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22話目

《38日目(5月8日)午前10時10分 残LP323》

 エゾベアーとの戦いを終え、森を探索してモンスターを狩る。結果、強猛毒の矢20本は20匹のモンスターの命を安易に刈り取った。あまりの強力さに使っているこちらが不安になる。そうそう、強猛毒の矢を鑑定してみたらこんな表示になった。


■ 強猛毒の矢 重量0.1 ■

 強猛毒が塗られた矢。毒9の属性が付加されている。取り扱い注意。


 レベル9の毒、3日目に発見されたヘビ毒はレベル1なので桁違いの性能であることは疑う余地はない。レベルの上限がいくつかは分からないが、この強猛毒の矢は強い、それだけで十分だ。

 そして今から麻痺猛毒の実験を行おうというところだ。独り身のエゾベアーを発見したところで属性付加スキルを発動し、麻痺猛毒の矢が20本完成する。

 麻痺猛毒は敵を麻痺痙攣させて動けなくするのだろう、鑑定スキルで見てみると


■ 麻痺猛毒の矢 重量0.1 ■

 麻痺猛毒の塗られた矢。麻痺8の属性が付加されている。取り扱い注意。


 となっている。俺は麻痺を食らったことはないし、麻痺状態になったプレイヤーも見たことはない。掲示板では動きが重くなるとか、ウェイトを両手両足に付けたようなイメージという書き込みがあったが、それの強化版と見るのが適当なのだろう。よし、さっそく実験だ。

 射程限界まで近づいたところで因果の逆転(命中)を発動、本来なら限りなく命中率の低い距離だがスキルのおかげで外すことは無い。麻痺猛毒の矢はエゾベアーの背中に命中し、こちらを振り返る。相手の射程圏内に入る前にもう一発、今度は普通の銅の矢を放ったあとで装備交換、余裕を持って迎え撃つ。エゾベアーの攻撃を盾で防御しつつ、槍技を使って攻撃、本来エゾベアーは麻痺がなくても葬ってきたモンスター、いつも通り戦えば勝利は揺るぐことは無い。

 ただ、予想外のことといえば、エゾベアーはこちらに来る前に痙攣して倒れ動かなくなってしまったことだ。これが麻痺状態なのだろうか、ピクピクしているが一応動いてはいる。鈍器でボコボコにして表示が青くなったところでアイテムを回収した。


 予想通りの結果だったが、死ぬまで効果が切れることがなかったのが気にかかる。プレイヤーのほうは回復魔法、状態異常回復のポーションまたは時間経過で回復するのだが、モンスターはどうなんだろう、試してみようか。


 ファングウリボー発見、麻痺猛毒矢を当ててしばらく待つと、横にゴロンと転がってそのままビクンビクンしている。3分ほど経ってようやく立ち上がるが、4本の足が震えている、まだ影響は抜けきっていないようだ。更に2分ほどしてようやく走れる程度に回復、いつものファングウリボーの突進が戻るまで約10分、戦闘においては致命的な時間を経過してようやく復活を遂げたのだ。数分後にはボタン肉に変わってしまったのだが。


 ふむ、やはり麻痺猛毒は敵の動きを阻害するようだ。阻害なんて言葉で済ませていいのか微妙なレベルの凶悪さであるが。強猛毒は敵の体力を奪って死に至らしめるタイプだな、クマが数分で死ぬ時点で尋常じゃなく不味いシロモノであることは疑う余地がない。

 強猛毒のメリットは命中させて強猛毒状態になれば勝手に死ぬ、麻痺猛毒のメリットは麻痺後に武器で攻撃すれば武器スキルのレベルが上がることか。一つ言えることは両方とも俺のかけがえのない戦力になってくれることに違いは無いこと、これで状態異常を仕掛けてくる敵も恐れることはない。先制すれば安定して倒すことができるし、強襲を受けたとしても矢を一発命中させるだけでこちらの勝利になるのだから。


 問題は、敵が状態異常にかからなかった場合か。俺は今のところ全て状態異常に成功しているが、ヘビ毒のほうは成功率半々くらいらしい、レベルが高いと成功率も高いのだろうか?過信は禁物だな。これからも慎重路線は崩さないほうがいいだろう。


 この後、俺が今まで踏み入れることが叶わなかったエリアでまるでゲームの主人公のように無双することとなった。俺は今、圧倒的なアドバンテージを得たのだ!




《45日目(5月15日)午後10時45分 残LP316》

 ハァハァハァハァ、走る、ダッシュスキルと逃走技術スキルを使って俺は今逃げている、俺は今モンスターに追われているのだ。


 カタカタカタカタカタカタカタカタッ


 俺を追いかけているモンスターの名前はスケルトンソルジャー、アンデッドモンスターの中でもそこまで強くないモンスターだ。


 何故俺は今こんな状況になっているのか説明しよう。

 俺は森で毒無双を行っていたのだが、倒す敵のレベルが上がり、俺のレベル上昇速度が上がった。強い装備を装備できるようになったので武器防具の更新をしたい、でも金が無い。この金欠を解消すべく、レアアイテムが高く取引されるアンデッドモンスターのレッドレイスを倒しにきたのだ。

 そして夜も更けた頃墓地フィールドやって来たのだが、アンデッドモンスターと俺は極端に相性が悪いことが判明した。俺を無双キャラにしてくれる毒がアンデッドモンスターには効果がない。数も多く援軍も出てくる、ソロで全滅させるのは無理だ、これは勝てないと判断して逃走、今に至る。


 そうだよな、毒なんて生物にしか効くはずがないよな。映画でも小説でもアンデッドを倒すのは聖なる光や炎だ、毒で倒そうなど誰もしてなかったじゃないか。一週間敵無しと森で無双していた驕りがこのような形で返ってきた。逃げながらSTポーションを振りかける、走りながら飲むのは正直キツイので仕方ない。もうすぐ墓地から抜ける、もう少しだ、もう少し。



 はぁ~なんとか振り切った……レッドレイスに出会う前で、墓地の入り口近くで本当によかった。過信は禁物だと自分で言っておきながらこの様である。少し考えれば分かったはずだ。


 今日はもう帰って寝よう、金は地道に雑魚モンスターのドロップを売って稼ぐのが一番だ。森で毒草や薬草を集めながらモンスターを狩る、なんだ、農作業をやらなくなったこと以外、昔とやってることはたいして変わらないじゃないかと一人笑う。

 これで畑でもあれば前世の俺を完全再現することも不可能ではないのだが、今はこのふざけたデスゲームから抜け出すことが大事だ。そのためには力が、装備が、金が必要だ。毒だけでは足りない、新しい何かを求めて今を精一杯戦い抜く。何れ活路が見えてきたらいいな、そう思いながら帰路に立つ。



 カタカタカタカタカタッ


 んっ、と左を見る、そこには別のアンデッドモンスターさん一組。逃げることも人生において大事なことだ。まずはこの逃亡成功という勝利に向かって走り出そう。

ここまでが起承転結の承になります。

次回より起承転結の転になります。


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