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【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~  作者: 延野正行
それぞれの戦い篇

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第350話 親子

更新が空いてしまって申し訳ない。


WEBはお休みさせていただいてましたが、

コミカライズのほうは続いております!

5月には単行本11巻がでますので、そちらも楽しみにしていてください。


 瞼が徐々に開いていく。

 アメジストのような紫色の瞳に陽光が差し込むと、美しく輝いた。

 それはまるで光、いや奇跡が彼女に命を与えたような瞬間だった。


「レミニア……」


 声を震わせ、ヴォルフは15年、何千回、何万回とかけた名前を呼ぶ。

 父の膝枕で目覚めたレミニアは、現実感がないのか、しばしぼうっと空を眺める。

 ヴォルフの周りにいるミケ、エミリー、クロエ、アンリ、ヒナミ、ハシリーの顔を見た後、再び大好きなパパのもとに視線を戻した。


「パパ……」


 待望の声を聞いた時、ヴォルフは全身が震えるのを感じた。

 まるで娘にキスでもするかのように顔を近づける。


「よかった」


 言葉を噛みしめるヴォルフの目には涙が浮かんでいた。

 そんな父を安心させるようにレミニアはヴォルフの頬を撫でる。

 さらに祝福を授けるように額にキスをした。


「パパ……。ありがとう」


「ああ。俺はレミニアの勇者だからな」


 涙を拭い、ヴォルフは精一杯の笑顔を見せる。

 すると、レミニアも呼応するように笑った。


 父と娘――親子の愛ある光景に、見ていた者たちもまた涙を流す。

 何度も頷きながら、感動を噛みしめていた。

 そんな親子と同じくらい心配していたハシリーは、レミニアの手を取る。


「本当に良かった!」


「ハシリー……」


「あなたは無茶ばかり……。いえ。今回だけじゃない。なんであなたは……いえ。あなたたちは自分の命を気軽に投げ出すことができるんですか?」


 最初は心配していたハシリーは、喋りながら感じ始めた怒りを抑えきれなかったようだ。徐々に怒鳴り口調になり、ついにヴォルフまで巻き込んで叱責した。

 やや目を赤くしたハシリーを見て、ヴォルフとレミニアは親子揃って似たような顔をして圧倒される。

 もう1度、視線を交わす。


「それは……」


「親子だもの。わたしたち」


 ハシリーの渾身の質問に対して、ミッドレス親子はあっけらかんと答える。

 答えを聞いたハシリーは開いた口がふさがらないという表情をしてから、「はあ」と大きくため息を吐いた。


 本気でへこむ秘書を見て、レミニアはそっと手を取る。


「心配してくれてありがとう、ハシリー」


「……あなたが生きている限り、ぼくはずっとこういう役回りなんですね」


「なんだ。わかってるじゃない」


「レミニア……。ぼくは本気で怒ってるんですよ」


 ハシリーは最後にレミニアを睨みつけた。

 さしもの小さな上司も堂々とハシリーの胸を押す。

 ヴォルフの膝から頭を上げると、レミニアは周りを見渡した。


「でも、わたし……。どうして?」


 レミニアはヴォルフの後ろを見る。

 そこには緑色の大きな鉱石が、聖樹リヴァラスの幹に包まれ輝いていた。

 むろん、鉱石の中にレミニアの姿はなく、それどころか誰かの姿もなかった。


「聖樹リヴァラスに、あなたから役目を引き継いでもらいました」


 言葉とともに、森の中を風が通り抜けていく。

 レミニアは乱れた赤い髪を押さえると、自分とよく似た髪色の女性が同じく髪を押さえていることに気づく。

 普段においては、人を驚かせることのほうが多いレミニアは、女性の容姿を見て、立ちすくむ。


「聖樹リヴァラスなら、この新世界をうまく制御できるでしょう」


「ママなの……」


 レミニアはゆっくりと近づいていく。


 エルミアはレミニアの言葉を聞いた瞬間、ハッとなった。

 それまで穏やかに説明していた口を、キュッと結ぶ。


「答えて……」


「私は……」


 エルミアは言いよどんだ。


 子の親として、エルミアが何故躊躇するか、ヴォルフに理解できる。

 彼女は死に体の中、レミニアを預けた。

 色々と仕方なかったとはいえ、ずっと頭の片隅にレミニアのことがあったはず。

 そして、名前さえ満足に与えられなかった自分に対する罪悪感も、15年という月日の中で膨らんだはずである。


 自分は果たしてレミニアの〝ママ〟と呼ばれるに足る存在なのか。


 今、ここで大きく葛藤していることは間違いない。


 さらに言えば、レミニアとて例外ではない。

 ずっと母親と離れて暮らしていた。物心つく頃にはいなかったのだ。

 あったのは、母親が残したという分厚い書物だけ。

 その書物から母親の香りを嗅ぐことしか、母というものを思い出すことができなかった。


 捨てられた、という思いはない。

 でも、今この目の前にあって、果たして〝ママ〟と呼んでいいのか、天才の頭脳を以てしてもわからなかった。


 それでも、レミニア(むすめ)エルミア(はは)の間は近づいていく。

 レミニアは頭1つぶん大きなエルミアを見上げると、自分とそっくりな瞳に自分が映っているのに気づく。

 わずかに震え、濡れそぼっていた。


「大きくなって……」


「うん。パパに育ててもらったから」


「レミニア……。ごめん――――」


「ママ……。わたしは幸せよ。パパに預けてくれてありがとう。だから、わたしのことを『愛してる』って言って」


 その言葉を聞いた瞬間、エルミアは堪えていた感情が決壊した。

 ぐっと結んでいた口からは嗚咽が漏れる。

 紫の瞳から涙が溢れた。


「愛してるわ、レミニア」


「わたしも……。愛してる、ママ。わたしを生んで、守って、そして救ってくれてありがとう」


 レミニアの目から涙が溢れる。


 歓喜の涙と親子の15年越しの再会を見て、一同もまた涙を拭う。

 ヴォルフもまた涙を流しながら、「良かった」と呟くのだった。


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― 新着の感想 ―
あかん。こういうの弱いねん。目から水が止まんないや。
やっと親娘の再会が出来たね。良かった良かった
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