次元の座と、世界を繋ぐ「真実」
守護獣との死闘を制し、ついに未開地の最果てへと到達したクロノたち。そこにひっそりと佇んでいたのは、これまでのどの世界にも属さない、透き通った藍色の光を放つ大きな「裂け目」だった。
それは、クロノたちが異世界から日本へ、そして地獄や天界へと旅をするために潜り抜けてきた、あの【次元の裂け目】の本体だった。
「やっと辿り着いたわね……。でも、これって一体どうしてこんな場所に存在しているの?」
ルナが恐る恐る手をかざすと、裂け目からは膨大な「情報」と「魔力」が混ざり合った、心地よい風が吹き抜けた。
クロノは一歩前へ出ると、システムなき今、自らの五感と経験則を極限まで尖らせてその光を「看破」する。
「……なるほど。この裂け目は、ただの災害やバグでできた穴ではありません。これは、肥大化しすぎて互いに衝突しそうになった複数の世界が、圧力を逃がすために作り出した『安全弁』だったんです」
「安全弁、だと……?」
ガイルが怪訝そうに眉をひそめる。
「ええ。世界と世界が完全にぶつかれば、両方とも崩壊してしまいます。それを防ぐために、この裂け目が余剰なエネルギーや、世界の歪みそのものを吸い上げて循環させていた。……そして僕たちが異世界から日本へ、地獄へと巡ったのは、この裂け目が『世界の歪みを直せる存在』として、僕たちを必要な場所へ案内していたからなんです」
かつてクロノが持っていた固有スキル【神への誘い手】。それこそが、この次元の裂け目が世界のバランスを保つために、クロノに託した「道標」のシステムそのものだったのだ。
「ということは……主がすべてのジョブを失って世界を修復したことで、この裂け目の役割も終わりに近づいているのか?」
千代の問いに、クロノは静かに首を振った。
「いいえ。世界は常に変わり続けます。システムとしてのアシストは消えましたが、この裂け目は今、僕たちを『世界の守り手』として完全に認めてくれたようです。これからは僕たちの意志で、どの世界へも行くことができる」
クロノが裂け目にそっと手を触れると、藍色の光は温かい黄金色へと変化し、彼らを包み込んだ。
「さあ、みんな。次はどの世界の歪みを看破しに行きましょうか?」
システムを超越した絆と知略を武器に、少年と仲間たちの本当の「次元を超える旅」が、今ここから新しく始まるのだった。




