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ちよすず物語  作者: ひな菊
38/60

スキー&温泉旅行12


「ょ……ちょ……千代!!!!!」


遠のく意識の中、冷え切った千代の体を揺する、聞き覚えのある声。


「よ、陽平くん……?」


ーーあれ?なんで?ここに居るの?


「お前は、バカか!!!! 雪山で寝るヤツがいるか!!?!」


ーーあ、私……寝ちゃってたんだ。てか、温かい…ここどこ?


「もう! 千代ちゃん、何度起こしても起きないんだから!! 本当に死んじゃったのかと思ったぁ!! 救急隊の人たちが、運んでくれたんだよ?!!」


遠く方に、迷涼と右京が心配した表情でこちらを見ている。


どうやら、旅館の布団の中のようだ。


「今、遥さんと兄さんがお医者さんと話してるよ。もうちょいで、危ないところだったんだってさ」


右京の説明を聞いて、内心バカだな……。と、自分自身呆れていた。


「バカ千代!!!」


「陽平くん……人のことバカバカ言い過ぎッ!」


ーーギュッ


七倉に抱きしめられてると、気付くのにそう時間はかからなかった。


「お前を失ったかと、思ったんだぞ?! ソレが、どんなに怖いことか……お前に分かるか!!? 」


彼が、泣いていることに千代は少しずつ朦朧とした意識が、ハッキリしてきた。


医師との、会談が終わった遥と龍夜も、部屋に戻ってきた。


「俺のこと嫌ってくれても、構わない……でも、もう馬鹿なことすんじゃねぇよ……」


彼の頬を伝う涙に、触れる。


その涙は、とても、暖かった。


「うん……心配掛けて…ごめんね」


彼の手を握り締めると、古びたミサンガが、ちらっと見えた。


ーーあ…私たちの願いはまだ叶ってないんだ。


「陽平くん……」


「なんだ?」


「苦しい」


「あっ!! ごめん!」


慌てて、彼女を離す。


「でもな、俺はお前のこと諦めない。 絶対にだ!」


「あ……えっと……その……」


「なんだよ、気になることがあるなら話せよ」


「後ろに般若が見える」


え?と、後ろを振り向くとそこには腕を組み壁にもたれ掛かり、こちらを見てる遥の姿があった。


「キミ、そないに死にたいん?」


ボキボキ。指を鳴らしながら、七倉に近づく遥。


「やれるモンなら、やってみな。 俺は、逃げも隠れもしねぇわ」


「いい度胸やんけ」


今にも、殴り合いの喧嘩が始まってしまいそうな瞬間だった。


「ハイ!ストップ!」


二人の間に入ってきたのは、迷涼だ。


「今度は、遥ちゃんタイム!! 七倉教授と、私たちは部屋を出ましょ」


「なんでだよ!」


「いいから!」


迷涼に、手を掴まれて七倉と笹木部兄弟は、部屋を後にした。


部屋には、ふたりきり。

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