表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女騎士は男の娘  作者: 池田 真奈
10/30

第10話 戦争が始まる

僕達三人が百合騎士団に入団して一週間が過ぎようとしていた。

その間、僕の秘密を知ったアリエルの協力もあって他の人には僕が男の娘だって事はバレずに済んでいる。

アリエルの事だから侍女のドロシーさんには話しちゃうんじゃないかと思っていたけど、それは僕の杞憂に過ぎず二人だけの秘密にしてくれていた。

そんな事もあって僕とアリエルの距離は自然と近くなってしまう訳で、周りから見たら変に思えていたのかも知れない。


「何かさ…… 最近マオとアリエルさんの距離が妙に近くない? それって私の思い違いじゃないと思うけど……」


夕食のために顔を合わせた僕達三人だったけど二人並んで座る僕とアリエルを見たミオが何やら軽く溜め息を吐きながら疑問を口にした。

ミオが感じるくらいだから他の人にもそう思われてるのかな?

仲が良いって事は良い事だと思うけど、それが変に思われるような形になっていたり、ましてやミオに疎外感を与えているなら少し慎まなきゃいけないと思う。

でもアリエルが聞いてくれるかどうか……


「な、何を言ってるの! マオと私が仲が良いのは親友として当たり前ですわ。 こ、恋人同士とかではありませんからね」


もう完全に動揺してるし…… 大丈夫かな?


「恋人とかは女性同士で変でしょ…… まぁ、そう言う趣味の人もいるとは思うけど」


女性だけで編成されている百合騎士団だから僕が見ていても、もしかしたら恋人同士なんじゃ無いかって思える先輩女騎士達も存在している。

ミオもアリエルのあからさまな態度に少し不信感を持ってるみたい。

僕とアリエルがそう言う趣味だとでも思ってるのかな?


「ミオが考えているような変な事は無いよ。 白百合の騎士を目指す者同士、仲良くしてるだけなんだけど…… そうだよねぇ、アリエル」


「えっ、ええ! ミオさんったら全く見当違いな事を言っていますわ。 わ、私達が恋人同士だなんて…… 恥ずかしいですわ」


何か全然言い訳になってないよ、アリエル。

恋人同士だって言われて恥ずかしがっている女の子みたいだもん。


「う〜ん…… 最近何となく私だけ除け者みたいな感じがしてるよ? お風呂だって二人だけでシャワー浴びに行って私一人だし……」


僕の裸が誰かに見られないようにアリエルが見張ってくれてるからね。

それにミオと一緒にお風呂に入ったら即バレちゃうよ。


「アリエルは僕がお風呂は落ち着かないって話をしたから付き合ってくれているんだよ。 カタリナ村にはお風呂は無かったから」


実はカタリナ村には温泉とかがあったりするのは内緒にしておこう。


「そっか…… 実は私のミーア村も同じだったのよ。 普段は水浴びとかで、流石に冬には寒いから湯を沸かして拭くだけだったの。 だからココのお風呂が嬉しくって仕方が無かったけど、やっぱり最初は戸惑ったわ。 ココの生活に慣れて落ち着いて来たらマオも私が一緒に入るから、お風呂に挑戦しましょうね」


考え方としてはアリエルとは逆の優しさになるのかな。

ミオにも正直に打ち明けたら受け止めてくれる気はするけど…… きっとガッカリされちゃうと思う。

僕がミオと同じく、ただ一人の平民の受験者だと知った時のミオの嬉しそうな顔を思い出す。

だから言ったらダメだ…… 僕は同性の親友と言う立場を貫かなきゃ。


「う、うん…… その時は宜しくね」


その時は僕の人生は最期を迎えるかも…… そんな悩みなんか吹き飛ばす出来事が忍び寄っていたなんて思いもしなかった。

唐突に悩みながらも楽しかった日々は突然終わりを告げる。


「マオ様、大変です! アクバル帝国が攻め込んで来たと街中で大騒ぎになってます!」


買い物に出ていたジュリエッタが届けてくれた一報は百合騎士団の食堂にいる皆を驚愕させるには十分過ぎる内容だった。

僕達の暮らすウルスラ王国の西に位置する大国のアクバル帝国。

周囲の小国を次々と侵略しながら国土の拡大を続けていたけど、大きくなり過ぎて領内では度重なる反乱も起きている事から最近は内政に力を入れていると噂されていた。

各地を次々と打ち負かす事を可能にしたのは強大な軍事力を誇る帝国軍の存在にある。


「まだ百合騎士団にも正式な報告が来ていないって言うのに…… もしかしたら旅商人からの情報かも知れないわ」


ミオの言う通り豊かなウルスラ王国には旅商人が多く訪れている。

彼らのもたらすのは商品や金品だけでは無く、遠く離れた各地の情報も貴重だ。


「戦争が始まりますわ…… 百合騎士団だって出陣する事になるかも知れませんの」


ウルスラ王国騎士団や兵団は豊かな国力を背景に装備は充実しているけど実戦からは遠ざかって久しい。

侵略を続けて来たアクバル帝国は当然ながら実戦経験が豊富な訳だから、真っ向から戦ったら正直言えば危ういかも…… それが僕の予想だ。


「今はエレナ団長からの指示を待とう。 百合騎士団が出撃するなら僕達も従うまでだよ」


まず出撃するのは王国騎士団と兵団になると思う。

百合騎士団は後詰めとして配置されるくらいだとは思うけど…… 決戦になれば戦況次第では前線への投入も無いとは言い切れない。

そうなれば死者だって出る。

戦争は非常だ…… 綺麗事なんて通用しない。

女性だけの百合騎士団員が敵に捕まればどうなるか想像は容易い。

陵辱の限りを尽くしてから殺されるか、連れ去られて奴隷として売られるかのどちらかだろう。




ウルスラ王国の長い歴史の中で最大の苦難が始まろうとしていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ