act26 第二戦~第三戦
予想外の事態が生じた。武器付きの騎士が負けてしまったのだ。相手も武器付きの騎士だ。正直紙一重の敗北だ。だけどその紙一重が重くのしかかる。
「ヤバい事になったね、勝てる筈だったものが敗れ去ってしまったよ」
祖母ちゃんからは焦りの色が見える。
「想定外の事態よ、どうするの?」
ハルシェシスが焦り気味に問い掛ける。
「兎に角、次も負けたらヤバいよ」
僕は真剣な顔で訴える。
「誰が行くの?」
ハルシェシスの問い掛けに祖母ちゃんはハルシェシスを見る。
「ハルシェシス、あんたで行こう、防具駒では止める事が出来ない槍装備だし、最強駒の女王だし、駒の相性さえ悪くなければ簡単に負けないだろ」
「解ったわ、アタシ頑張るわよ」
ハルシェシスが一歩前に出た。
「東の衛士長、貴方の出番です。行って下さい」
「はっ、女王様」
向かって右に位置していた雪像の衛士が前に出る。手には槍を持っていて、槍駒をもっているとは限らないがそう思わずにはいられない。
だが雪像の衛士が前に出た事で少しは気持ちが楽になった。相手方は恐らく雪の女王が女王駒を持っている事だろう。だからこそ役駒に関しては勝てる気がするのだ。
「それでは、第二戦目です。双方、役駒を提示してください」
フギンが指示を出してくる。
「アタシはこれよ!」
ハルシェシスは女王駒を見せる。
「…………」
石像の衛士はゆっくりと兵士駒を前に出す。
「勝負あり! 女王10に対し兵士4、武器防具関係なし、ハルシェシス勝利!」
「勝ったわ、勝ったけど……」
左程嬉しそうではないハルシェシスが引き返して来た。
「アンナ、勝つには勝ったけど……」
「ああ、相手は捨て駒だな。上手い事やられた。こちらの最強駒に対して相手は最弱駒だ。武器防具関係なく勝敗が決してしまったから解らないが恐らく鎧か盾の防具駒を持っていたに違いない、勝てて当然の一勝だよ」
「アタシもそう思うわ」
正直、流れが悪い気がする。相手はこのゲームを昔から知っていたのだ。つまり、どういう組み合わせ、どういう順番で出すのが良いか解っているという事だ。運要素が強いとはいえ大分不利な戦いだ。
「それでは第三戦目です。次の選手は前へ」
フギンから声が掛かる。
「どうするの?」
「祖母ちゃん、どうする気?」
「う~ん、そ、そうしたらゲルダ、あんたが前に!」
「はい」
ゲルダは一歩前に出る。
「それでは、今度は西の衛士長前へお願いしますね」
「はっ、女王様」
東の衛士長と同様に大槍を携え、西の衛士長はゆっくりと前に出てくる。
「それでは双方、役駒の提示をお願いします」
フギンの指示に従いゲルダと西の衛士長が駒を提示する。
「私は王子です」
「…………戦士だ」
ハッキリと話すゲルダに対して西の衛士長はぼそりと声を上げる。
「役駒はゲルダが優勢、それでは武器防具駒を提示して下さい」
「わ、私は盾駒です」
王子は武力8で戦士は武力5だ。その差は3だ。戦士が武器を装備していたら3の加算で同等だ。衛士長の駒が剣だったら盾で防げるので王子の勝利だが、剣以外だった場合は防げないので、8対8の引き分けになってしまう。
「…………剣だ」
「勝者、ゲルダ!」
フギンから鋭く声が上がる。
「いやったああああああああああああっ!」
僕とバステトは同時に叫んだ。
「や、やりましたよ皆さん」
ゲルダも安堵の声を漏らす。
「いや、良かったよ、これで2勝1敗だよ」
祖母ちゃんは引き返してきたゲルダの肩をポンポン叩く。
「何とか勝利が見えてきたわね」
ハルシェシスはふうと息を吐いた。
だが、こちらの残りは最弱駒の僕と戦斧を装備した戦士の祖母ちゃんだ。一方相手は女王と王子だどちらかは武器、どちらかは防具の所持になる。




