21 少年
守道は〈こおりやま〉に向かうと、いつものように仕事をした。
そして、「たすけて」という声があるとすぐそちらに向かった。
そして、それが首吊りの自殺志願者でどうやら両親が残した借金で明日が見えないので死にたかったが、実践してすぐ苦しくなって、正気に戻ってしまったらしい。
「わかるなあ。自殺って苦しいですよねっ! そんならもう俺に任せてください! あなた、お歳はいくつ?」
「十八歳」
「高校生?」
「卒業して、無職。働こうと思ったけど、親が人殺しやから誰も雇ってくれないんだよ。だからもう三百万の借金も返せないんだ」
そういう少年はまた泣き始めた。
守道は「三百万かあ!」と言うと、ちょっと来て、と言った。
「そのくらいならうちの口座にあるからさ。半分! ねっ、半分! 貸してあげるから残りの半分は自分で払っちゃおうのコーナー! なんちゃって、そういうのどう? できそう?」
「しゃ、借金返すのに借金するのはアホオブアホ」
「どわ〜」
結構言ってくる人だ、と守道は思わず冷笑。
「なんと、何年返済を延滞させても、利息? とかってのゼロ! だからいくらでも待つし、百五十万程度なら俺も困らない額だし」
「困る額だろ。いいよ、なんでお前にそこまでしてもらわなくちゃいけないんだ。お前は俺と何の関係もないだろ。ツラ?」
その少年は中性的な容姿をしていた。
「ごめん俺は同い年が好きだから。まぁ強いて言うなら、君みたいな若い上にそういう容姿をしている人が、自転車操業、略してチャリ操をして、なんか変なビデオとか出るハメになるとかはちょっとねぇ。岩手の株が落ちるからねぇ。俺が善意で動いたことは、今の今まで一つもないよ。全部俺のための行動なんだ」
助けを求める声に導かれて動くのは、そうしないと心地悪いから。人を襲う怪異を倒すのは、そうしないと心地悪いから。
なぜ心地が悪いのかは考えたこともないが、嫌いなものはやらない主義である。
「けれど……人からそんな、百五十万も借りるのは」
「いやだ?」
「…………」
「人には迷惑をかけなさいよ! 俺なんて特に人に迷惑かけてばかりだよ。けっこう頻繁に救急車呼んでるしさ」
そういって笑う守道に、少年は伏し目がちにしながら、唸る。
返済のあては、欲しかった。
しかし、いきなり現れて「お金貸すよん」は都合が良すぎる気がして、ぶっちゃけ言うと怪しかった。
「っていうか働きたいって言うなら、俺のバイト先紹介しちゃう。〈こおりやま〉っていう酒屋なんだけどさ、今もじつは働くべき時間帯なんだけど、俺の体質に理解を示してくれるオヤジさんで、割と融通が利くからそこで働くっていうのも、ありっちゃあり。まぁ考えておいて! なんならたまに見に来てよ。俺、君が死ぬのも玩具みたいに生きるのも嫌だからさ」
「なんで。……自分の為か」
「そのとーり」
守道は病気の人として書いてます




