朝食 四首
朝の台所での四つの景色を短歌にしました。
トーストの逡巡、コッペパンの事件、
魚と果物の手間比べ、そしてパンケーキの焼き色。
どれも一日の始まりにある、ささやかな楽しみです。
<1>
小麦色
黒蜜きな粉か
ハニーレモンか
バター溶け行く
間こそ惜しけれ
【解説】
焼いたトーストにバターを落とし、
グリルの余熱で溶けるの待つ間に、
黒蜜きな粉にするか、
ハニーレモンにするかを決める、
超高速の演算。
<2>
多いんじゃ
ないかと言ってた
コッペパン
空になる皿
探偵登場
【解説】
市販のコッペパンサンド3本。
盛り付けた皿がいつの間にか空に。
容疑者は「ちょっと多いんじゃないか」
などと供述しており。
<3>
捌く手間
無きに等しい
カワハギに
似てるとキウイ
スプーンでくるりと
【解説】
カワハギとタチウオを捌くのは、
本当に手間いらずだ。
キウイの皮をスプーンで剝いていると、
こっちの方が難しいのでは、などと
思うことがある。
そんなわけはないのだけれど。
<4>
フライパン
いっぱいで焼く
パンケーキ
返して見せる
その色や善し
【解説】
ステーキとパンケーキは大きく厚い方が良い。
小さいやら薄いやらだと、水分が飛んでいきやすい。
だから、フライパンサイズいっぱいいっぱいの
焼き上がりを目指す。
本当に難しいのはパンケーキを裏返すことではなく、
裏返せる状態になるまでに、焼き色をきちんと出す
火加減。
朝食は、作る時間そのものが少しだけ豊かです。
選ぶこと、気づくこと、失敗しないように火を見張ること。
そんな小さな場面を並べてみました。
読んでいただき、ありがとうございました。




