#040「黄葉扇舞」
舞台は、中庭。
登場人物は、朝丘、山崎、吉原の三人。
「吉原、ごめん」
「今日も休みにしてくれれば、二十三から二十六まで四連休だったのにな、吉原」
「そうだね、山崎くん」
「公孫樹の葉が舞う季節になったな。木枯らしが寒い」
「すっかり冬の風だね」
「まぁ、朝丘の気持ちがはっきり分かったことだし、これまで通り、友達付き合いを続ければ良いじゃないか」
「そうだね」
「だから吉原も、気持ちを切り替えて受験に臨めよ。もう、何も悩まなくて済むようになったんだからさ」
「振り向いてくれないことは、分かってたんだ」
「諦めろとは言わない。でも、ずっと今のままではなぁ」
「そうだね」
「もし、朝丘が編入してこなかったら。もし、俺や渡部が同室でなかったら。もし、この学校に進学しなかったら。そんなことを考えてるんじゃないか?」
「考えてない、とは言えないね」
「そうだろうな。でも、吉原。吉原が今、ここに、こうして存在するのは、過去に違う選択肢を採らなかったからなんだぜ?」
「そうだね」
「渡部然り、吉原然り。朝丘も、つくづく男泣かせだな」
「僕は、泣いてなんかいないよ」
「嘘をつけ。泣き腫らしましたって赤い眼をしてる」
「これは、ここ最近、寝不足だったから」
「そうか? 下から鼾が聞こえてたけどなぁ」
「それこそ嘘だよ」
「泣きたければ、泣けば良いさ。つまんない虚勢を張ったって、良いことは無い」
「そうだね」
「誰も見てないし、誰も聞いてない。もし、誰かいたら蹴散らしてやる。だから、我慢するな」
「山崎くん。……ッズ。あれ? 変だなぁ。ッス。不思議と涙が溢れてくる」
「まだ、泣き足りなかったんだろう。そのまま、悲しみを流し切ってしまえ」
「悲し涙ではないよ。嬉し泣きだよ」
「どっちでも良い。抑えきれない感情は、残さず全て発散させろ。腹の中のものを吐き出してスッキリしてしまえ」
「グスッ」
「……誰が悪い訳でもないから、辛いんだよなぁ」




