終幕
❖同刻/阿ノ玖多羅邸/来栖❖
来栖は、その場に崩れ落ちるようにして倒れた。
大の字になって転がる。
地面は依然として焼け焦げていたが、魔力体にとっては苦にもならない。
マリアが、同じように来栖の隣に転がった。
「…………」
「…………」
二人、黙って空を眺める。
「めんどくさい奴だよなぁ、マリアって」
意を決して、来栖は口を開いた。
「頼りたいなら、一言『頼らせて』って言ってくれればよかったのに」
「んなぁっ!?」
マリアが飛び起きた。
『ぐぬぬ』とうなり散らかしたあと、再び焼け野原で仰向けになる。
「今さら言えるわけないでしょ!? ボクはボクのために、キミを操り人形にしてしまったんだ。幼いキミを徹底的に洗脳して、ボクのことしか考えられないようにした――きゃっ!?」
来栖はマリアを押し倒した。
「自惚れるなよ、マリア。俺は、お前の操り人形じゃない。この気持ちは、お前にすり込まれたものじゃない。これは、俺自身のものだ」
来栖は強引に、マリアにキスした。
マリアが真っ赤になった。
「ちょっ、無理やりしないで……」
「こんな俺は、嫌いか?」
ふるふるふる、とマリアが子供みたいに首を振った。
「…………」
「…………」
しばらく見つめ合った後、どちらからともなく吹き出し、笑い合い、仰向けに戻った。
マリアが、いつもの泰然とした笑みを取り戻していた。
「で、これからどうする? やっぱ駆け落ちか?」
「うーん。お父さんもコクリももういないし、ぶっちゃけ逃げる意味なくなっちゃったんだよね」
「じゃあさ、どうせなら最強目指そうぜ。他の魔王全員ぶっ倒して、『ジ・アース』手に入れるんだ」
来栖は起き上がる。
「やっぱり俺、どうしようもなくマリアが好きだ。ずっと一緒にいたい。それも、十年や百年じゃ我慢できない。千年先だって一緒にいたい」
「あっは。来栖くんってばボクのこと好きすぎでしょ」
「だから、好きだって何度も言ってるだろ!? そういうマリアはどうなんだよ?」
マリアも起き上がった。
「好きだよ」
マリアが幸せそうに微笑む。
「好き。大好き。愛してる」




