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侯爵令嬢の恋愛結婚  作者: こじまき
それぞれの幸せ
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それぞれの幸せ

今日は久々にアイリシア様とビオネッタ様をお招きして、王妃様の庭をお借りしてお茶会を開いている。


「イベリス様、ご懐妊おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「楽しみですわね。男の子かしら、女の子かしら」

「どうでしょうか」

「どちらでも可愛いでしょうね」

「クレイ様似かしら、イベリス様似かしら」

「どうでしょうか」

「どちらでも可愛いでしょうね」


そう、私は今妊娠5ヶ月の終わり。苦しかったつわりがようやく落ち着き、食欲が回復して穏やかな妊婦生活を送っている。ただ「紅茶は1日1杯まで」とモーディとサラに厳命されているので、手元にある一杯を大切に大切に飲む。


「ねぇ、お二人のお話もお伺いしたいわ。トバイアス様、カラバス様とはどう…」


「順調ですわよ。もう王宮で一緒に暮らしていますし、3ケ月後には結婚式ですし」とアイリシア様。


「正直言って、最初はトバイアス様にこんなに愛情を持てると思っていませんでしたの。家同士が勝手に決めた結婚なんて、と。私は恋愛して結婚するのだと思い込んでいましたから」


それでも、デートを重ねたり、写生中に襲われたアイリシア様を魔法で感知したトバイアス様が助けたりして、徐々に絆が深まったそうだ。トバイアス様が、画家になるというアイリシア様の夢を応援してくれたことも、アイリシア様の心を動かしたらしい。「トバイアス様から、イベリス様を好きだったということも聞きましたわ」とアイリシア様は言う。


「それは…」

「わかってますわ、トバイアス様の片思いだったのでしょう。最初は落ち込みましたけれど、過去の恋を気にしていたら、誰とも結婚できないわ。私に気を許して正直に話してくれたことが嬉しいんですのよ」


「それにね」とアイリシア様は笑う。


「大失恋のあとって、あっさり婚約や結婚をして、幸せになる人が多いのよ。アイリシア調べですけれどね」


「過去の恋を気にしないというのは共感していただけるでしょう」とアイリシア様はビオネッタ様に目をやる。今ではアイリシア様も、ビオネッタ様とカラバス様を応援しているようだ。


「ええ、そうですわね。過去は過去ですわ。それに、過去は愛する人の一部なのですから、過去を否定することは、その人を否定することになるのではないかしら」


「さすがビオネッタ様ね。叔父様と付き合っているだけあって、達観しておられるわ」と少しからかうように口にしたアイリシア様が、しかし今後はしみじみと「叔父様は、ビオネッタ様と出会えて本当に幸せね」と呟く。「ええ、本当に。カラバス様はビオネッタ様と出会えて幸せだと思いますわ」と私も心から同意する。


「カラバス様と出会えて幸せなのは、私のほうですわ」

「ま、ご馳走様」


「僕の話?」とカラバス様が庭の向こうからやって来る。今日は国王陛下ご夫妻の肖像画を描くために王宮に来ておられたのだ。ビオネッタ様の頬にキスをして「妃殿下、少しビオネッタと話をしても?」と私に聞く。頷くと、カラバス様は跪いた。


「サフィア伯爵令嬢ビオネッタ、僕と結婚してほしい」

「カラバス様!?今?ここで?」

「そう。ビオネッタの大切な友達の前でプロポーズしたかったんだ。僕の過去を受け入れてくれたビオネッタを一生大切にすると誓う。ビオネッタにも、妃殿下にも、アイリシアにも誓う。返事をもらえる?」

「…ええ、よろこんで」


「おめでとうございます」「叔父様、絶対に絶対に約束ですわよ。ビオネッタ様を傷つけたら、切り刻んで血と肉をキャンバスに塗りこんでやるから」と騒いでいると、クレイト様までやってきた。ビオネッタ様とカラバス様にお祝いの言葉をかけてから、私に「少し冷えてきたからもう中に入りなさい」と言う。


「まあ、クレイ様ったら心配性すぎるわ。ブランケットをかけているし、このくらい大丈夫よ。まだお話したいことがたくさんあるのに」

「アイリシア、話ならいつでもできる。大切な身体だからな。では失礼するよ」


そういってクレイト様は私の手を取り、部屋まで連れて行く。「主催者が途中で抜けてごめんなさい」という思いを込めてアイリシア様とビオネッタ様に目をやると、いつか見た、孫を見守る祖父母の視線が返ってきた。カラバス様は軽く手を振っている。


やはりクレイト様は少し心配性。暖かい部屋についてソファに腰掛け、少し膨れっ面をしてクレイト様に言う。


「クレイト様、ご心配いただきありがとうございます。けれど、いくら親しいお友達とのお茶会でも、主催者である私が突然抜けては失礼になりますわ」

「それはわかっている、すまなかった。けれど本当に心配でね。二人のことが」


クレイト様が右手で私の頭を、左手でお腹を抱える。大きくて温かい手…


とこん。


「クレイト様、今、わかりましたか?」

「ああ、動いた」


私たちは顔を見合わせて微笑んだ。

読んでいただきありがとうございました!

自分で書いたキャラながら、イベリスもアイリシアも大好き^^

気に入っていただけたならば、本当に嬉しいです。

一旦完結ですが、ビオネッタ&カラバス編もいつか書くかもしれません。エヴァローズ編だったり、どう展開できるのか謎ですがジェスロ編なんかも書いてみたいなぁなんて思っております。

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