変化する世界に
エバはどうしているかと言えば、峡谷下のこちらが本城とも言える場所で、主にエンビと色々やっているようだ。エンビが特にエバを可愛がっており、母離れが出来ないのかも知れないが、今で言う美麗の少女であるし、特にスエラが女王様扱いをしている。亡き王女と極似している事とその天才的な頭脳を敬愛しているからであろう。カガイとの会話もその話から始まっていた。
「いやはや・・スエラ殿と話をするのは久しぶりであるが、エバ様を王女として何度もエツゴ殿に呼ぶなと言われていても、止まらぬか、ははは」
「こればっかりはのう・・私も眼前でお仕えしていたマク王女様そっくりであるエバ王女様を見ては、どうにもならぬ」
「まあ、それだけスエラ殿は忠臣であり、ずっと砦を守って御座った。あの、石灰洞魔人とて到底我々では太刀打ち出来なかったであろうな、武力で勝てない相手は無数に居る。しかし、ビゼン軍師は誠に機略を持ち、それを可能にする」
カガイは以前のビゼンは余り知らないが、今回のビユウ国軍と対した時の采配に深く心酔をしていたのである。
「本当に大したお方だ」
スエラも大きく頷くのであった。
「ところでスエラ殿、一つ聞きたいのだが」
「何なりと」
「この西ゝ平原には今色んな種が押し寄せるように出現しているが、貴殿がこの守護を徹底していたお陰でこの100年程は安定していたと聞く。それ以前の状態とはいかがだったのか?」
「ああ・・我も又逃れて来た一人であり、その当時の記憶も無い。だが、周辺の事情を聴く中で相当の生きるべき戦いがあり、特に石灰洞魔人達には相当な犠牲があったようだ」
「他には?石灰洞魔人達は夜行性であろうが?」
「日中には、峡谷上から飛来するアマルガに似たグリガと言うのが無数に降りて来た。そのグリガは砦を構築中の周辺にある湧き出る液体を舐める為だったようだが、そのグリガに触れると全身が爛れ、重篤な者は死に至るのだ」
「ほう・・だが、今は飛来せぬよな?そして我が軍も見かけた事が無い」
「そうだな、或いは絶滅したのか・・そのグリガを襲って食う、今度はバムシと言う種の足が無数にある虫が居たのだ。その毒紛をものともせなんだ」
「つまり・・毒蛾には天敵が居た訳だな?そのバムシはどうした?」
「そのバムシを石灰洞黒魔人が食うたのよ、ははは」
「ははあ・・成程。人も襲うが、そちらも食うか」
ガブリは笑った。その話をエバがしっかり聞いていた。




