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デート当日、魔王は臣下達にばれないように変装して城をでる。途中の研究室からエメを連れて行く。
「あ、あの、本当にデートするんですか?!」
「ああ、そのつもりだ。我もたまには己の身分関係なく外に出たい。」
と、言う事でお忍びデートが始まってしまったのである。
「えと、どこにいきますか?」
「うむ、街の様子を見たい。」
街に着くとルアは辺りを見渡した。エメの手を引き、路地裏の方へと行く。
「え?なんでこんな?!」
「しー」
「?」
路地裏の奥へ奥へと行くと何やら怪しい取引がされていた。
「今月分はこれだけだ。」
「よし、これで」
どうやら麻薬ポーションの取引らしい。
「そなた達、何をしている。」
「あ?んだ?兄ちゃん痛い目にあいたいのか?!」
「それはこっちのセリフだ。そのポーションは禁止しているはずだ。」
「これがねぇと生きてけねーんだよ!」
荒くれ者が魔王を殴ろうとする。だがルアは、難なく避けて、腹部に1発いれる。
「ぐはっ!」
「んだ!ふざけんじゃねー!」
もう1人がルアへとナイフで襲いかかってくる。ルアはそのナイフを木っ端微塵にした。
「ひぃ、ば、化け物ー!!」
男達はその場から逃げていった。
「ルア様、流石ですね!今回のお忍びは麻薬ポーションの摘発の為なんですね!」
「いや、違う。偶然見かけたから取り締まっただけだ。」
「な、なるほど?」
再びルアはエメの手を引く。
「あれに乗りたい。」
魔王が指さしたのは湖に止まったアヒルボートだった。
☆☆☆
「アヒルボートなんて乗るの私も初めてです。」
「……そなたはどう思う?」
「へ?」
「我の事を……」
「そ、それは……仲間を殺した人って思ってます。」
「…………仲間?勇者パーティーの事か?」
「はい。」
「そういえばお前の名を聞いた気がする。」
「え?!皆は最後になんて?!」
やっぱり最後まで悪口を言われていたのだろうか?エメは不安になった。
「エメだけでも生き残ってくれてよかったね、と、聞いた。」
「!!」
その瞬間涙が溢れた。そうだ。仲間達の仇だって忘れてた。でも、魔王様が悪い人だなんて思えない。
「…………泣くな、すまない。そなたを泣かせるつもりではなかったのだ。」
「い、いえ、私こそ、ごめんなさい。」
エメは何故か謝っていた。感情がぐちゃぐちゃになる。魔王はそっと指で涙をぬぐってくれた。ボートは岸辺とたどり着く。
「降りれるか?」
「はい。」
魔王に手を差し伸べられ、それを掴んで降りる。そうだ、もし、もっと早く魔王と出会っていたら、もっと早く秘薬が出来ていれば、仲間達は死ななかったかもしれないし、魔王は人を殺さなくてよかったはずだ。
「魔王様、次はどこへいきますか?」
「無理をするな。少し休もう。」
そう言って手を引いて、ベンチへと2人は座った。
少し落ち着いてきた。
「ルア様ありがとうございます。落ち着きました。」
「それはよかった。」
「魔王様はどうして魔王になったんですか?」
「父上の後を継いだのだ。それだけだ。別になりたかった訳では無い。」
そうなのかぁと、相づちをうつエメ。
「今まで、誰か心を開けるものは誰1人いなかった。故にそなたが欲しいのだ。」
エメは何もいえなくなった。ルアにも事情があって、魔王になる選択をせざるおえなかったのだろう。そう思うと憎めなかった。
「私なんかで、いいんでしょうか?」
「そなたは優しい。それは我にはない美徳だ。そんなそなたに傍にいて欲しいのだ。」
そうして夕暮れ時になるまで街を散策した。城に戻ると宰相や大臣達がカンカンに怒っていた。




