おまけ、止まった世界のアイスクリーム
止まった世界で戦っている最中。
ふと僕は、街角のコンビニ前に置かれたアイスのポスターに目を止めた。
「……なあ、アヤ」
「何?」
「この世界で……アイス食べられるのかな」
アヤが怪訝そうに眉をひそめる。
「は? 今そんなこと言ってる場合じゃ──」
言いかけたアヤの手から、砂の影を払った光が一瞬揺れる。
「ほら、集中して!」
「いやいや! だって、もし時間が止まってる間でもアイスが溶けなかったら……永遠に食べ放題じゃない?」
「……発想が小学生」
呆れたようにため息をつくアヤ。
でも、ほんの少しだけ口元が笑ってる。
僕は地下室の鍵を握りしめ、意を決してコンビニのドアを開けた。
「……開いた!」
止まった世界でも、扉は動くらしい。
中に入ると、冷凍ケースの中でアイスがきらきら光っていた。
「マジだ……全然溶けてない!」
「ちょっと、本当に取る気?」
「もちろん」
そう言って、僕はスッとケースに手を伸ばした。
――その瞬間。
「……動いた」
アイスのパッケージに描かれたキャラクターが、ゆっくりと瞬きをした。
「え、うそだろ!?」
「ちょ、ちょっと待って!? アイスにまで意志が!?」
僕とアヤは顔を見合わせ、固まる。
アイスキャラがにっこり笑って、こうつぶやいた。
「ぼくを食べるのは、君じゃないよ」
……。
影よりもよっぽどホラーだった。
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本編はシリアスだけど、たまにはこんなギャグ調もいいかなと思って書きました。
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