断罪の時
「リーナ・ファミー、そなたはディボラ・エムセイノ侯爵令嬢を虚言にて陥れ、王族のセドム第二王子に嘘を吐き婚約していた二人の関係を破綻させた。相違ないな?」
こう告げる宰相をキッと睨んでリーナは言い返した。
「私、嘘なんて言ってないです!そう感じたからセドム様に伝えただけですもん!愛し合う私達に嫉妬してたのはディボラ様の方なんですー!」
僅かに宰相の口角が上がった気がしたのは気のせいだろうか?
「ではセドム第二王子を慕っていただけだと?」
「そうです!私は悪くないわ!」
「ほう?ではセドム王子と添い遂げこの先ずっと共にいる覚悟があると?」
「!?私達の仲を認めて下さるんですか!?」
まさかの展開に私達は顔を見合わせる。
しかしディボラ様だけは真っ直ぐ宰相を見つめているままだった。
「今回の騒動の原因が結ばれたい一心でよって起こした事だというのならば何があってもセドム様と添い遂げよ。離縁、別居は許さん。もし別れる事があればその時は死罪とする!」
「はい!セドム王子と結婚いたしますわ!」
リーナの表情は勝ち誇っている。
ディボラ様に向かって「私達の愛が認められましたわ」などとほざいてきた。
それでもディボラ様は動じない。
ならば私達が騒ぐわけにはいかない…。
動揺、苛立ち、愕然とした気持ちを出さないようにとは思えど表情に出さずに済んだ自信はない。
目の前でリーナとセドム第二王子の婚姻の書類が書き上げられ、王様に直接手渡された。
「これより二人は添い遂げる以外の道は許されておらぬ。離別すれば死罪とする」
受け取った書類を皆の方に向けて宣言する。
こんな処罰なんて…。
追放生活が思いの外楽しく快適だったとはいえ悔しかった。
私達とは対照的に嬉しそうに微笑み合う二人の恋人の空気を払ったのは宰相だ。
「では最後にセドム第二王子の処罰を言い渡す」
リーナの処罰が自分との結婚だったからか随分と余裕の雰囲気だ。
こちらも勝ち誇ったようにディボラ様を見る。
「セドム第二王子、そなたは婚約者ディボラ・エムセイノ侯爵令嬢を裏切り独断で追放を言い渡した。越権行為である。また彼女は国の宝とも言える魔力の持ち主。国益を損なう第二王子の行動は反逆や転覆と捉えられる。次に機密文書を取り扱う役職にリーナ・ファミーを勝手に置き、執務に混乱をきたした。更にこれまでの公務の大半を婚約者であったディボラ・エムセイノ侯爵令嬢に押し付け怠慢を働いていた事も明らかになった。他にも細かく多岐に渡って不正行為がある。相違ないですな?」
流石に余裕ぶっていたセドム王子だがツラツラ挙げられた罪に戸惑っている。
「誤解が多々あるようだ!越権行為となってしまったのは確かだがどれも良かれと思っての事!反逆や国家転覆なんて以ての外だぞ!」
「ほう?しかし第二王子という立場であればそう捉えられますぞ?王位継承権がありますからな」
あまりの大きな罪にセドム王子は大いに焦っていた。
反逆や国家転覆になんて問われれば死罪しかない。
その結果多分何も考えずに言ったのだろう。
「それならば王位継承権を放棄する!」
声高らかにそう叫んだ。




