悪戯神の憂鬱
【改訂版】になります!
少し短いですがm(_ _)m
ロキは激怒した。
自分のオモチャを誰かに台無しにされた様に、感情を露にして。
「クソ!一体何がどうなってやがる!」
白銀の髪、白く不健康そうな肌を月明かりが照らす。その体は子供そのもので華奢であり、中性的な顔立ちに相まって緑の瞳が怪しく光る。
部屋内に響き渡るとともに、机が砕け散る。いつもの仮面が剥がれ本性が露になる。
彼は神であり、その根幹は幼稚である。
無邪気を司る神、こっそりと他の世界に来ては好き放題に暴れて国をめちゃくちゃにする。唯一の楽しみであり暇潰しだ。しかし邪魔されると癇癪を起こし、より酷い悪事を働く。
彼の天敵は暇である事。
その度々、問題を起こす姿を見て。神々は頭を悩ませた。封印してもいつの間にか抜け出し問題を起こす。そんな事を何度か繰り返される内に彼の心は、黒く染まった。
◆
暇で暇で仕方ない時、ふいに彼女達が現れた。
「此処は?どこ?」
活発そうな女子が辺りを見渡し、あることに気がつく。
「美月?皐月?」
二人がお互いに顔を見つめ合う。
「「え?」」
「「私がいる!」」
「って楓?どうして此処に?」
楓がハニカミながら、答える。
「多分、私達死んじゃったみたいな?」
楓の言葉に目を見開き驚く皐月、腕を組み考え込む美月。
「だから、私が居る訳だね。なんとなくだけど、わかった。」
「話が早い様で助かるよ?ありがとう。」
不意に掛けられた声に驚き、3人は一点を見つめる。そこには白い空間に、居る白い少年が立って居た。白いタキシード姿のせいで気付かなったのか、と自己判断する。
「私は慈愛の神、えっと、、、アルファ!迷える魂を導きに来ました!」
若干、胡散臭く感じたがまぁいいかと楓は納得した。それよりこの展開!転生物語のテンプレじゃん!とやや興奮気味。それに対し、自称神に疑いの視線を向ける美月。
「まぁ神ってのは、嘘ではなさそうだね。慈愛は微妙だけど。」
咳払いをして、高らかに声を上げる自称神。
「君達には、転生特典を差し上げましょう!」
「ヨッシャ!キターーー!」
いきなりのハイテンションに若干たじろぎ、コイツ苦手だぁと内心思うも尾首にも出さない。
「何がいい?」
「最強!」
「却下!」
即答に即答で返された事に、ブーブー文句を言う楓を見て、美月は声を掛ける。
「三人一緒に居たいです。」
「どうして?」
少年の問いかけに、ポツリポツリと言葉を紡ぐ。
「三人産まれてからずっと一緒に居ました。それでですね、離れ離れは嫌かな?って生まれ変わっても一緒に居たいです。」
その様子に、美月は驚く。
彼女にとって私は迷惑なんじゃ無いか?とずっと思っていた。そんな彼女から聞く初めての言葉に胸に熱いものが込み上げてくる。
「皐月、、。」
「なら、、、決まりだね!私もそれを望みます。」
「糞悪畜野郎、、、、。」
「いや、本音漏れてるから!つか酷い!美月、私の事そんな風に思ってたの!?」
目頭を抑えている美月に、優しい視線を送りながら肩を抱き寄せる皐月。
「うん!分かるよ美月。」
「酷くない!?二人ともそんな風に思ってたの!?」
若干呆れながら少年は口を開く。
「なら君もそれでいいかい?」
それを聞き満更でも無いのか、笑顔で答える。
「しっかり、頼むよ神様!」
ある事をした。迷える魂を本人の望む形で彼にしては珍しく善行である。
「私達がずっと一緒に居れる様にして下さい。」
3人の迷える魂の願いを叶えた。
その事自体は悪い事は無い。しかし彼が行った事は一つにした。
ならば一緒に居れるだろ?彼のもの達は三つに別れて幸せに暮らしている事が許せない。
◆
「誰が手を加えた?」
机を壊した衝撃音は無くなり、静かになった部屋で再び水晶で三人の様子を見る。ふと気になった。
このじじぃを殺せばまたあの顔を見せてくれるかな?水晶には、三人に抱き付かれて笑っている爺が写っていた。
手始めに、僕自ら暗殺を企てるか。
ポツリと呟いたその後ろ姿は先程の激昂が嘘の様に鎮まっていた。しかし、その眼には憎悪に満ち溢れていた。
◆
コツ、、、コツ、、、コツ、、
寝静まる魔王城の廊下に規則正しい足音が響く、
静かに、扉を開けベットに眠る獲物の傍ら立つ。
「悪いが死んでもらうよ」
手に持つ、ナイフに力が入る。
軽やか放たれ言葉に、返事が返ってくる。
「殺されちゃたまらんの?」
思わず一歩後退る。返事が返って来た事では無く、老人は目だけ開きなんて事無い表情で視線だけ送る。
しかし、圧倒的強者。自身が神であるのに対しそれをまるで転がる石を見る程度で我は気圧された。
その事実を自身が受け止める間もなく。
「茶でも飲むか?まぁ座れや」
静かに放たれた一言。決して逆らってはいけない気がして、指示された通りに椅子に腰掛ける。その間一秒一瞬も目を離せない。
手際よく淹れたお茶を互いに起き、正面に座る。
底が見えない。第一印象である。
神である我が全く得体の知れない者、心当たりが一個しか無い。しかし何故ここに?
「なぁ魔王の娘に心当たりあるか?」
「えっと、、、、。」
知ってるか知らないかの質問じゃ無いことは解る。
何かしたのはお前か?だと。いつもならペラペラと口から出任せがどんどん出るが、全く頭が回らない。
頭が働かない。体が動かない。
「血は繋がっとらんが、儂の孫なんじゃよ。優しくてな、良く花の首飾りやら作ってくれたり。素直でいい子達なんじゃ」
「、、、、はぃ。」
次々に言われる言葉に、只の自慢話じゃ無いのは解る。顔が笑って無い。
「ただな、特殊な産まれでな?可愛そうな姿でな、、、。」
視線だけが逸れた。
息をなんとか、吸えた。怒気に当てられ息をする事さえ忘れていた。
満月を見て呟いているせいか最後まで聞くことは出来なかったが、何を言っているかは理解出来た。
胸が苦しくなり次第に息も荒くなる。
ちょっとしたイタズラであると、悪気は無いんだと、ただ、、、、、、、
瞳から流れる涙を拭いながらなんとか言葉にした。
「ごめんなざい。」
刹那、頭に衝撃が走る。拳骨である。
「バカもん!謝る相手が違うじゃろうが!」
廊下からは、バタバタ騒ぐ足音が近づいて来て、盛大に扉が開かれる。
「どうかされましたか!」
魔王達であった。
◆
経緯を説明し終わり、皆で席を囲む。
生前の記憶があるのか、三人は怯えている。悪戯神が説明し、時折、「転生者じゃったのか!」と四人を除く全員が驚愕するも無事終えた頃。
「ごめんなさい。」
悪戯神は頭を下げた。その様子を見て、やっと衝撃から抜けた各々が視線を戻す。
パンッと弾ける音が部屋に響く、ルルアが正面に立っている。
「これで、許す。」
優しい目でみつめる。
「あたしにはじぃじがいた。あなたにはいなかった、ただそれだけ。これからは良い子にするんだよ?」
「うん。」
叩かれた頬を撫で照れながら返事をかえす。
頬がまだ赤い理由を知らないのは、叩いた本人だけだ、、、、、。
「まだ早い、まだ早いよぉ、、、、」
と1人バルコニー月を見ながら呟く魔王をクランチが発見するのはその日の深夜であった。
ありがとうございました!
今後とも、「老骨に鞭を!」
よろしくお願いいたします!




