第13話
第13話 二人でミニデート
「え?旅行?私も行って良いの?」
「勿論。春香と僕達はもう立派な友人だからね。」
「やったぁー!」
旅行の事を話すと、春香は無邪気な子供のように大はしゃぎした。ここまで喜んでもらえると、こちらとしても、とても喜ばしい事である。まあ、健が勝手に決めちゃった事だけどね・・。
「私すごく嬉しい。旅行なんて初めてだもん。」
「初めてって今まで一度も行ったことがないの?家族と一緒にとか・・。」
「ううん。一回も行ったことがないよ。」
「そうなんだ・・。」
この事実、あまり聞かない方が良かったのかなぁ・・。僕は少し後悔しながらも話を続ける。
「とりあえず今月末の予定だけど、詳しい事はまた連絡するから。」
「うん、分かった。」
「じゃあ、これからどこか行こうか。」
「え?今から?」
「うん。せっかく時間があるんだし、ちょっとしたデートにでも行かない?」
「うん、行く!」
無邪気な笑顔をこちらに向ける彼女を見て、僕は思わずドキリとしてしまった。やっぱり子供の笑顔は可愛いな。同じ年だけど・・。
「何か今一瞬、心の中で馬鹿にされたような気がするのは気のせい?」
「気のせいだよ。気のせい。僕が春香を子供だなんて思うわけないじゃん。」
「あ、やっぱり馬鹿にしたわね!」
美香が一体何者かは今考えるべきではない事なんだと、僕はそう思った。そんなのは後回しにして、今生きているこの時間を大切にしなきゃいけないんだ。夏休みというこの時間を・・。
「じゃあ行こう、春香ちゃん。」
「どうしてちゃん付け?明らかに私を子供扱いしてるよね?」
「あ、すいません。間違えました。春香様でしたね。」
「何か私の身分が一気に上がった!恥ずかしいからやめてよ。」
「それじゃあ行きましょう。姉御!」
「もう良いわよ!」
こうして僕と春香は、目的地の無いミニデートを始めた。
・・・・
公園近くの喫茶店でのとある会話。
「なあ由紀、ストーカーなんてやめようぜ。すんげえ格好悪いぜ。」
「良いの、拓一人で会いに行くなんて絶対何かあるに違いないんだから。」
「はあ、お前が嫉妬しているのは分かるけど、こんなやり方は絶対変だよな・・。」
「何か言った健?」
「いや何も。」
「あ、二人が動き出した。私達も行くよ。」
「恋する乙女はこれだから、困るよな・・。」
第14話へ続く




