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ちよすず物語  作者: ひな菊
39/60

スキー&温泉旅行13


千代は、手首に付いていたミサンガを服で隠した。


それを遥は、見逃さなかった。


彼は、そっと千代に近寄り抱きしめた。


「遥さん?」


「良かった……ホンマに……良かった」


掠れる彼の声を聞いて、たどたどしく遥かの背中に腕を回した千代。


「ごめんね……遥さん……ごめんね」


「千代言ったやんけ……僕から、離れないって……」


「うん……離れないよ」


「絶対やで」


「うん。 遥さわゆ、大好き」


ーーこの愛を歪んでいると、思う人もいるかもしれない。


ーーでも、コレでいいのかな。



一方、部屋の外で待機していた迷涼と龍夜。


話の流れは、一通り聞いてしまっていた。再び哀しそうな、迷涼の表情をみて龍夜が、頭をそっと撫でてやる。


迷涼は、彼のその行為にお礼を言った。


そんな彼女の手を引いて、龍夜は旅館の広間までやって来た。


ここでは、湯上りの人たちが卓球をしたり、マッサージ機で休んでいたりしていた。


そこの自販機で、暖かい緑茶を買って、ソファーに座った。


ラッキーなことに、この時間帯はお客さんがとても、少なかった。


龍夜は、迷涼にお茶を渡した。


「ありがとうございます」


「で?大丈夫なんですか?」


足を組んで、自販機で買ったビールを呑んでいた。


「なにがです?」


「遥さん。でしたっけ? 好きなんでしょ?」


「えっ?!いや、そんな 」


まるで、リンゴのように頬を真っ赤に染めた。


「言わなくても、わかりますよ。あなたの態度を見ていたら、いつから好きなんですか?」


「いつからか分からないです…… でも、私がどんなに好きでも…… 遥ちゃ、遥さんは、私のことなんて好きじゃなくて…… ちぃちゃんのことが好きだから…… でも、こんなに辛いなら…… 遥さんのことなんて、好きにならなければ良かった」


ポロポロ。と、涙が零れる迷涼。


そんな彼女を見て、龍夜は優しく彼女を抱き寄せた。


驚きのあまり、涙が引っ込む迷涼。


「大丈夫だから、今まで抱え込んで辛かったな。 今なら、俺が聞くから…… 迷涼さんの本当の気持ち聞かせて」


いつもは、敬語でやる気のない声を出す龍夜だが、今の彼は違った。


「私なら大丈夫ですから!」


「強がるなガキ。 辛い時ぐらい、泣いたって良いんだよ」


下を向く彼女の顎をくいッと上げた。眼鏡越しの彼の瞳は、とても優しかった。


そのまま、彼は迷涼の唇に自分の唇を重ねた。


ーーんッ?!


「兄さぁーん?どこー?」


広間に現れたのは、右京と七倉だ。


二人の目に飛び込んできたのは、龍夜が迷涼にキスを、しているところだった。


「「あっ!!」」


そのまま、龍夜は迷涼の膝に倒れ込み眠りにつく。


「え?え?」


何が何だか、わからない迷涼。


「兄さん……まさか……お酒飲んだ?」


「え?あ、呑んでました!!」


あちゃーっと、右京は手をおでこにくっつける。


「コイツ、酒に弱くて」


「弱いだけなら、良いよ。 タチが悪いのが、キス魔になるんだよ」


「き、キス魔!!?」


膝で、眠っている彼を見てまるで子供のようにな表情を浮かばせていた。


「ありがとうございます」


あの言葉が、凄く嬉しかった迷涼は、優しく微笑んだ。


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