あとがき 戦国デスゲームを「知識と給食」で完全攻略した男の手記
執筆:山本一郎(元・フツーの歴史オタク営業マン/現・播磨三木藩初代藩主・別所長治)
みなさん、どうも。山本一郎です。……あ、いまは「別所長治」って名乗ったほうがしっくり来るかな。畳の上で大往生して、いまこうしてあの世(?)のデスクからこのあとがきを書いています。
天正半ば、しがない歴史オタクだった俺が気がついたら「三木城の若き城主・別所長治」に転生していたあの瞬間は、正直生きた心地がしませんでした。だって歴史のテストで言えば、「問:別所長治の最後について説明せよ。答:秀吉に兵糧攻め(三木の干殺し)に遭い、城内の米が尽きて一族全員で切腹する」という、詰み確定の死亡フラグ回収担当者ですよ?
そんな俺が、どうやって信長・秀吉・家康の「ビッグ3」が蠢く戦国デスゲームを生き抜き、播磨三木20万石の大名として天寿を全うできたのか。最後に自分なりの「勝因」と「感想」をまとめておきたいと思います。
【戦国デスゲームの勝因分析】
勝因1:美学とプライドをドブに捨てた「四十五度土下座」
武士の意地とか「父祖伝来の誇り」なんてものは、生存率を著しく下げるデバフでしかありません。信長様の前でも、秀吉様の前でも、家康様の前でも、俺は一貫して「完璧なお辞儀と即座の平伏」を貫きました。戦国時代において「素直で扱いやすく、害のない奴」と思われること以上に強い防具はありません。
勝因2:歴史知識を活かした「イベントの事前回避」
荒木村重の謀反、本能寺の変、秀吉のリストラ(国替え)、秀次事件の連座、関ヶ原の伏線……。未来のネタバレを知っていたからこそ、「危ないイベントの予兆がしたら100km圏内から離脱する」「評価が上がる直前に先回りしてプレゼンする(掛川城&米5万石の献上)」というズルいムーヴが可能でした。
勝因3:「ロジスティクス(物流・給食)」に特化した
いくら剣術を磨いても、本気を出した天才(信長や家康)には勝てません。だから俺は最初から戦場での手柄(一番槍など)を放棄し、「兵糧の確保・調理・配給・衛生管理」という裏方に全振りしました。どんな暴君も、毎日美味いメシを出してくれて物流をノーミスで回すロジ担当者は殺せないんですよ。
【完走してみての感想】
死に物狂いで駆け抜けた60年間でしたが、一番嬉しかったのはやっぱり「誰も飢えさせずに済んだこと」です。
史実の三木合戦では、城内の人々が木の実や皮、果ては壁の土まで齧って死んでいったという痛ましい記録が残っています。だから俺は、城主になってから亡くなるその日まで「米と塩と味噌の備蓄」に命をかけました。領民や家臣たちが、サバの煮付けとホカホカの白飯を美味そうに食べている笑顔を見るのが、俺の最高の娯楽でした。
「信長に屈せず戦うのが武士の誉れ」という考え方もあるでしょう。でも、生きて、美味いものを食べて、家族や領民と平和に暮らすこと以上に価値のある「誉れ」なんて、俺には思いつきませんでした。
歴史オタクの知識と、営業マン時代に培った「ゴマすり・リスクヘッジ技術」、そして何より「美味しい給食」。これが俺の最強の武器でした。
三木の美味しい米、そしてサバの煮付けの味を、俺はあの世に行っても絶対に忘れません。長々と俺の爆走劇にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
「みんな、腹が減っては戦はできんぞ! 飯をしっかり食って、長生きしろよーッ!」




