そして大団円-04
最終回でございます。
結局私は、カイが来てくれることになったので、リナス叔父さんを見送ることにして、
ウキウキと時の間に来た。
時の間は、一昨日と全く変わらない。
特に何か壊れたりしていないみたい。
と言っても、壊れようがないくらい何もないのだけど。
置き去りだったお茶道具を片付けながらカイと話す。
そう、お茶飲みかけだったの!
来てよかったよ、やっぱり!!!
「なんかつい一昨日ここにいたなんて信じられないねー。」
「そうだなぁ、あんな大立ち回りをしたとは思えない静けさだしな。」
二人も片づけを手伝ってくれていたが、ふとリナス叔父さんが変な顔をしだした。
「…?あれ?なんか変な感じが…。これは!」
リナス叔父さんはハッとしたように扉に向かって走り出す。
それを見て、私たちは一瞬顔を見合わせたが、すぐに後を追って走った。
たどり着くとちょうど誰かがゲートから出てくるところだった。
うわー、ほんとに扉あいてるよ。
って、出てきた人は…。
「父さん!母さん!」
なんと、両親だった!
お父さんは気に入っている黒のコートに帽子をかぶって、
お母さんは大好きだと言っていた着物を着ている。
「おー、絹花。元気そうだな。」
「ほんと、一週間ぶりね。変わりはなかった?」
二人ともニコニコしている。
…なんと緊張感のない両親なんだろう。
カイもちょっとあっけにとられた顔だ。
「兄さん、義姉さんも、お帰り。
ちょうど今迎えに行こうと思っていたんだ。」
叔父さんはいたって普通だ。
…さすが付き合い長いだけのことはある、ってこと?
「ああ、リナス。ただいま。
そっちはカイだな?あの頃よりぐっと大きくなったなー!」
「リナスさん、今年はいらっしゃらないから少し心配していたのよ。
カイも本当に立派になって。
やっぱりカッコいい男の子は目の保養ねぇ。」
ああ、本当にどこにいても変らない、うちの両親。
力が抜けるっていうか、ほっとするっていうか。
「それよりどうして?」
「ああ、お前がちっとも帰ってこないし、気配も消えたからな、
きっと扉が開いたんだろうと見当はついた。
まぁ、あちらにいてもよかったんだが、お前が真実を知るなら、
私たちはもうこちらに戻ってもいいだろう、と思ってな。」
「どうしようか迷ったのよ。
でも、こっちで家族みんなで一緒に暮らせれば、それに越したことはありませんからね。
あなたが戻りたい、というなら、止めたりはしないけれど。
こちらもいいところでしょう?」
えっとー、そんなに簡単に結論出していいの?
さすがうちの両親。
かくして、私の最初の冒険は幕を閉じた。
御伽噺では「この後家族全員で、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。」で終わるだろう。
…しかし、私の話はこれでは終わらない。
続きは、また後日、ということにして、筆を置くこととしよう。
あなたにも、精霊の祝福がありますように。
なんてね?
ええと、ようやく終わりです。
拙い話でしたが、読んでくださってありがとうございました。
物足りない部分もあったかと思いますが、ご容赦を。
書き始めはたくさんあっても、最後まで書くぞ、と、決めて書いたのは初めてだったかもしれません。
時間はかかりましたけど(^_^;)
そのおかげで、読み返すと自分でもいろんな発見があって。
絹花が精霊に呼ばれて戻ってきた後から、カイの口調がどんどん砕け散っていて、その前どんだけかっこつけてたんだ、お前、とか。
本当は春休み中の話のつもりが、叔父さんが全国で桜の花が散っても来ないとか言っちゃったもんだから急遽5月に直したけど、結局絹花に研究室サボらせてる、とか。
思いのほかラブがないよ、ラブが、とか(笑)
いつか続きを書くかもしれませんが、ひとまず頭に浮かんだ別のお話を書きたいと思います。
また読んでくださったらうれしいです。
あ、別途「6人の物語」という、なんちゃって現代の断片的な短編も書いております。(不定期更新中(笑))
もしよろしければそちらもご覧くださいませ。
とにもかくにも、本当にありがとうございましたm(__)m
心からの感謝を込めて。




