爺、隠居する。
【改訂版】になります。よろしくお願いいたします!
「じぃじの村?」
「そうじゃ、ルコル。いつまでもここに居るのはちと不味いのじゃ。」
「「置いてかないで。」」
涙を目尻に溜め、詰め寄ってくる孫達。優しく頭を撫でながら今後の事を話す。
「知ってるかも知れんが儂は調整者じゃ。仕事は一段落したが、何処かの勢力に留まる事はあまりいかんのじゃ。と言う事で小さい村を興す事にした。一応、魔王領の中の一角じゃからたまに元気な顔を見せに来ておくれ。」
話しながら思い出すは、ドワーフ、エルフの一件。傘下に加えて欲しいと懇願される中に出された妥協案。魔王国とドワーフ国の中間に位置し、大陸の最西端に位置し、海に隣接する土地が未だに未開拓地があり。そこに土地をもらった。それを魔国、ドワーフ国、エルフ連合国で守護する為に同盟を組む。あくまでも対等(ここ重要)である。
支援はしないが後に交易は行う予定である。
三国で共通の通貨を発行する等の話し合いは、聞いてはいたが寝ちゃった(照)
大筋は決まったのでそれぞれ帰国し、国内での協議などを行う様であった。
泣き付く孫達なんとか説得し(大量のスナック菓子と引き換え)、もらった土地に到着した。
もちろんクランチに転送された。
◆
「見渡す限り海じゃの。」
「そうですね。」
そう、見渡す限りの青い海に白い砂浜。ここに家を建てるのは気が引けるの、、、。
「なぁクランチよ。」
「はい。何でしょう?」
二人とも海を眺め、語り合う。
何故、海は広いのか。何故、海は青いのか。
何故、砂浜がこんなにも輝いて見えるのか。
何故、ここなのか?
そして、
何故、此処が未開拓なのか?
何故なのか?理由をクランチに聞いてみる。
「理由は聞きましたが、何故か皆、此処に住み着こうとしない様でして、、、。魔王様も詳しくは、知らない様でして、、、。」
「何故だろうな、、、、。」
「理由は何となく解りましたね。」
「そだねぇ〰️」
◆
美しい自然(浜辺)を汚さない様に、満場一致で近くの森の中に住む事にした。二人は、森の中を探索し手頃に木々が開けた場所に到着した。
「自然は、自然だが、、、まぁ良いじゃろう。」
「そうですね。住む場所は如何されますか?」
クランチの問いに辺りを見渡し答える。
「材料には困らんじゃろ?」
「「え?自力で建てる(ですか?)の?」」
即座に反応する。二人。
ふむ、ぬしら何故居る?確か送られたのは儂だけだった筈じゃが?
「前もって送ってもらった。」
「私は帰り道の途中でしたので、そのまま来ました。」
ロキ、駄女神が肩をすくませ心の声に答える。
「で、じい様、何から始めるの?」
「何から始めるかの、家から作るかの。その前にぬしらに言っておくが緊急時以外出来るだけ神の力は使うでないぞ?」
「「え?」」
「神の力を使用しないで家を建てるのですか?」
クランチが目を見開き驚く。
「もちろんじゃろう。自然と共に過ごすのであれば当たり前じゃ。それはそうと二人は、晩御飯たのんだぞ?」
驚愕と目を見開く三人を前に、しれっといいながら手に斧を持ち近くの森に向かう。
「「斧はいいんだ、、、、。」」
三人が呟いた言葉に反応するものはもういない。
◆
「これは、上々じゃの。」
先程の探索で発見した森の小川を再び訪れる。住居の予定から直線距離で、100m程、東に向かった所にある。そのままでも飲めそうな程透き通っている。
此処にから始めるかの。
手始めに斧で一本切る。小枝を鉈で落とし、大体2m程に揃えて横向きにして並べて行く。
それを住宅予定地までひたすら繰り返す。
「粗方、良しとするかの。ぬしらは食料集まったかの?」
大量の丸太の前で満足気に頷き、後ろで四つん這いになっている二人に声を掛ける。
「猪怖い、、、、ウサギ早い、、、。」
「情けないの。知恵を使わんかい。」
ヤレヤレと肩をすくませながら、木材加工の最中に採ったキノコを差し出す。
「二人とも、手を洗ってこい。いつまで寝とるんじゃ。」
二人はむくりと起き、河原の方へと歩いていくのを見て、晩御飯の準備を開始する。キノコを手頃の大きさに刻み、鍋に入れる。味噌、料理酒、味醂で味を整える。あとは、、、、と周囲を見渡し手頃な獲物を探す。
おったの、、、。
手を洗い戻って来た我々が目にしたのは、熊を捌く血だらけ(返り血)のジジィの姿。
「「ギャーーーー出たーーー」」
「なんじゃ?なんじゃ?」
いきなり大きい声をだしおって、心臓に悪いわい。
◆
「いただきます。」
「「い、、いただきます。」」
感謝を忘れん様にじゃぞ。と二人に言い聞かせながら箸で鍋をつつく爺と、先程の光景が脳裏から離れない二人。沈黙が続く。
一口、二口と食べ続ける事にパァと二人の顔が華やぎ、嬉々の声が漏れる。
「おいしい、、、。」
「うん、こんなに食事が嬉しいって思ったのは初めてだよ」
「儂らは、確かに神じゃが命はみな平等であり対等じゃ生きる為には食事は必要。命が我々の命を繋ぐのじゃ忘れずに感謝じゃ。」
「「はい。」」
先程の疲れが嘘の様に、二人は元気な表情を浮かべている事に満足した様子で頷く。確かに神は飲食は不要ではあるが、決して休息が不要な訳ではない。
栄養では無く、英気を養うと言った方が良い。
「でじゃ、家を作るか。ぬしらは休んでおれ、むしろ邪魔じゃ。」
よっと腰を上げて丸太が置いてある方へと歩く。体の疲れは無いが精神的にまだヘトヘトであり、二人は視線でしか追うことが出来ないまで疲れ果てていた。ふと疑問に思いロキが口を開く。
「なぁ、確かに今日色々あったけどこんなに疲れる事なんてあった?」
「いえ、ありえません。」
「もしかしてなんだけど、神気って制限されてるんじゃ無いの?」
「それは、、、、ありえますね。」
「じゃあさ、、、、あれ、、、」
ふと視線が一方に向き、両者が固まる。
「元々化け物なの?爺様は、、、。」
肩に軽々と丸太を背負って走るジジィの姿がそこに居た。
「ですね。なにせ加護無しで主神様と殴りあって相討ち、、、、らしいですからね。」
「主神以上に化け物じゃん。」
ポツリと呟いたロキの言葉は、森の静寂に吸い込まれて行った。
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