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自我
目が覚めると頭痛に苦しんだ。
今までの自分と今の自分とに乖離を感じる。
私は自分の体にしては小さな手を見てさらに困惑する。
おかしい。何かが変だ。
そこで私の隣に誰かいることに気付いた。
誰だ、この女は。呑気な顔で眠ってる。
「ふぁぁ、おはよう、天ちゃん」
女性は伸びをしながら私に挨拶をする。
状況を理解しなくては。コイツが敵なのか味方なのか。
もし、敵の場合はかなりの役者だと言える。
『あ、ああ。おはよう』
私は自分の声に驚いた。
こんな声ではなかった。この声は惑わしの声。
駄目だ。私という自我が何なのか分からない。
隣の女性は蕩けきった顔で私に抱きついてきた。
私は驚いてされるがままだった。
引き剥がそうとすれば体が言うことを聞かなかった。
(そのひとは、たかなしつばささんだよ)
頭に直接響く声に頭痛が酷くなる。
私の苦しげな声に小鳥遊翼はしきりに大丈夫かと声をかけるが、私は半ばで意識が途絶えた。




