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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第4章 旧連邦圏の国

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第67話 懐かしい声

 こちらに向かって飛行を続ける機影を目掛けて空を駆けるカタリナ。


「さすがは連邦、小国相手にも容赦無いね……」


 思わず独り言ちてしまうほどの圧倒的な数の無人機は、ただ冷徹に前へと突き進んでくる。


「どこまで減らせるかじゃない、ボクが全部落とすんだ!」


 カタリナは加速し、ドローンの群れの中へと進入する。

 相手が対応出来ないほどの速さで縦横無尽に飛び回り、敵の動きを撹乱。隊列を乱す。


「これで相討ちしてくれれば良かったんだけど。そうはいかないみたいだね」


 しかし、目論見の一つは外れた。

 無人機に搭載された人工知能は想像以上に優秀らしく、カタリナを深追いして味方を撃墜してしまうような事故は全く起きない。


 ならば、自分がこの手で叩き落とすのみ。


「魔法目録五条、電磁誘導」


 カタリナが手を伸ばして魔法を発動させると、数機のドローンが機能を停止して高度を下げ始めた。


 電磁誘導魔法とは、簡単に説明すると電磁波を操る魔法だ。レールガンのように直接攻撃に用いる以外にも、電子機器をショートさせたりハッキングしたりと、現代の戦争においては必須と言っても過言ではない魔法の一つである。


 連続で繰り出される電磁誘導魔法により、敵機は順調に数を減らしていく。

 しかしそれでも、無人機は次から次へと現れて機銃を向けてくる。


「これは、ダウンさせるだけじゃ厳しいね……」


 魔法を連発し続けると、魔力だけでなく体力や精神力も激しく消耗する。

 一度の電磁誘導魔法で落とせるのはせいぜい三、四機ほど。これでは一向に埒が明かない。


 カタリナは作戦を変更し、ハッキングによるドローンAIのプログラム書き換えを試みることにした。


「魔法目録五条、電磁誘導」


 今度は機体に直接手を触れ、内部のコンピュータへとアクセスする。

 周囲の警戒は怠らず、指先の神経を極限まで研ぎ澄ませる。


 直後、視界に大量の文字列や図が浮かび上がった。

 これらはこの無人機を司る人工知能のソースコードやフローチャートだ。


「敵味方の識別を入れ替えれば、多少は役立ってくれるかな」


 このドローンがこちら側に付いてくれれば、カタリナにかかる負担は軽減されるはず。


 とにかく、まずは早くコードを書き換えなければ。

 集中力を高め、コンピュータに思念を送り込んでいると。


「残念だけど、このプログラムはカタリナには書き換えられないわ」

「っ……!」


 突然、カタリナの脳内に声が響いた。

 そしてこの声、聞き間違えるはずもない。


「お姉さんも、こんな形では会いたくなかったなぁ……」

「マルファ、なのかい……?」

「うん、そうだよ。カタリナならきっとハッキングしてくれるだろうなって思って、こっそり仕込んでおいたんだ」


 かつて心理読解魔法の常時発動に苦しんでいたカタリナを救ってくれた五つ年上の近所の美人なお姉さん、マルファの声だった。

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