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冬休み 壱・みずき会発足

青春は忙しい。学校生活は、勉強に、部活に、テスト。そこに私生活の恋や、友情、家族のこと、色々が絡んでくるから、大忙しだ。

けれど、そんな中だからこそ、大切な人、ものと出会って、得て、失って、いく。

 期末テストは、あっという間にやって来て、あっという間に終わった。


 オレは、希良と輝がいない時にも、宮﨑や青木、目黒さん、澤田さんと、一緒に勉強したおかげで、苦手な漢文や古文、現代文までも、キャリアハイの成績を取ることが出来た。

 

 冬休み、年内の塾、最終日。

 オレたち5人は、二学期のお疲れ会と称して、塾の近くのファミレスに集まって、希良と輝を待っていた。

「もうねー、みんな、樺沢くんが出来るって、思ってはいたけど!まさか、ここで、こんな成績を叩き出すとはね。

 他のクラスの子にも、樺沢くんのこと、すごい、聞かれたちゃったよ!」

 澤田さんが何故か、はしゃいだ声で、そんなこと言うから、目立つのが苦手なオレは、ちょっと焦る。

「え?聞かれたって、何を?」

「樺沢くんって、あの、ガンダム作った、可愛い子でしょ?って。」

「なんだよ、それ。勉強のことでも、何でもじゃないじゃん。まぁでも、いきなり、学年5位だもんな。そうなるか。

 ウチのクラスでも、話題になってて、保里がみんなから聞かれてたぜ。『樺沢って、お前がいつもツルんでる、あの、可愛いヤツだろ?』って。で、保里がそれに、ツンケンしてた。」

 青木が、笑いながら、オレの肩を抱いてきた。

「ツンケンするなよなー、保里はさ〜、っとに、ここんとこ、ぜんぜん首位も、譲ってくれないし。」

 宮﨑が、珍しく、悔しそうに言う。

 確かに、前は、輝と宮﨑が、交代で学年トップだった気がするけど、ここ最近は、校外模試も含めて、確かにずっと、輝が首位をキープしていた。

「へー、宮﨑でも、悔しいとか、あんのか…。」

 つい、ボソッと呟いたのを、宮﨑が、聞き逃すことはなかった。

「あ?なんだって?」

「あー、イヤ、別に…。」

「そりゃな、悔しくも、なるって。保里のヤツ、前は、3回に1回くらいは、首位を譲ってくれてたのに…。

 最近じゃ、樺沢と一緒だからか、頑張っちゃってんだよ、アイツ。」

「あー、それはさ、宮﨑。お前、保里を本気にさせちゃったって、ことだな。樺沢に、手ェ出したから。」

 面白く無さそうな宮﨑を見て、青木が笑う。

「別に、手なんて、出してないだろうよ。な?樺沢。」

 そんな宮﨑を見て、オレは、苦笑いしながら、前に、宮﨑に勉強を教わったことに、輝が嫉妬した事を、思い出していた。

「あー、でも、あるかも。それ。」

「あ?」

「あ、いや、手、出した、とかじゃなくて。

 オレが、宮﨑に勉強見てもらうの、かがやから、面白くない、みたいに言われたことが、前にあってさ。

 自分の場所、取られた、みたいな感じ?」

 慌てて言った、オレの言葉は、なんだか言い訳みたいだったけど。

「なんだよ、それ。あーもういい。そんなの気にしてらんない。オレらはオレらで、遊ぼうな、樺沢!」

と、宮﨑が、テーブルの下のオレの脚を絡め取って、笑って、オレもそれに、

「だな。」

と、笑って応えた。

 

「お待たせ〜。悪い、遅くなった。」

 希良がそう言って、笑いながら、入ってきた。

「何、やってんの?宮﨑?」

 挨拶もそこそこに、輝が、宮﨑にツンとした声をかけた。

「おう、お疲れ。何って?」

 宮﨑がきょとんとして、聞き返す。

「脚。それ、何やってんだよって。」

 オレも宮﨑も、言われてから、気がついた。さっき、テーブルの下で絡め合っていた脚が、まだ少し、残っていただけなんだけど。

「お、悪い、ちょっと、ふざけてた。」

 慌てて、脚を引っ込める宮﨑。オレも立ち上がって、

「そう、ちょっとふざけてただけだって。お疲れ様、かがや。そんな顔、しない。ほら、こっち、ここ、座って。」

そう言うと、輝の手を引いて、自分と青木の間に、座らせた。

「そうそ、かがや、落ち着けよ。あ、オレ、そこ、入れて。」

 希良も輝を宥めながら、自分は宮﨑と目黒さんの間に入って、腰を下ろして、半円形の座席に7人が勢揃いした。


「えー!なんか、壮観。学年トップ5が、ここに勢揃いしてる!」

 澤田さんが、再び、歓声を上げた。

「何言ってんのよ。澤っちと青木くんだって、いつも十位以内なのに。」

 目黒さんが、半ば、呆れたように首をふる。

 そう、目黒さんは希良と交代で、輝と宮﨑に次ぐ、学年三位を競っているし、澤田さんも、青木も、目黒さんの言う通りだった。


「いや、ホント。オレのは、フロックみたいなもんだけど、ここにいるだけで、成績、上がりそうだよなぁ。」

 澤田さんと目黒さんの言葉を受けて、オレはちょっとふざけて、そう言った。すると。

「樺沢、まだ、そんな事を?お前、ウチの学校で、常に学年二十位に入ってる意味、まさか、分かってない?」

 例によって、宮﨑が、説教口調で、絡んできた。

「もー、宮﨑くんの言う通りだよー。樺沢くん、ずっと、二十位以内、てか、ほぼ、十五位以内だったし。もっと言わせてもらえば、1年の時なんて、あれだけ休みがちだったのに、それでも、あの成績って、すごいことなんだからね!」

 目黒さんにまで、そんな事を言われて、周りを見ると、希良も、輝も、みんなが笑って、オレを見ていて。もう、照れ臭さに、下を向くしかなかった。

 

「じゃ、乾杯する?二学期、お疲れ様ってことで。」

 ピザやポテト、チキンがテーブルに並んで、目黒さんがそう言うと、全員が頷く。

「樺沢、ひと言、だな。」

「え?なんで、オレ?」

 宮﨑に言われて、不満気な声を上げてみたけど。

「いや、その通りだな。この会、集まったのって、樺沢きっかけだもんな。『樺沢会』?ちょっと硬いか?『みずき会』?うん、『みずき会』だな。」

 青木がそんな事を言い出して、オレは慌てて、止めようとするが、話はお構いなしに進む。

「あー、いいね、『みずき会』。」

「ナイス、青木くん!」

 希良と目黒さん、澤田さんが笑顔で同意した。

「いや、待て。保里が、納得してないぞ。」

 宮﨑が、みんなを制して、輝の方を見た。

「別に、納得してないわけじゃ…。」

 そう言う、輝の顔は、思いっきり、不満気だ。

「えー?いいじゃん。別に、オレらが樺沢のこと、みずきって呼ぶわけじゃないんだし。」

「てか、いいだろ?みんなが、みずきって呼んだって、別に、そんくらい。」

 青木が、からかうように、輝を突いて、希良は、なんてこと無いって、笑ったけど。

「イヤ、ちょっと待て。オレの同意は?いらんのか?」

「あー、それは、いらんな。」

 やっとの思いで、上げた、オレの声は、宮﨑に、一蹴される。

「青木、お前、当ててみ?樺沢に、同意を求めたら、コイツがなんて言うか。」

「はぁ?そんなん、クイズにもならんて。

『え、なんで、オレ?オレなんて、そんなの、やめろって。』だろ?」

「正解。」

 宮﨑の振りに、青木が答えて、それが、オレのオドオドした話し方まで、真似してたから、からかわれて、バカにされてるのか…と、凹みかけたんだけど。

「もー!ホント、樺沢、可愛すぎだろ!」

 青木はそう言うと、輝を乗り越えて、オレの頭を、ぐしゃぐしゃっと撫でてきて、なんだか、急に、暖かい気持ちになった。

 

「触るなって。『みずき会』はいいけど、みずきは、オレのだから。」

 ますます、不機嫌な声を出して、輝が、青木の手を払いのける。

「もー、保里、そんなんじゃ、重いて。樺沢に嫌われるぞ!」

 その手を絡め取りながら、青木が笑う。

「青木、それ、シャレにならないから、やめたげて。

 あ、みずき、かがやと飲み物取ってきて。そんなこと言ってるから、乾杯の前に、なくなっちゃったよ。オレ、ウーロン茶ね。他は?」

 希良が場を変えようと、オレに声をかけてきて、わかったと、立ち上がって、みんなから注文を取ると、輝を連れて、ドリンクコーナーに向かった。

 

「かがや、そんな顔、するなって。

 青木も、宮﨑も、ふざけてるだけなんだからさ。」

 みんなから、見えないところまで来てから、オレは輝の手を握って、そう言った。

「オレが好きなのは、かがやだし、勉強、教えてもらいたいのも、一番は、かがやだからさ。」

 な?と、顔を覗き込むと、輝は泣きそうに眉を寄せていて。そんな表情でも、めちゃくちゃキレイだった。

「宮﨑と、あんなことするなよ。オレがいないとこで…。」

「あんなこと?」

「脚、絡め合ってた。」

「あー、アレ?アレは宮﨑がふざけただけで…。中坊がやるみたいなヤツじゃん。」

 なんだよ、そんなこと?と、笑ったんだけど、今日の輝は、ちょっとどうも、おかしな感じで。

「なんか、あった?」

「きらが、オレたちのいない時の、みずきのこと、宮﨑に頼んだって言ってて。だから、安心だって、そう言うんだ。

 でも、オレは、アイツがみずきを呼ぶのも、みずきのことを見るのも、不安で、ぜんぜん、ダメで…。」

 輝がオレに背中を向けた。

「んー。そっか〜。仕方ないなぁ。じゃ、特別。

 オレしか知らないこと、教えるな。そのかわり、誰にも言うなよ。」

 そう、前置きして、輝を振り向かせて、目と目を合わせた。

 

「あのな、宮﨑は、きらのことが、好きなんだよ。本気で。」

「え?」

 それまで目を伏せていた輝が、驚いて、目を丸くする。

 希良とは違って、すっきりした一重のアーモンドアイが、きょとんとして、なんか可愛かった。

「だから、きらが大事にしてる、オレのことを、大事にしてくれてんの。わかった?」

 両手で輝の顔を挟むと、グリグリ、ほっぺを揉んで、笑いかけた。

「え?そんな…。」

「誰にも、きらにも、言うなよ。」

 そう言うと、輝に背中を向けて、ドリンクコーナーで、人数分のグラスを取り上げた。

 

「よーし、あらためて乾杯しよ。ひと言、言うぞー!」

「お、開き直ったか?樺沢。」

 持ってきた飲み物を全員に配って、オレはそう叫んだ。

「えーっと、2学期、なんだか盛りだくさんで、大忙しだったな。みんな、お疲れ様でした!

 文化祭に始まって、中間テスト、修学旅行、そして期末テストまで、ホント、振り返るとあっという間だったけど、テストはともかく!

 楽しかったです!」

 そこで、全員が、おー!と、グラスを上げる。

「で、オレから言わせて欲しいのは、この会、まぁなんだか、さっき、みずき会?とかってことになったみたいだけど、それはさておき。

 この会に、めちゃくちゃ、感謝してます!クラスのみんなにも、だけどな。ホント、色々、ありがとう。

 来年、3学期もよろしくな!じゃ、乾杯!」

「乾杯!」

 みんなが声を揃えて、グラスを合わせて、うんうん、と頷きながら拍手した。

 そこからは、何を話すでもないけど、ポテトや唐揚げとかつまみながら、あれこれと、ワイワイ盛り上がった。

さてさて、ここに来て、愛重めな輝くん登場です。おかしいな、瑞稀くんのこと、困らせないはずだったのにねww

まぁ、それが、恋というものでしょうか。

修学旅行中の我慢が、爆発?暴走?しそうな予感がします〜。そして!この回、下書きしてるアプリの操作、ミスって、三分の一くらい、消えて、書き直したという、曰く付きでございます(涙)

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