕を掴もうとする。
俺が抵抗しようとした、その時。
「ま、待ってくださいぃぃ!!」
アヤネが俺の服の裾にしがみついた。
「こ、この人と離れるのは嫌ですぅ! 知らない人ばっかりなんて無理ぃ! コタロウくんがいなくなったら、私、舌噛んで死にます! 今すぐ死にますぅぅ!」
あまりの錯乱ぶりに、国王たちは顔を見合わせた。
せっかく手に入れたSランク聖女に、精神不安定で自害されては、それこそ大損害だ。
「……むぅ。……わかりました。聖女様の御心が安らぐのであれば……致し方ありません。その『オマケ』の帯同を特別に許可いたしましょう」
「ほ、本当ですかぁ……?」
「それでは聖女様。聖女様には、我が王国と精霊とのつながりを急ぎ回復願いたいため、そのための道筋をいくつかご説明いたします。その中から、お望みになる道をお決めいただきたいと考えております」
ローギスが進み出て、アヤネに対し深々と一礼し、1つ目の選択肢を提示した。
「まずは**【A:王立騎士団へ入団】**でございます。
こちらは本来、勇者様が召喚された場合を想定して準備していた選択肢でございます。剣聖レオンハルトの下、最前線で魔物との戦いを経験していただきます。
聖女様であれば、勇者様に引けを取らぬ強さをお持ちと思いますので、なんら問題ないと思います。実戦を通じて、多くの精霊に、人間側に有利となる契約を受け入れさせることができると思います。」
「ひぃっ! 魔物との戦いなんて無理ですぅ! 血を見るのも嫌なのに!」
「戦いは精霊との絆が間違いなく高まる方法でありますので、最も効果的なのですが・・・残念でございます。それでは、2つ目の選択肢ですが、**【B:聖教会での保護】**をお選びになられることをお勧めいたします。
まさか聖女様が降臨されるとは想定しておりませんでしたが……この事態を知れば、教会側が必ずや身柄の引き渡しを申し出てくるでしょう。国賓級のVIP待遇となります。最高級のベッドに食事、何百人ものシスターがお世話をいたしますゆえ、指一本動かす必要はございません。
聖女様が大聖堂にて祈りをささげていただくことで、精霊に押し付けられた一方的な邪神による契約を消滅させることができ、引いては多くの精霊が我が王国に戻ってくることは間違いないでしょう。」
「えっ……お祈りするだけで、おいしいご飯も食べれて、お世話まで? ……それなら、私でも……?」
アヤネの心が揺らぐ。
俺も「ニート生活ならBか? 飯が食えるなら悪くない」と思った瞬間。
ピコン♪
脳内で軽快な電子音が鳴り、目の前に半透明のウィンドウが開いた。
どうやら、カンニング・AIとかいう、怪しげなスキルが、勝手に起動したようだ。
【 ⚠️ 警告:選択肢Bの裏データを参照 】
- 実態: 「鳥籠の聖女」計画。
- 拘束: 24時間完全監視。私語厳禁。トイレも入浴も監視付き。一生外出不可。
- コタロウの処遇: 男子禁制のため即時追放、または去勢処分。
「(……危ねぇ!! 色んな意味で終わるわ!)」
俺は背筋が凍るのを感じ、慌ててアヤネの耳元で囁いた。
「(……おい、騙されるなアヤネちゃん)」
「(えっ? でもご飯美味しいって……)」
「(Bは『監禁』だ。トイレもお風呂も厳ついオバサンに見張られるぞ。一生外に出られない)」
「(ひぃっ!? む、無理ぃぃ!!)」
「(それに俺は去勢されるらしい)」
「(えええ!? コタロウくんの大事なところが!?)」
「(とりあえず『C』の選択肢を聞いてみろ)」
俺の誘導に従い、アヤネは恐る恐るローギスの説明を聞く。
「最後に**【C:王立精霊学園への入学】**でございます。
こちらは、召喚された方が若者であった場合を想定して用意していた選択肢となります。入学後は全寮制の学園で精霊魔法を学んでいただきます。規則正しい生活が必要となりますが、王立精霊学園の生活を通じ、同年代の優秀な友人もできましょう」
すかさず、AIウィンドウが追撃情報を表示する。
【AI推奨】
- 選択肢Cのメリット: 授業中の居眠り可(後列席の確保が容易)。食堂のプリンが絶品。女子寮のセキュリティホール有り(脱走可能)。
アヤネが不安そうに俺の方をチラリと見て、目配せをしてきた。「これでいいの?」と訴えているようだ。
俺は「ああ、これしかない」という意図を込めて、小さく、しかし力強く頷いた。
それを見て、アヤネはおずおずと口を開いた。
「あ、あの……が、学園で……お願いします……」
アヤネが申し出ると、ローギスが恭しく頷いた。
「うむ、賢明なご判断でございます! 学園ならば精霊の扱いに長けた教授陣と多くの高位精霊も在籍しております。聖女様ならば、古より多くの精霊がこの国と交わしていた契約を再びとりなすことができるでしょう」
国王にとっては、聖女さえ確保できれば、政治的立場が守れるので何でもいいらしく、満足げに頷いた。
こうして俺たちは、消去法により「王立精霊学園」へ入学することになったのだ。
(第1話 完)
【第1話:あとがき】
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
Fランクの烙印を押され、ゴミ扱いされて城を放り出されたコタロウ。 しかし、彼には誰も(本人すら)気づいていない規格外のチートスキルが備わっていました。 ……というか、スマホ世代の現代人なら誰もが一度は夢見たことのある**「あの機能」**が、まさか魔法の世界で最強になるとは。
さて、次回は第1.5話。 豪華な食事と快適なベッド……と思いきや、コタロウの脳内に住み着いた**「カンニング・AI」**による、強制スパルタ講義が始まります。 「ペン回しが魔力チャージ?」「フリック入力で高速詠唱?」 ふざけたスキルの裏に隠された、とんでもない性能が明らかになります。
そして物語は学園編へ。 Fクラスという名の「監獄」で待ち受けるのは、賭博に興じる獣人や爆破狂のエルフたち。 果たしてコタロウは、このカオスな環境で「サボりライフ」を確立できるのか?
次回も、彼の苦労(とAIの暴走)を温かく見守っていただければ幸いです。 ブックマークや評価をいただけると、コタロウのやる気(サボり回避率)が少しだけ上がる……かもしれません!




