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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第4章 旧連邦圏の国

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第47話 旧連邦圏の国

 漆原うるしばら美空みくは瓦礫に埋もれた空軍基地に、呆然と立ち尽くしていた。

 焦げた匂いが鼻を刺激し、激しい戦いであったことを感じさせる。


「どうして、誰もいないのですか……」


 美空は拳を握りしめ、ぽつりと呟く。

 つい先ほどまで、一緒に言葉を交わして笑い合っていたのに。

 その仲間は、もうどこにもいない。


 結局、自分はまた一人になってしまった。


「これがお前の選んだ結果だ、漆原美空」


 そこへ背後から声をかけられる。

 振り返ると、魔法総神(そうしん)シーシャープが薄っすらと笑みを浮かべてこちらを見つめていた。

 深い闇を宿した真っ赤な瞳に射抜かれ、思わず身体が強張ってしまう。


「確かにお前は優しい。だが、正義のヒロインにはなれない。結局、漆原美空という存在はどこまで行っても悪役なのだよ」

「どうして、そんなこと。私はただ別に……」

「人助けをしようとしただけ。ああ、そうだ。そうだとも。しかしその結果がこれだ。……お前は自分が生き残れれば、周りがどうなろうと構わない。内心ではそんな風に思っているんじゃないか?」


 どこか愉快そうな声色で、そんな指摘をしてくる。

 違う。そんなわけない。勝手なことを言わないで。

 反論したいのに、彼女の目を見るとなぜか言葉が喉の奥に引っ込んでしまう。


『私には全て視えている』


 シーシャープの過去の発言が頭に思い浮かび、否定出来なかったのだ。


 そんな美空の様子に、彼女はため息を吐くと最後にこう告げた。


「漆原美空。何度も言っているが、私はお前の敵ではない。むしろ味方だ。次に会う時には、もう少しフラットに接してくれると嬉しいのだがな」




 聖暦二〇二一年六月十五日。

 穏やかな日差しを受けながら、美空はユークスタン共和国の穀倉地帯を歩いていた。


 シャムコン王国を去って以降、安い宿屋に泊まったりテントを張ったりしながら旅を続けているのだが、逃亡中の身なので隠れるようにして日々を過ごしている。


「まさかテンシャンから国際指名手配されてしまうとは。ここまでやられてしまうと、思うように身動きが取れませんね……」


 本当だったらどこかの国から飛行機にでも乗って一気に西へひとっ飛び。のつもりだったのだが、それをするにはパスポートを提示する必要があるため出来ない。

 仕方が無いのでひたすら歩いて移動をしているが、国境を越えるにも結局パスポートがいる。転移魔法で何とかスルーしてきたが、不法入国の罪をこのまま重ねていいものか……。


 ぐぬぬと悩んでいると、遠くの方に広大な敷地を持つ施設が見えた。

 滑走路や管制塔のようなものも確認できる。


「あれは、空軍基地でしょうか?」


 その施設の雰囲気は、皇国の護衛隊の基地やハノミンの航空基地によく似ている。

 気になったので、少し近くまで行ってみる。


「おかしいですね。戦闘機は並んでいるのに、人の気配を感じません……」


 柵越しに見る限りでは、戦闘機は整備されているし施設が荒れている様子もない。

 それなのに人の姿が見当たらないのは違和感を抱かずにはいられない。


 しばらく基地の中を眺めていると、急に肩をトントンと叩かれた。


「お嬢ちゃん、ちょっといいかい?」

「あっ、すみません……!」


 まずい、不審者だと思われただろうか。


 慌てて振り向くと、軍服に身を包んだボーイッシュな女性と目が合う。

 すると彼女は、品定めするように美空の身体を見てから一言。


「中入りな」


 何が何だか理解出来ないまま、美空は基地の中へと案内された。

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