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五
何日かたち
傷もいえてきたころ
大木は
ふと
なぜうたれたのかを聞きました
これまで
一緒にいた中で
渡り鳥が
とてもかしこいことがわかっていたので
鉄ぽうがとどく所には
うかつに近づかないだろうと思ったのです。
最初
話すのをためらっていた渡り鳥ですが、
やがて
「わたしの仲間が、一羽よわって
高く飛べなくなってしまったのです。」
「そばについて
なんとか元気を出してもらうか。
だめなら、どこかで休ませてやろうと思っていたので
まわりに注意がいかなかったようです。」
「気がついたときは、
仲間がねらわれていたので、思わずかばってしまって」
渡り鳥は
はずかしそうに言いました。
「りっぱじゃないですか。
みんな、自分を守ろうとするのに」
「いえ、旅では
助けられることもあるのです。」
「だからこそ
自分を大切にしようとするんじゃないですか」
「そうですね、でも、以前お話しした、海の上の木切れに止まるとき
わたしに場所をゆずってくれたのが、その仲間だったのです。」
「そうですか、あなたは、いつでも――」
そう言いかけて、大木は、どうしてその言葉が出たのか
ふしぎで言葉がつづきませんでした。
ただ、海の話のときと同じように
胸がゆれるのを感じました。




