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【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~  作者: 延野正行
それぞれの戦い篇

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第351話 新世界での再会

☆★☆★ コミカライズ更新 ☆★☆★


本日BookLive様にて、「アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~」単話版62話更新されました。

久しぶりにエミリが出てくるお話ですので、よろしくお願いします。


5月15日には単行本11巻発売されますので、ご予約お願いします!!


挿絵(By みてみん)

 一行は聖樹リヴァラスの森から西へ向かう。

 本来なら半日もあれば抜けるはずなのだが、結局3日かかってしまった。

 視界が開けても、ヴォルフが知る風景とはまるで違う。

 本来なら、レクセニル平原と呼ばれる大平原が広がっているはずが、凹凸の激しい峡谷になっていたり、大河が流れていたりした。


「これが新世界か?」


「目ぇ見えへん、うちにはかなわんわ」


「とにかく西よ。おそらくそこには――――」


「主ら! あれを見よ!」


 母エルミアの手を引きながらレミニアが皆を励ますと、先行していたヒナミがやや興奮気味に丘の上から指差した。一行は小走りでヒナミに駆け寄っていく。視界に現れたものを見て、それぞれが息を飲む。

 最後にヴォルフはホッと息を吐き出した。


「レクセニル王国だ」


 土地は変わり果てても、レクセニル王国王都は健在だった。

 それまでの道程で得た疲労が、嘘のように抜け落ちていく。

 王都の近くまでやってくると、物見の兵士が最初にヴォルフ一行を見つけた。


「ヴォルフさん!」


「団長が戻ってきたぞ!!」


 見慣れた兵や騎士が慌てて王都に入るための門を開く。

 すると、わっと人々の声で溢れ返った。


「すごい」


 人々の活気や熱量に圧倒される。

 レクセニル王国は数々の悪意にさらされ、その中心地となっていた。

 王都も半壊寸前に追い込まれた。

 それでも人々の歓喜は凄まじい。

 何より破壊し尽くされた王都は、すでに復興に向けて動き出しており、多くの兵士や市民が瓦礫を撤去する姿が見える。


 作業の手を止め、皆が英雄の凱旋を喜んだ。


「ヴォルフ様、ありがとうございます」


「ありがとう、ミッドレス親子!」


 感謝の声があちこちから飛んできた。

 ヴォルフだけじゃない。レミニアや他の者に対してもだ。


「みんな、なんで知って……」


「何を寝ぼけてるんだい。あんたたちが教えてくれたんだろ」


 立っていたのは、熊のように大きな女性だった。

 顔の大きさに対してつぶらな瞳を光らせ、やや人懐っこい笑みを浮かべている。


「テイレス! 無事だったのか」


「何を言ってんだい。これでも元冒険者だよ」


「そうか」


「無事だったのはあたしだけじゃないよ」


 テイレスが視線を向けた先を見る。

 立っていたのは、行商人風の女性だった。


「行商人……たしかステラさん」


「お久しぶりです」


「無事だったんですね」


「はい。おかげさまで」


「ステラさんがいるということ……」


 ヴォルフはハッとなって、後ろを振り返る。

 そこには銀髪の大きな猫に抱き付く老婆の姿があった。


「良かった! ミケ、無事だったんだね。良かったよ~」


『にゃにゃ! ミランダ! 離すにゃ! 人の前にゃ。泣くにゃ~』


 ミケはミランダに抱かれて、ジタバタともがく。

 本人は恥ずかしいと声を荒らげたけど、照れ隠しなのだろう。

 その目には再会を喜ぶ涙が滲んでいた。


「ヴォルフさ~ん」


 手を振り、ヴォルフのほうへ走ってきたのは、工事用の兜を被ったエルナンスだ。

 側にいるのはマダローと、そしてセラネだ。前者はともかく後者は髪が伸びていた。昔のように表情に影はなく、元気そうにヴォルフのほうに手を振っている。


「お久しぶりです、団長」


「生きていたのか、田舎者」


「お前たちも無事だったのか」


「はい。なんとか……」


「無事じゃねぇよ。何度死にかけたか」


 変わらないエルナンスとマダローのコンビを見て、ヴォルフはホッと息を吐く。


「セラネも元気そうで良かった」


「はい。団長、その……。私、恩赦を貰えることになって。刑期が早まったんです」


「そうか。そいつは良かった」


 ヴォルフはセラネの頭を撫でる。

 直後、背中に怖気が走る。

 振り返ると、女性陣がこちらを睨んでいた。


「ヴォルフ殿、説明を求めます」


「これ以上、ライバルが増えるのは御免被りたいでござる」


「アンリ……。え、エミリーまで」


 女性陣の圧に、ヴォルフは明らかに押され気味だった。

 焦るヴォルフを見て、エルミアはクスクスと笑った。


「ヴォルフさんはおモテになるんですね」


「そうよ、ママ。パパはカッコいいんだから」


 えっへんと我が子のようにレミニアは胸を張っていた。

 それを横目でやれやれとハシリーは首を振る。

 やりとりを見ながら、ヴォルフは日常が戻ってきたような気がした。


「ヴォルフ殿、説明が終わってませんよ」


 ヴォルフが和んでいると、視界にアンリが入ってくる。

 そんなアンリの頭に槍の柄が落とされた。


「痛っ! こら! 仮にも私は公爵――――」


「公爵がなんだって!?」


 アンリは叫んだが、その声に重なるように胴間声が響いた。

 立っていたのは、槍を肩に担いだ騎士だ。


「ウィラス!」


「お兄様!!」


「よっ! ヴォッさん」


「生きてたのか?」


「はっ! ヴォッさんにやり返さずに死ねるかよ!」


 槍の先をヴォルフに向ける。

 戯れ程度であっても、振った槍を見て、ウィラスがこれまでどれほどの努力をしてきたかわかった。どうやら、さらに一皮むけたようである。


 そんなウィラスの脇を、妹アンリが軽く拳で叩く。

 ウィラスは「うっ」と嗚咽を上げながら、蹲った。


「かっこつけすぎです、兄さん」


「アンリ、てめぇ……」


「おいおい。お前たち、英雄の前でなんという醜態をさらしているのだ」


 兄妹喧嘩を止めたのは、眼鏡をかけた紳士だった。

 紳士といっても、上着を脱ぎ、顔には泥がついている。

 汗を拭きながら近づいてきたのは、アンリとウィラスの父――つまり大公家当主のヘイリル・ローグ・リファラスであった。


「た、大公閣下」


 ヴォルフをはじめ多くの者たちが、ヘイリルの姿を見て、膝をつこうとする。

 それを止めたのは、ヘイリル自身であった。

 ヴォルフの脇に手を入れて、起こす。


「良い。そなたはこの国の、この世界の英雄だ。私に下げる頭はあっても、ヴォルフ殿の前で上げる頭はない。ありがとう、英雄ヴォルフ」


 ヘイリルは頭を下げる。

 同時にウィラスや騎士団の後輩、旅先で出会った人たちや集まった人々が一斉に膝をつくと、頭を垂れ、あるいは両手を組み神に祈るようなポーズを見せた。


 ヴォルフは周りを確認した時には、自分1人だけが立っていた。


「お、おい。よしてくれよ。俺は――――」


「違うぜ、ヴォッさん。王都の市民にはあんたに謝る理由がある」


「え?」


 すると、近くに立っていた老人がヴォルフに言った。


「あんたがラムニラ教の支部を攻撃した時、わしらはあんたやあんたの家族を侮辱した」


「墓を暴けとも言った。でも、それは間違いだった」


「そんな我々をあんたは1度ならず、2度助けてくれた」


「俺たちが言いたかったんだ」



『ありがとう、ヴォルフ・ミッドレス』



 深々と頭を下げた。


 当のヴォルフはどう反応していいかわからず、おたおたするだけだ。


 こんなこと初めてだった。

 当然だろう。

 うだつの上がらない、なんの才能もない冒険者から始まった。

 気がつけば、人生の大半を子育てに費やしていた。


 そんな男が冒険者として再起し、2年も経たず、国や世界を救ったのだから。


 もはや、その偉業は――――。


「まさに〝伝説〟だな」


 蹄の音に気づいて、ヴォルフは振り返る。

 馬上の立派な益荒男を見て、少し緩んだ気を引き締めた。


「ツェヘス将軍」


「戻ったか、ヴォルフ・ミッドレス」


 鋭くヴォルフを睨む。

 世界が変わっても、その威圧感は変わらない。

 いや、世界崩壊という難事を超えて、さらに強まっているように思えた。


「ちょっと! 今度は何? パパに難癖でもつけにきたのかしら」


 その将軍の眼光に勝るとも劣らない視線を向けたのは、レミニアだ。

 ツェヘスとレミニアには因縁がある。

 ヴォルフのことを『詐欺師』呼ばわりしたからだ。

 将軍なりの事情があったことは、レミニアも理解しているのだが、元々性格そのものが両者とも合わないらしい。


「レミニア。将軍に失礼だぞ」


「いい。それよりお前だ、ヴォルフ・ミッドレス」


「な、なんでしょうか?」


「お前――――」



 王になる気はないか?


あわせて兄弟作でもある「おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました」も単話版が更新されております。あわせて読んでいただけると、作者のギックリ腰も直ります!


挿絵(By みてみん)



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