鬼才になった男は、異世界人と出会う
ちょっと遅れました。
軽井沢にレッツラゴーしてました。
異世界に転生してから、数時間が経った。
俺は、森の中を警戒しつつも人里を探して進んでいた。
【主、魔物の説明はいります?】
あー一応ある程度の常識は必要だから頼む。
さっき今は良いって言ったけどよく考えたら必要だ。
人工知能曰く……この世界には魔物が存在する。
この世界で魔物は、魔法を使う生物のことを示す。
魔力を持ち、体内の心臓部に魔核と呼ばれる石を持っている生物の総称である。
魔物は、敵対する奴もいれば味方する奴もいる。
中には中立的なのもいるそうだ。
でも基本的に敵対してくる者が多いらしい。
さらに人間社会では、魔物の強さによって危険度というのが定められている。
その危険度は、1~10で表すことが出来る。
危険度が1~8の魔物は基本的に、人を襲う者が多い。
中立的な存在もいるがそれは稀である。
ただ9以上になると意志を持ち、稀に人の言語を話したりすることがある。
それで人工知能がどんな魔物がいるのか教えてくれた。
そこには、地球では架空上の存在であるゴブリンやオークなどが実在するというのだ。
どうやら本物のファンタジー世界に来てしまったらしい。
「にしても広いなこの森」
そうぼそっとつぶやく俺。
森の中を進んで2時間は経っているはずなのに、全然森が開かない。
もしかして人間という人間は存在しないんじゃないのか?
いや、まぁ存在してほしいけどね。
「はぁ……にしても……つかれねぇなぁ」
そう疲労を感じないことに疑問を持つ俺。
前世の俺だったらこのぐらいで弱音を吐いてくたくたになってるはずだ。
なのに、今の俺は一時間以上歩いているのに、疲れない。
【それはそうです。あなたは魔力を持っています。魔力保持者というのは、ある程度の疲労は感じない様になっているのです。まぁ人間社会の間では、あまり解明されていませんが、実際は、魔力が疲労物質を出しにくくしているからですね】
すると人工知能が、答えてくれる。
疲れっていうのはエネルギー不足やストレスによって疲労物質が出てそれが蓄積して……頭からこれ以上は無理というサインが出る。
その疲労物質が出るのを抑えているのが魔力だ。
なので魔力を持っていると疲れにくいそうだ。
「にしても、広いなぁこの森。本当に人間が――」
『キャァァァァァァ!!!!』
「!?」
全然開かない森に、少し困惑しつつ進んでいると奥の方から人間の声が聞こえた。
声からして女性っぽいけど……悲鳴?
……あ、魔物とかに襲われてるのか!?
【主、声からしてどうやら少女が魔物に襲われている様です。ここから北に少し行った所です】
あぁありがとう……とりあえず見過ごすわけにはいかねぇなぁ。
俺は、さっと足に魔力を集める。
『”ウィンドブースト”』
風がふわっと吹き俺の体が物凄いスピードで前進する。
俺は、木々の間を駆け抜け猛スピードで森を進んでいく。
「あそこだ!」
悲鳴が聞こえてきた方に向かっていると、悲鳴の大きな熊が一人の少女を追いかけているのを見つけた。
とりあえず魔法と剣を使って。
『”アイシクルランス”』
三本ほどの氷の槍を生み出して、熊に向かって飛ばす。
氷の槍は、一本は熊の手、一本は熊の足、一本は熊の胴体に当たる。
そして直撃と共に当たった場所が凍る。
「な、なにが起こって?」
「大丈夫か!」
俺は、即座に間に入り少女の無事を確かめる。
怪我は、してないね。おけ。
「え?……あの、どなた?」
少女は、どこからともなく飛んできた氷の槍、そして現れた俺を見て困惑する。
俺は剣を鞘から抜いて、熊に向かって軽く構える。
空気が振動するほどの大声で吠える熊。
「おぉ大分お怒りの様だな」
吠える熊に俺はそんなことを言う。
熊視点からすると、上手く行っていたことが突然阻止されたんだ。
そりゃぁ怒るだろうなぁ。
だが見せつけなければ、人間を甘く見るなっと。
「おっと、来るか……よし、来い!」
さらに熊がもう一度吠える。
空気が振動し、俺の心臓にも振動が伝わってくる。
俺はすかさず剣と両足に魔力を纏わせる。
「剣技レベル3——”瞬斬”」
俺の体がその場から消えて熊の後ろに現れる。
それと同時に、熊の首が胴体から切断される。
熊は鳴く暇もなく血を首から噴き出して、前に倒れる。
レベル3の剣技であり、瞬間的に対象を斬る技だ。
ただ一体から三体と小規模の敵に対して有効な技であるため、それ以上いる群れには使えない。
とりあえず熊は倒せた。
後ろにいる熊の死体……これをどうしよう。
「あ、あの」
すると先ほど助けた少女が話しかけてきた。
金色の髪を後ろで纏めた、青い瞳の少女。
見た感じ、容姿は整っていて綺麗な顔立ちをしている。
いわば美人というやつである。
「助けていただきありがとうございます」
「あぁ大丈夫だ」
服装からして、どこかのお偉いさんの娘さんかな?
黄色のリボンに、黄色と白色の生地で作られた高そうな服。
っていうか文明がそこまで発達していないのか、少女の着ている服は現代の物とは思えない。
中世ヨーロッパぐらいの文明の様だ。
「あ、申し遅れました。私は、レイラ・キャルヴェル。キャルヴェル公爵家当主ガド・フォン・キャルヴェルの長女です」
「え?公爵って貴族か?」
「まぁそうなります」
公爵家ってのは、貴族の爵位のこと。つまり上流階級なのだろう。
いや、でも異世界に来て初めて出会った異世界人が貴族って……しかも助けたし。
しかも公爵って上の方じゃなかったか?
公候伯子男で考えると一番上だろ?……敬語とかって使った方がいいのか?
「見たところ異邦の方ですか?」
「異邦?まぁそうだが……まぁ確かに異邦と言えば異邦だな」
この世界とは別の世界のことを異邦というかよくわからないが……この国の外、この大陸の外から来た。
まぁ確かに合っては、いる。
「俺は小林悠真。この世界の人間ではない」
「……つまり迷い人ということですか?」
「……迷い人?」
「えぇ異界から迷い込んでくるかの様にやってくる人のことです。五百年に一度と言われておりとても珍しい存在なんです。そしてその迷い人は、前の世界で悔いのある人生を送っていた人が殆どです」
珍しいのか……そして悔いのある人生を送っていた人が殆どか。
まぁ悔いしかない人生ではあった。でも今は今。過去は過去。
どんなにつらくても過去は捨てるべきだ。
「あ、コバヤシ様」
「ん?なんだ?」
「よかったらなんですけど、お礼として町まで案内しましょうか?」
「お?いいのか?」
「えぇ構いませんよ」
何か運が良かったのか、町まで案内してくれることになった。
とりあえず今は、衣食住を確保しなければ。
ありがとうございました。
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